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パンに魚
最初のヨーロッパというか海外の旅はイタリアだった。
マクドナルドで「ビール」を飲もうとして「ウナ ビッラ ペルファヴォーレ」と言った(つもり)。
私の外国語での注文は、とにかく名詞さえわかれば「〇〇 プリーズ(ペルファヴォーレ・シルヴプレ・ビッテ等)を付けるというものである。
名詞がわからないときは、「あれ」と呼ぶし、それすら出てこないときはほかの人のを指さす。
出てきたのは、なんと「フィレオフィッシュ」だった。
どうやら「ビッラ」が「フィレ」に聞こえたらしい。
どういう耳をしているのか。
いや、私こそどういう発音をしているのか。
日本のマックでもフィレオフィッシュは食べない。
まだフランスに暮らす前だったので、「パンに魚」というのに違和感があった。
パンには肉でしょみたいな。
でも「にしんそば」は好きなのだ。
麺に魚はどうしてOKなのか、そこのところは自分七不思議のひとつ。
(あとの6つはなんなんだよ。)
フランスで暮らすようになり、日常的にスーパーに出入りするようになると、中に出店している魚屋さんにも行くようになった。
パックされて置かれているのではなく、「シルヴプレ」と言葉に出して、魚屋さんが皿から袋に入れてくれるほうが美味しく感じる。
これは日本でもそう。
市場や屋台には、満腹でもつらつらと寄って行ってしまう。
さすがに刺身はないので、よく買ったのは「干物」である。
いまは日本でも「フレンチ干物」と称して売っているけれど、当時フランスで干物が食べられるとは思っていなかったから、それこそマックでビールが飲めるのと同じくらい喜んだ。
特に「鯖」。
ゴマサバではないかと思っている。
初めはこまめにご飯を炊いていたが、前の住人が置いていった炊飯器の調子がよくないのもあり、だんだん面倒くさくなった。
いいじゃないか、パンに魚でも。
チラッと醤油を垂らすと、とても美味しい。
想像の中では「パンに醤油」というと、それはそれで違和感はあるのだけれど、現実には意外といける。
でも、そのあとも、マックでフィレオフィッシュを注文することはない。
味そのものより、たぶんシチュエーションが大事なのだと思う。
フランス滞在中に行きたかったのに行けなかったのはポルトガル。
ナザレの屋台で炭焼きのイワシを食べたかった。
そのときには、絶対に醤油を持って行こうと決めていた。
オランダやベルギーでは、イワシを挟んだパンを食べたけれど、酢漬けは苦手。
やっぱり焼いたのに醤油をかけて食べたい。
実現しなかったのはいまも残念に思っている。
とはいえ、基本的に食べ物にはさほど興味はない。
タグチさん同様、私も街並みと絵画目当ての旅である。
それと鉄道。
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しかし、その中で「鯖」の印象は強く残っている。
そういえば、日本の居酒屋で「やきそば」をオーダーしたら「焼き鯖」が出てきたことがあった。
「フィレ」と「ビッラ」よりは、似ている。
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