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今の私だからできること シロクマ迷走記

仕事復帰をしてからの私は
過酷な毎日に振り落とされないように
必死だった。
 
復帰直前に子どもが流行病になり、
(我が家初上陸!)
おかげで看病という名の下に、
復帰3日目くらいまでは
2時間だけ、午前中だけ、昼過ぎまでと
少しずつ勤務時間を延ばし、
何とか一週間の最後に「一日職場にいる」
という勤務時間を過ごした。
毎日帰宅し子どもの様子を見た後は、
泥のように寝た。
多分相当緊張していた。
週に3回もマッサージに行き、
「何があったんですか?
今までにない体になっていますよ。」と言われた。
歯でも抜いたか?というような
巨大な口内炎ができ、
初めの一週間はおかゆやうどんの日々だった。
 
同じ時期に病休あけの人がもう一人いて
休養室やトイレで会うと
「頑張らないようにしようね。
 『できます』は禁句ね。」
と、言い合えたのは幸運だった。
 
特に何も仕事はしていない。
パソコンの前に座って行事予定を把握したり、
私がいない間に済んだあれこれの
フォルダのなかを覗いたり。
気にかけてくれた人が様子見で
話をしにきてくれたり。
少しずつ授業の準備をしたり。
そんなことでもクタクタだった。
 
人(特に一緒にいようと思っている訳ではない人)
と一緒にいることが
こんなにもパワーがいることだったとは
今まで知らなかった。
はじめはたくさん人が周りで
忙しそうにしているだけで、眩暈がした。
そして頑張れない自分を経験し、
今までとは違う私になったのだと
分かってもらうこともパワーがいることだった。
何しろ自分がどう変わったのか、
言語化できていないのだ。
 
当たり前だけど、不思議なことだった。
私が経験した3ヶ月間
何があったのか誰も知らないのだ。
何を考え、感じ、
これからどうしたいと思っているのか。
伝えたところで受け止めてもらうことも、
理解してもらえるのかも、分からないし、
簡単でないとよくわかる。
そして、誰もそのことを知りたいとは
思っていない。
そういう私も、
ついこないだまでそっち側の人間だった。
 
そっち側。
生徒のためなら、自分を犠牲にして
今を乗り切ろうと目をつぶって走る人達。
時間内に到底できるはずのない業務量を
「私は仕事が遅いから」と自己嫌悪に陥る人達。
自分の体調が悪くなっても、
休めないと言って無理を続ける人達。
 
今こっち側。
病休あけで無理をさせられない人。
特別待遇だから定時に帰れる人。
 
面白いのは、
そっち側の人も私には「私もしんどいんです。」
と言ってくるのだ。
みんな私に気遣って
「調子はどう?無理しないでね。」と言いながら。

最近、片耳が聞こえにくいんだ。とか、
ソロキャンプしたいけど、
行動力がなくて実行に移せないんです。とか
もっと本とか読んで
今のことを理解しないといけないのに、
全然勉強ができないんです。とか
頑張ってやっているのに
みんなが協力してくれなくて、悲しくなる。とか。
 
それ全部仕事が忙しすぎるんやで。
長時間労働と休みなく働き続けた結果やで。

今の生活してたら、誰だって体調も悪くなるし、
楽しみをやりきる元気も沸かないし、
本も読めない。
新しいこと、生徒のためになることだって
分かってたって、もう取り組む余裕もない。
だから一人で頑張ってる気持ちになって辛くなる。
 
分かってないのか。
分かっていても変えられないのか?
そもそもやりがい搾取されてる自覚もないのか?
 
学校のほとんどの先生が「給特法」のもと、
休憩時間ゼロ分の「定額働かせ放題」
の限界のなかにいる。
特に若い先生が辛そうにしているのを
見ているのが辛い。
私に何ができるんだろう。

そう思いながら、
「私は自分と自分の家族と自分の人生を守ります。」
と思って帰る。
今私の立場だからできることがあるんじゃないか。
今は本を読んでいる。

「先生がいなくなる」
内田良 小室淑恵 田川拓磨 西村祐二
 


病んだ私が今できることは
皆に働き過ぎを伝え、
若手にあなたは何も悪くないし、
立派にやっているよと
励ますことなのかなと思っている。

といいつつ、残暑が厳しく
自分の体調整えることもままならず、
休んで仕事に穴を開けているような日々です。
(涙)

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