私の災害ボランティアとの関わり | 吉田 敦(福岡被災地前進支援 )
第1回:災害ボランティアのハジメのイッポ
私が災害ボランティアを始めたのは2011年3月に起きた東日本大震災がきっかけでした。当時の私は東京でサラリーマンとして働いていて、震災当日はたまたま有休を取って新宿にいました。大きな揺れが続きただならぬ気配を感じました。帰宅しようと駅に向かいましたが、電車は一向に動く見通しはありませんでした。そこで、新宿駅から自宅までの約18キロを帰宅難民の一人として、途中で休みを取りながら6時間かけて歩いて帰りました。そして帰宅した自宅は本棚や戸棚が倒れてぐちゃぐちゃでしたが、幸い大きなダメージはありませんでした。
震災からしばらくはスーパーの商品が品薄になったり計画停電が行われたりしましたが、東京は徐々に日常生活を取り戻していきました。テレビの報道番組では連日被災地の状況を放送しており、たくさんのボランティアの人達が現地に入っている様子も伝えていました。そのうち、SNS等で友人知人がボランティアに行っていることを知り、自分はこうして東京で日常生活を送っているだけでいいのか、という後ろめたさを感じるようになりました。
そんな時、たまたま出かけた震災ともボランティアとも無関係の趣味の集まりで、隣りに座った人が「私は今自分に、月に1回被災地にボランティアに行くことを課しています」という話をしてくれました。そこで私は彼女に、過去に活動に参加したことがあるという団体を紹介してもらい、その団体と連絡を取って生まれて初めて災害ボランティアの活動に参加したのは2011年11月でした。
当時55歳のわたしにとって、災害ボランティアのハジメのイッポを踏み出すのはなかなか勇気のいることでした。しかも、私のボランティアに行こうと思った動機は、何もしないで東京で日常生活を続けるのは後ろめたい、と言う不純なものでした。
震災発生から8ヶ月も経って初めて参加した初老のボランティアに対し、30代が中心のボランティア団体の運営メンバーからは、多分この人は一度限りの参加で長続きはしないだろうと見られていました。ところが、平日は会社で管理職としての責任を持ち、ストレスの多い職場環境にいた私にとって、週末に新人ボランティアとして被災地に行き、若い運営メンバーの指示に従って身体を動かすのはとても心地良く、リフレッシュすることができたのです。それでいて、大した働きもしていない私にも、被災者の方々からはいつも感謝の言葉をいただけていました。そんな訳でこの団体での活動は、個人的な事情で東京での仕事を辞め福岡に帰る2013年7月まで続けることになりました。