本や音楽に救われて/瀬尾まいこさん/chapman
人の心を救う芸術
小説や音楽のワンフレーズに、ハッとさせられたり共感することで救われることが多い
救われる作品というのは、寂しさと静けさを備えたどこか内省的な雰囲気が感じられる
上へ上へと腕を掴んで引っぱりあげるのではなく、私たちの隣に座って腕をさすってくれるような温かさがある
夜明けのすべて/瀬尾まいこ
PMSと聞いて、読まずにはいられなかった
最初は病気と向き合う二人の描写に苦しくなったが、フレディのくだりでは思わず笑いが
いつも周りの目を気にして気を遣ってばかり
そんな自分にうんざりしているという美紗に対して、
山添くんは「単に人に喜んでもらうのが好き」なのではと言う
"人の評価を気にして好かれようとしてる"と言うと響きが悪いけど、"人に喜んでもらうことが好き"だからここまでやれるのだと
人の評価を気にすると言うことと、人を喜ばせることが好きということは、案外表裏一体なのかもしれない
共感したところ↓
俺は昔の自分が好きだ。社会の一員として生き生きとした毎日を送れている。そう自負できた。
過去の栄光にすがるのは格好悪い。そんなことは百も承知だが、今の俺とじゃ雲泥の差だ。(p144)
心に響いたところ↓
なんとかすれば誰かの下にたどりつけることは、きっと藤沢さんが教えてくれた。(p226)
yoake/chapman
YouTubeの広告なんて数十秒だけど、その短い時間に心を掴まれてMVを観に行った
そしてiTunesでポチっ
長かった夜の話をしよう 酸いもあまいも全て
あなたが連れ去った 痛みならぼくも背負うさ
聞かせてよ (yoake/chapman)
この曲を聴くことで、自分が誰かから「長かった夜の話をしよう、聞かせてよ」と言われた気持ちになった
「長かった夜の話をしよう」という言葉からは、もう夜から抜け出してもいいという解放を促すような意味も感じられる
優しさがあるけれど、無責任に"僕が救うよ"とは断言しない
夜でも朝でもない夜明けという時間帯を象徴する、暗すぎず明るすぎず微かな希望を予感させる曲
レトロなサウンドに惹かれて聴きに行ったが、こんなに歌詞に救われるとは
夜に聞いても朝に聞いても心地が良い
この曲に出会い、"人の心を救うための芸術"に興味が湧いた
いつか自分もそんな作品を生み出せる日が来るだろうか
音楽の素敵なところは、言葉だけでなく映像やサウンドでも表現ができること
個人的にいろんな楽器の音が聞こえる曲が好きで、「あ、トランペットの音だ」「今のはトロンボーンとハモってるな」「鉄琴が聞こえる...」と耳で楽しむのも心地がいいし、その細やかさに人の温もりを感じられる