- 運営しているクリエイター
#天気予報
【短編小説】習作・夢の話・神社 もりたからす
私は小学生の姿で、早朝の境内に立っていた。曇天。集団登校の待ち合わせは石灯籠の脇と決まっているのに、班の仲間は誰も来ない。
斜向かいの八百屋から出てきた店主が、大銀杏の先端めがけ、空砲を放つ。スズメとヒヨドリが一斉に北東へ飛び立つ。
私はなぜだか彼に、花を贈りたいと思った。しかし境内にはヤマゴボウの実ばかりが成り、タンポポ一つも咲いていない。
振り返ると、石段の先、神社の中で独演会が始まって
私は小学生の姿で、早朝の境内に立っていた。曇天。集団登校の待ち合わせは石灯籠の脇と決まっているのに、班の仲間は誰も来ない。
斜向かいの八百屋から出てきた店主が、大銀杏の先端めがけ、空砲を放つ。スズメとヒヨドリが一斉に北東へ飛び立つ。
私はなぜだか彼に、花を贈りたいと思った。しかし境内にはヤマゴボウの実ばかりが成り、タンポポ一つも咲いていない。
振り返ると、石段の先、神社の中で独演会が始まって