それでも私は、ノエルではなくオアシスが好きだ。
私はオアシスが大好きだ。ノエルやリアムのソロよりも。
この2文を書くのに、私はありったけの勇気を振り絞った。振り絞るまでには、こんな出来事があった…。
今年の6月、1年ほど推してきたオアシスやノエルの曲が、なぜか突然いっさい聴けなくなった。
まるでオアシスと入れ替わるように、私はヒロト&マーシーに出会い、ブルーハーツやハイロウズに夢中になっていった。
そこで私は、気が重くなった。
ノエルを見るために、フジロックのチケット取ってるのに…。
そのとき、フジロックはちょうど1ヶ月後に迫っていたのだ。私は焦った。
どうしよう。ノエルを生で見れるの楽しみにしてたのに。また好きにならなきゃ。早くまた好きにならなきゃ。
一瞬そんなことを考えた。でも、すぐに思った。
推し活、義務になったら終わりじゃない?
流れに身を任せていれば、もしかしたら、またいつかオアシスやノエルが好きになれるかもしれないのだ。義務にするのはやめよう。そう思った。
とはいえ、両親に頼み込み、高いお金を払って買ったチケットだ。フジロックには行くことにした。そこでノエルを見る。別に、好きじゃない状態でノエルを見たっていいじゃないか。チケットを取ったときの私は、間違いなくノエルが好きだったんだから。
そして7月28日。フジロック最終日。21時10分。私はいよいよ、憧れに憧れたノエル・ギャラガーを生で見た。その声を生で聴いた。かっこよかった。大興奮した。いくら気持ちが冷めていたとはいえ、やっぱりあれだけ好きだったんだから、流石に盛り上がった。最後のDon't Look Back In Angerの合唱では、涙が出てきた。
そこで、私は気がついた。
私、ノエルじゃなくてオアシスが好きなんだ。
それは残酷な気づきだったと思う。というのも、その直後に、Xでとある投稿を目にしたのだ。
「ハイ・フライング・バーズにも名曲はたくさんあるのに、いつまでもオアシス時代の曲を求められたら、イヤになってしまいそう」
投稿主さんに許可を取っていないので、引用はできないが、そんな内容の投稿だった。私は心臓を直接握り潰されたような気がした。
私はノエルにとって、イヤなファンなのかな?オアシス、あんまり聴かない方がいいかな?ノエルのソロ曲、全部買った方がいいかな?
そんなことを考えて、かなり落ち込んだ。
フジロック2日後、生理痛も相まって、私は抜け殻のようになって布団にくるまっていた。身体がだるくて起き上がれなかった。
どうしたらいい?私はオアシスが好きなのに。オアシスが聴きたいのに。
そう思った途端、気づいた。
聴きたいなら聴けばいいじゃん。
そうだ。聴きたいときに聴きたい曲を聴けばいい。ノエルがソロで活動してるからって、オアシスを聴いちゃいけないわけじゃない。
私は手を伸ばしてスマホを取った。そして、何ヶ月ぶりかにDigsy's Dinnerを聴いた。オアシスの中で特に大好きな曲だ。
聴いていると、心がすーっと軽くなっていった。
そして、なぜ6月に、突然オアシスやノエルが聴けなくなったのかが分かった。
フジロックに向けて、私はノエルのソロ曲を好きになろうと必死になっていた気がする。それで、イヤになったのかもしれない。
今のノエルがオアシスじゃないことは知っている。
だけど…ノエルには本当に申し訳ないと思うけど、それでも私は、ノエルではなくオアシスが好きだ。
無理にオアシスを避けたり、ノエルのソロを聴いたりする必要はない。そんなことをしても楽しくない。大事なのは楽しむこと。私は楽しむために、オアシスを聴く。そしてときどき、ハイ・フライング・バーズも聴く。別にアルバム全部を揃える必要はない。
ノエルの余韻を味わうために、他のアーティストの曲はしばらく聴いちゃいけないような気がしてたけど、そんな決まりもない。だからハイロウズやクロマニヨンズも、普通に聴くことにした。もっと自由にロックを楽しむことにした。
これからも、そんな感じで生きようと思う。
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