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スーパーと図書館

イトーヨーカ堂がネットスーパー事業から撤退すると報じられている。
残念でならない。
もう20年以上利用していて、3か所の届け先を登録して、二つの実家の分も私が注文していた。

社畜だった頃、12時前に帰れることはないので、買い物はもっぱらネットスーパー。
自家用車なしの暮らしだから、重いものや嵩張るものを買うにも欠かせない。
コロナの感染爆発期はもちろん、交通事故で片手が不自由になってからは、重さも嵩も関係なく注文してきた。
私のこれまでとこれからの暮らしはネットスーパーなしでは成り立たない。
スーパーに行く時間はあっても、体力がなくなる老後を考えると、高齢化社会における買い物弱者を増加させる懸念がある。

そうはいっても、時間指定のあるピックアップ及び配送は、手間の割に採算が取れないのだろうと思う。
ただでさえ、経営が厳しくて売却も噂されるヨーカドーがこの事業を切るのはやむを得ないのだろう。

ほかに楽天西友(楽天マートと改称)とイオングループの二つのネットスーパーに登録しているが、生鮮物の鮮度や総菜の品数など、ヨーカドーには敵わない(ような気がする)。

ネットスーパーには、店舗から来るのとセンターから来るのがあって、店舗は配送距離が短いので、冷凍しない生鮮食品を届けてくれるが、センターは距離があるので、ほぼ冷凍。
私のような単身世帯だと、大容量の冷凍の魚介類や肉類は保管や消費に困惑する。
冷蔵品が届いて、自分で小分けにして冷凍にしたい。

しかし、センター方式にした楽天西友は、今期は黒字になったという。
ヨーカドーもセンターを建てたが、もうそのときは本体のスーパー事業が傾いていたので焼け石に水だったのかもしれない。
店舗の閉館も相次いでおり、長く親しんできた私には不便なだけでなく淋しい気持ちでいっぱい。

今日までは涼しいというので、安心して出かけた。
袖をまくったけれど、この秋初めての長袖シャツで。
月イチの入眠剤処方のための受診をして、帰りは図書館に行ってみた。

実は私は図書館で本を借りるのが苦手。
読みたい本は購入する。
だから、ときどき失敗して期待外れのものにお金を出してしまう。
でも、だからこそ、その選択が一種の勝負であり、吟味の過程そのものを楽しんでいる。
そして、何よりも「返却期限」が、私の心を圧迫するからである。
ネットスーパーに頼らなければ日常の買い物に行く時間すら取れるかどうかわからない日々を送っていたから。

そして、図書館は私にとって「勉強をするところ」。
小・中・高・大とずっとそうだった。
しかし、我が家の最寄りの図書館は自習が禁じられている。
狭いという事情はわかるけれど、それを知ったとき「ふん!」と思った感情が、そのあとの負のイメージをずっと支配している。

同居して療養していた兄は、抗がん剤をやめてすこし体調が回復すると、自力でさっさと図書館に行き登録を済ませた。
そして、私はどうして利用しないのかと不審そうだった。
でも彼は死んでしまって、最後は私が返却に行った。

交通事故で、突然1か月も家を空けなければならなくなったときも、「期限までに返さなければならないもの」がなくて本当に良かったと思った。
動物も飼わないし、植物も育てない。
風呂の湯もすぐに落とすしゴミも溜めない。
それは私ができなくなったとき代わってやってくれる人がいないから。

その私が、急に図書館に行く気になったのは、ただの気まぐれ。
介護が終わり、手のリハビリが終わり、仕事も辞めたというのが大きい。
「しなければならないこと」からの解放。

登録して、とりあえず4冊借りてきた。
お金を払うわけじゃないので、選択がテキトー。
選択がテキトーだと、「どうしても読みたい」という熱意も比例して低い感じがする。
でも、テキトーに選んだ中に大当たりがあるかもしれないし、人生は往々にしてそういうものかもしれないし。


読んでいただきありがとうございますm(__)m