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勝手につぶやき<光る君へ(第44回)>
「望月」の回だった。
まひろとの逢瀬や想いの象徴として描かれてきた月だが、今回が一番美しくなかった。
これまで見聞きした中でもっとも不穏で不安で寂しげな望月の歌だった。
娘らを政争の道具とし、誰も幸せにしない婚儀を強いてきた道長。
頼通が引き継いだのは、やりかただけで、民への思いは置き去りなのだろう。
そもそも、このドラマでは途中から民への思いはさほど感じられなくなり、そういう道長をまひろがどうとらえているかが曖昧になっているような気がする。
政敵がどんどんいなくなることで、物語がシンプルになってしまったせいもあるが、ふたりの「思わせぶり」っぽい演技がちょっと鼻につく。
思えば、別れを予感して廃屋で抱き合ったときの月が一番きれいだったよな。
どんなに権勢を恣にしても、残りの命は左右できない。
月にも歌にも負のオーラを感じたのは、そういうことなのかな。
返歌を求めて実資を指名したのは、イエスマンでなかった最後の砦を突き崩した意味と感じた。
返す歌もなく唱和した実資は、その意を悟って恭順したということかと。
盃を回す場面は、なんだか「組」の固めの杯みたいだなぁ。
先例に基づいた慣習なのだろうが、当時に明るくない私は、さまざまな思いを重ねられるシーンだった。
武士の戦のない物語で1年をつなぐのは難しかったろうと制作側に心も寄せている。
前半は、謀殺や駆け引きだけでなく、父と息子の葛藤などもあったので、次回を楽しみにしていたのだが、いまはそうでもない。
同志やソウルメイトとしての関係性を感じるシーンが不足しているので、月を見上げて終わった恋を懐かしんでいる未練がましさみたいなものがあって、やや興ざめ。
正直に言えば、残り回数の指を折っている。
文化芸術の作り手が主役よりは、世の中を動かしていった人の話のほうが、やはりわかりやすいし描きやすいと思う。(でも「家康」はつまらなかった。)
来年は蔦重かぁ。
そういえば、死んだ兄が、大河の題材として「長谷川等伯」を挙げていた。
嫌いではないけれど「たぶん無理」と答えたことも懐かしく思い出す。
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