ブランディングへの軌跡②
農協さんへ出荷をし始めた頃に、出荷に対してどうしてもクリヤーできない問題があった。
岐阜ほうれん草の出荷基準は指定のボードン(野菜袋)に6本180g以上という条件がLサイズという1番買取価格が高いものになる。
化学肥料を抑えて硝酸態窒素を抑えれば虫害を減らす効果があるので、あす菜のほうれん草は生育期間のほとんどは農薬をかけることはない。しかし化学肥料が少ないためゆっくり育つ抑制栽培の部類になる。種もシーダー加工してもらっているので均一の株の大きさになり太株になる。
露地栽培でゆっくり育ったあす菜のほうれん草は収穫時までに3ヶ月は要する。収穫期には1株で50-80gが平均値となる。
先ほどの農協さんのLサイズ出荷基準を満たそうとすると1袋あたり300gくらいになってしまう。
いわゆる『出荷できない』状況が続いていたのだ。多くのほうれん草農家さんは、畑の回転率を上げるため促成栽培気味に育てている。当然ながら株も細く、茎が長く葉っぱが小さいほうれん草になり、エグみも出る。安くてもいいからとにかく量を捌くほうれん草農家が多いのも『致し方ない』のである。
そもそもほうれん草のブランディングをしている農家も日本には少ないのもあり、あす菜的にはこれまた個選に進むのは『致し方ない』状態でもあった。
そんな悩みまくっていた頃に出会った日本料理「食堂碧空」の高田氏にうちのほうれん草をお店で使っていただけることになった。
『食べたことのない甘さ』
『合えても葉の噛みごたえが残ってる』
『他の食材に負けない味の強さ』
そういった言葉を頂き
『あす菜の極ほうれん草』
という名で正式にブランディングを開始することに。
しかし、農協出荷しかしたことのない私だったので販路も何もない。
ここからひたすら販路を探すことになる。
あす菜の極ほうれん草が出せる場所とあらば!
とにかく足を使ってひたすら出荷した。
マルシェ
様々な料理店
SNS
大手、老舗スーパー
とにかく出しまくった。
しかし、ほうれん草を作って2年目だったので、それでも畑の実験は繰り返した。土に合わせて施肥量を変える。畝ごとに種を蒔く深さを変える。生育初期段階でのルーティンを変えるなど…
そうして少しずつだったが地元でも認知されていき、糖度10を超えるほうれん草を育てることができるようになってきた。
お値段も規格も全て自分が決められる。もちろんお客さんの購入判断が大切なので微調整を繰り返しながら販売していった。
その際に1番大切にしたかったのが
『デザイン』
である。
(To be continued)
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