バルコニアン(32) 桔梗じゃなく、カンパニュラ?
淡いピンク色の花をつけた桔梗
前回のnoteで、淡いピンク色の花をつけた桔梗を紹介した。寒い冬を乗り越え、二年越しに咲いた花。この花を見たときは感動した。
ひょっとしてカンパニュラ?
しかし、本当に帰郷なのだろうか? 一抹の不安はある。何しろ、よく見る桔梗色(紫色系)の桔梗とは雰囲気が違うからだ(図2)。
そこで、図鑑を調べてみることにした(『新装版 園芸大図鑑』ブティック社、2022年)。すると大発見。「カンパニュラ」という花があった(図3)。桔梗科の花だ。別名は「ベルフラワー」あるいは「フウリンソウ」。また、鐘の形に似ているので「釣鐘草」とも呼ばれる。
『銀河鉄道の夜』を思い出す
そこで、思い出した。
「そうか、「カンパニュラ」だったのか。『銀河鉄道の夜』に出てくるカムパネルラと名前が似ている。だから、園芸店で買ったんだ。」
そう思って、今一度、花を見てみた(図4)。やはり、「カンパニュラ」でよさそうだ。
「カンパニュラ」の花言葉は感謝、誠実な愛、思いを告げる。
『銀河鉄道の夜』では、カムパネルラは主人公のジョバンニの親友だ。せっかく銀河鉄道の旅を一緒に楽しんだものの、それは夢。カムパネルラは友人を助けるために川に入り、溺れてなくなっていたのである。
カムパネルラの名前の由来
では、『銀河鉄道の夜』に出てくるカムパネルラの名前の由来は花の「カンパニュラ」なのだろうか? そう考える向きもある。
また、「釣鐘草」→「釣鐘の形をした山」→南昌山。カムパネルラの名前だけでなく、『銀河鉄道の夜』の舞台を南昌山とする説に結びつける考えもある。
賢治は『銀河鉄道の夜』を構想したとき、物語の舞台を南欧にした。そのため、登場人物の名前はイタリア系にした。大正十三年に『注文の多い料理店』が出版されたが、それを祝う会の席上のことだ。『注文の多い料理店』の装幀と挿画を担当した菊池武雄と賢治との会話が残されている。
「今こんなものを書いている」
「どんなのだス」
「銀河旅行ス」
「ワア、銀河旅行すか、おもしろそうだナ」
「場所は南欧あたりにしてナス。だから子供の名などもカンパネラという風にしあんした」 (『「銀河鉄道の夜」を読む』西田良子 編著、創元社、2003年、16頁)
なんと、最初のアイデアでは、カムパラネルラではなく、カンパネラだったのだ。
盛岡に溢れる『銀河鉄道の夜』
盛岡を散歩していると『銀河鉄道の夜』を感じることが多い。その例は、お店の名前だ。ジョバンニ(図5)。そして、カムパネラ(図6)もある。
盛岡は本当によい街だ。