「あなたの凸凹にぴったりハマる生き方が必ずあるはず」 リエゾン―こどものこころ診療所―紹介
私は変わった子どもだったと思う。
まず、片付けが出来ない。洗濯した洋服をすぐにタンスにしまうことをせずに部屋の床へ置きっぱなし。結果タンスは空っぽ、床には充実したコーディネートが広がっていた。
自分の行動の危険性にもいまいち鈍感だった。ブランコを漕ぎながら、不意に両手を離してみたくなってしまい実行、当然のように後頭部から落ちた。
雨の日に傘を持って行くとほぼ必ず壊してしまう。卒園記念にもらった可愛らしい傘も、小学校に入って数カ月でなんとなくでマンホールの隙間に挿して、あっさりお陀仏になった。
年齢を重ねていくうちに上記のような傾向は落ち着いていったけれど、なんであんなに色々なことが下手くそだったんだろうな、と振り返ることがある。
もしかしたら気付いていないだけで、今も下手くそなのかもしれないけれど。
発達障害とは?
発達障害は、平成17年に施行された発達障害者支援法の中で「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。「生まれつき脳の成長の仕方に凸凹がある」といった表現をされることもあります。
発達障害の中にはいくつかの種類があり、自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などが一例として挙げられます。発達障害に明確な境界は存在せず、一つの特性を持つ場合もあれば、複数の特性が重なり合う場合もあり、個人差があるようです。
今回ご紹介する「リエゾン―こどものこころ診療所―」は、この発達障害を取り上げた漫画です。
「リエゾン―こどものこころ診療所―」のあらすじ
「リエゾン―こどものこころ診療所」(原作:竹村優作、漫画:ヨンチャン 敬称略)は、児童精神科を舞台にした漫画です。
時間がない時に限って 些細なことが気になって仕方ない
いつも何かに追われていて 結局必ず一つはミスをする
この私(ドジ) 遠野志保は小児科の研修医だ
作品は上記の書き出しと、小児科の研修医である遠野志保の朝の様子から始まります。
朝、遅刻するかどうかのタイミングなのに前髪を切り始める、携帯電話を忘れる、遅刻をしているのに患者の子ども達とじゃれ合いを始めてしまう……そして、仕事で大きなミスをしてしまう。
小児科の研修が終わった彼女は大学病院内ではなく、地方の児童精神科で臨床研修を行うこととなり、新幹線で佐山クリニックという小さな診療所を訪れます。そこで児童精神科医の佐山卓にこう告げられます。
あなたは 発達障害です
誰もが生きづらさを抱えている―子どもも、大人も
この漫画では、多くの大人と子ども……頑張って生きている、それでも辛い、苦しい、分からない……そういった生きづらさを抱えた人たちがクリニックを訪れます。
「絵が上手く描けていない」と自分の絵を破ってしまう少年と、絵を見せてもらえない母親。
学校に行かず汚れた家で父親と過ごす少女と、うつ病を患う父親。
そして、発達障害を抱える研修医と、児童精神科医。
中には、子どもの特性などに否定的な反応を示してしまう人もいます。けれども佐山は、そして遠野は、その人たちに誠実に向き合っていきます。彼ら自身も生きづらさを抱えながら。
すべての子どもが幸福に育つ環境は おそらく存在しない
だけど子ども時代の幸福な記憶は 一生の宝物になる
子ども達がそんな日々を過ごせるよう切に願い手を差し伸べる
それは全人生をかけるだけの価値がある仕事だ――と
神の手がなくても、人の手は温かいから
この漫画の佐山は、医師としては優秀かもしれませんが、医療漫画であるような天才的技能や神の手を持ったりは(今のところ)していません。遠野もまた、生活に工夫を必要とする、成長途上の人物です。けれどどの子どもにも大人にも、正面から、その人たちと同じ目線の高さで寄り添っています。
たとえ生きづらいと感じることがあっても
前に進むためにできることがあると思うんです
以降の話でも、子どもは、大人は、引き続き生きづらさに苦しくなったり、暴れ出したくなったり、逃げ出したくなったりするのかもしれません。
それでも佐山は、遠野は、その人たちに手を差し伸べて、一緒に過ごしていくのでしょう。
良いも悪いもある…だから僕は発達障害を凸凹と呼んでいるんです
あなたの凸凹にぴったりハマる生き方が 必ずあるはずです
これを見ている皆さんにも、私にも、「ぴったりハマる生き方」が見つかる日が来ますように。
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