選択できなかった

私は大好きなバレーボールの
テレビ中継を見ることが
苦しくなった。

バレーボールのニュースが流れると
酔った父が挑発するように私に言う。

「お前バレー部なんで入らんのか」


誰のせいで
何を思い出して
身体が震え
苦しくなると思っているのか。


私が勇気を振り絞って
かけた電話のことも、
酒が入れば忘れてしまう父。

私はバレーボールを失ったのに
顧問教師から嫌がらせを受けたのに
父にとって私は酒に酔った時に
適当に扱えるカスのような存在なんだ


けど世間は言う。
バレーボールをするという選択を
しなかった私が全て悪いと。
私が弱いと。
殴られるのを怖がった私の弱さだと。
私が最終的に決めたから私が悪いと。


虐待されて育った12歳の私には
重すぎる世間の声だった。
母もそう言ったことがあった。
「あんたがバレーボールを
選ばなかったと。

選べなかったんだよ。

殴られる仲間を見て
その度に過去の私が「助けて」と叫び
震えている

そんな部活を私は選べなかったの。

12歳の私に、大の大人が
「あんたが悪い」という環境。

私は、


死にたかった。


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