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アニー・エルノーの「シンプルな情熱」とボーヴォワール

ノーベル文学賞のアニー・エルノーの「シンプルな情熱」をようやく読んだのですこし備忘録。
離婚し、子供も独立した50過ぎの女性の年下男性への不倫の肉体的な熱愛。まずその強度にのけぞる。
 ボーヴォワールの雰囲気によく似ている。ボーヴォワールがサルトルなどを中心とした実話ベースに対してこちらは小説化したものかとおもったら、サルトル、ボーヴォワールの影響下にいることを自ら表明しているそう。また、ピェール・ブルデューについても影響を受けていると。でもブルデューは階層固定化の理論なのでちょっと違う気もするが、それを破る大変さを描いても社会学的に納得できるということだろうか。
「もっとも、私の新しいブラウスやパンプスが彼の目にとまるのはせいぜい5分間で、あとは彼が立ち去るまで、その辺にぬぎすてられたままになるのだった。」
 このような肉体的な性愛が語られ後半は一転客観的な描き方で、それが魅力的。
 氏は労働者階級に生まれ、「階級を上がっていった」。家族との軋轢があった。それも別の小説に父編母編になっている。フーコーの伝記やレヴィ=ストロースの対談で有名なDDエリボンと同じである。
 氏が結婚し結婚に絶望して離婚した様子は別の小説「凍りついた女」に描かれているとのこと。手元に届いたところなので今週読みはじめられるかも。

エロイーズ、ボーヴォワール、アガサンスキー、エルノーと性愛を並べて読むとそのエロティックな表現にますますそれぞれに惹かれると思われる。

国内だったら、蜻蛉日記、紫式部日記、乱れ髪、村山由佳とか並べる感じ。Life is mystery.

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