天文学者のひとり言

天文学者です。 キーワードは銀河、銀河中心核(超大質量ブラックホール)、ダークマター、宇宙論です。 銀河の誕生と進化、そして超大質量ブラックホールの誕生と進化。 宇宙史の中でこれらの出来事がどのように起こったのか調べています。 趣味は読書と園芸です。

天文学者のひとり言

天文学者です。 キーワードは銀河、銀河中心核(超大質量ブラックホール)、ダークマター、宇宙論です。 銀河の誕生と進化、そして超大質量ブラックホールの誕生と進化。 宇宙史の中でこれらの出来事がどのように起こったのか調べています。 趣味は読書と園芸です。

最近の記事

バルコニアン(36) 小さい秋にアカタテハ蝶

もう11月なのに11月3日。文化の日だ。1年のうちで、文化の日は例外的に晴天率が高いそうだ。確かに今日も青空が綺麗だ。 お昼頃、我が家のバルコニーに出てみたところ、一匹の蝶が舞っていた。なんと、アカタテハだ(図1、図2、図3)。前回のnoteでは、7月にツマグロヒョウモンという蝶を見た話をした。 考えてみれば、アカタテハも久々に見る蝶だ。 生まれたばかり?アカタテハは春から晩秋にかけて見られる蝶だ。年に数回成虫になるとのこと。 今日見たアカタテハの羽はとても綺麗だった

    • 宮沢賢治の宇宙(102) 賢治の全集

      三つの賢治全集我が家には三つの宮沢賢治全集がある。 [1] ちくま文庫の『宮沢賢治全集』(図1) [2] 筑摩書房の『校本 宮澤賢治全集』(図2) [3] 筑摩書房の『新校本 宮澤賢治全集』(図3、図4) きっかけは『銀河鉄道の夜』を読んだことだった。賢治の他の作品も読みたくなったのだ。そこで、まず、ちくま文庫の全集を買った(図1)。その後、もっと本格的な賢治全集があることを知り、手に入れたくなった。神保町の古書店に出かけたら、二種類の全集が置いてあった。校本と新校本の全

      • ゴッホの見た星空(36) 広重ブルーから《星月夜》?

        葛飾北斎の《神奈川沖浪裏》からゴッホの《星月夜》へ以前のnoteで、『印象派と浮世絵』展を観て大発見があったという話をした。 展覧会では《神奈川沖浪裏》と《星月夜》が広い会場の壁に並んで大写しにされた(図1)。《神奈川沖浪裏》に描かれている大波は「逆巻く波」。たしかに、ゴッホの《星月夜》に通じるものがある。 の後、「すみだ北斎美術館」に出かけたとき、一冊の本に出会った。『北斎と数学』(新藤茂、東京美術、2024年という本だ。「浮世絵」と「数学」を融合して研究している新藤茂

        • 天文俳句 (21)天文俳句の本を書いてみた

          天文俳句の本を書いてみる前回のnoteでは「天文俳句の本を書いてみる」ということで、目次をお示ししました。あまりにたくさんの項目があって驚かれたかも知れない。 しかも、ずいぶん細かい項目が列挙されている。「なぜだろうか?」と疑問を持たれたのではないだろうか。 答えを言うと、実は、もう書いてしまったのだ。本のタイトルも前回のnoteに書いたが、『宇宙(そら)の風情』にした。 天文学者、句会を開く事の発端は、5年前に遡る。天文学者の仲間内で句会を開こうということになった。参

          宮沢賢治の宇宙(101) アルフィーのことでした

          ある日のことでしたある日のこと、夜、テレビを見ていた。番組は『SONGS』。ゲストはアルフィー。 アルフィーは大好きなバンドだ。気持ちよく曲を聴いていたら、私の知らない曲が流れてきた。それは『Brave Love 〜 Galaxy Express 999』という曲だった。 メビウスの輪曲の途中、意外な言葉が飛び出した。 ああ メビウスの輪の中から 逃げ出せないままでいる なんと、「メビウスの輪」という言葉が出て来たのだ。 曲は続く。 時の謎を解く鍵を探して彷徨う

          宮沢賢治の宇宙(101) アルフィーのことでした

          天文俳句 (20)天文俳句の本を書いてみる

          星や星座は季語になるか?2023年12月29日から始めたnoteへの記事の投稿。丸9ヶ月以上経過したので、振り返ってみることにした。「天文俳句」をテーマにした記事は19ある。その中で、読者の方に読まれた回数(ビューの回数)を調べたところ、表1のようになった。 第8話で書いた「結局、星と星座は季語にならないのか?」が1459回を数え、ダントツのトップであることがわかった。このビュー回数は私が他に書いたnoteの記事「宮沢賢治の宇宙」や「ゴッホの見た星空」における最高ビュー回数

          天文俳句 (20)天文俳句の本を書いてみる

          天文学者のひとり言(2) 投稿記事を振り返れば発見がある

          「天文学者のひとり言」2023年12月29日、ハンドルネーム「天文学者のひとり言」でnoteに記事を書き始めた。今日は10月11日なので、投稿開始から280日余りが過ぎた。現在までの投稿を振り返ると、表1のようになる。 記事数が多いのは「宮沢賢治の宇宙」で、つい最近100話を数えた。その次に多いのは二つある。「ゴッホの見た星空」と「バルコニアン」で、いずれも35話ある。 記事が読まれた回数noteにはダッシュボードという機能があり、記事が読まれた回数(ビュー回数)、スキを

          天文学者のひとり言(2) 投稿記事を振り返れば発見がある

          宮沢賢治の宇宙(100) 好まれる賢治の話題は何か?

          遂に100話となりました!このnote「宮沢賢治の宇宙」は、この記事で第100話目となった。 前回のnoteではビュー回数順で記事のベストテンを紹介した(表1)。 この表を見ると、賢治の残した謎の言葉に対する関心の高さがわかった。用語をリストアップすると次のようになっていた。 イサド クラムボン ポラーノ ケンタウル ペネタ noteの読者に好かれる賢治の話題は何か?読者に好かれる賢治の話題はなにか? これは気になる。そこで、「スキ」の回数順で、「宮沢賢治の宇宙」の記

          宮沢賢治の宇宙(100) 好まれる賢治の話題は何か?

          宮沢賢治の宇宙(99) もうすぐ100話を前に

          気がつけば99話このnote「宮沢賢治の宇宙」も気がつけば99話を数える。次回は第100話。ちょっと、信じられない数字だ。 noteに原稿を書き始めたのは2023年12月29日。「天文学者のひとり言」というハンドルネームで、日頃考えていることを発信することにしたのだった。それから9ヶ月と10日あまり(280日)が経ったが、書いた記事の数は257。ほぼ、1日1話という感じだ。実際、185日連続投稿もした。しかし、これは狙ったことではない。それまで、いろいろ書き溜めていた原稿が

          宮沢賢治の宇宙(99) もうすぐ100話を前に

          宮沢賢治の宇宙(98) 『旭川音頭』で荒海超えて

          旭川三部作最近、noteに北海道旭川市の話題で二つの記事を書いた。 宮沢賢治の宇宙(96) 北海道旭川市にある賢治の詩碑 宮沢賢治の宇宙(97) 賢治の詩『旭川。』に松わる三つの謎 何事も三つ。落語でも三題噺(さんだいばなし)という言葉がある。そこで、もうひとつ旭川にまつわる話をしたい。 『旭川音頭』旭川を題材にした歌、『旭川音頭』がある。正式には『観光旭川音頭』という(補遺1参照)。 🎵 来たよ 来ました 🎵 荒海越えて 🎵 北の都のよいやされ旭川 🎵 一夜泊まり

          宮沢賢治の宇宙(98) 『旭川音頭』で荒海超えて

          宮沢賢治の宇宙(97) 賢治の詩『旭川。』にまつわる三つの謎

          北海道の旭川には賢治の詩碑がある前回のnoteでは北海道の旭川市内にある賢治の詩碑を見た話をした。この詩碑は、賢治の詩『旭川。』に由来する。 賢治が旭川を訪れたのは1923年夏のサガレン(樺太、サハリン)旅行の途中のことだった(表1)。旅の目的は前年(1922年)に亡くなった妹トシの面影を求めることにあった。そのため、表1に挙げた詩には挽歌が目立つ。実際、読んでみるとわかるが、暗いトーンの詩ばかりだ。 詩『旭川』には三つの謎がある。順次、説明していこう。 第一の謎:なぜ

          宮沢賢治の宇宙(97) 賢治の詩『旭川。』にまつわる三つの謎

          宮沢賢治の宇宙(96) 北海道旭川市にある賢治の詩碑

          北海道、旭川市に行ってきた4泊5日の行程で、北海道の旭川市に行ってきた。羽田―旭川のフライトがあるので、行くのは簡単だ(図1)。今回の旅では天気も良く、大雪山や十勝連峰の山並みを堪能することができた。 賢治も訪れた旭川中学校今回の旅の目的の一つは、旭川市内にある賢治の詩碑を見ることだった。 賢治が旭川を訪れたのは1923年夏のサガレン(樺太、サハリン)旅行の途中のことだった(表1)。 あまり知られていないが、賢治の作品の中に「旭川」という詩がある。『春と修羅』補遺に収め

          宮沢賢治の宇宙(96) 北海道旭川市にある賢治の詩碑

          宮沢賢治の宇宙(95) 賢治の臨死体験が『銀河鉄道の夜』を生んだ?

          心理学者、河合隼雄の『宗教と科学の接点』先日、河合隼雄による『宗教と科学の接点』(岩波現代文庫、岩波書店、2021年)を手に入れた。この本は1986年に出たものだが、岩波現代文庫で復刊されたものだ(図1)。 河合隼雄(1928-2007)は心理学者で分析心理学(ユング心理学)を専門とした人だ。非常に著名な人で、まったく分野は違うものの、学生時代から河合の名前だけは知っていた。谷川俊太郎との共著『魂にメスはいらない』(朝日出版社、1977年)は昔、買って読んで記憶がある。今回

          宮沢賢治の宇宙(95) 賢治の臨死体験が『銀河鉄道の夜』を生んだ?

          宮沢賢治の宇宙(94) 『銀河鉄道の夜』探検ブック

          畑山博の『「銀河鉄道の夜」探検ブック』前回のnoteで作家の畑山博の自宅の庭には銀河鉄道始発駅が作られていたという話をした。 賢治マニアもここまで来ると、すごいとしか言いようがない。しかし、これで驚いてはいけない。 畑山には『「銀河鉄道の夜」探検ブック』(文藝春秋、1992年)という、これまた凄い本があるのだ(図1)。目次の最初のページをご覧いただくと、その凄さわかる(図2)。 「銀河鉄道の創設」から始まり、盛りだくさんの内容だ。自宅の庭に銀河鉄道始発駅を作ったのに、そ

          宮沢賢治の宇宙(94) 『銀河鉄道の夜』探検ブック

          宮沢賢治の宇宙(93) 銀河ステーションは神奈川県葉山町にあった

          銀河ステーションは実在した一九七九年の秋、それまで住んでいた平塚市から、私は神奈川県葉山町の山の中腹“銀河鉄道始発駅”に越した。 こんな一文で出会った。なんと、銀河鉄道始発駅に住んでいた人がいたのだ。 その人は作家の畑山博だ(1935-2001)。「いつか汽笛を鳴らして」で、1972年に芥川賞を受賞された人だが、宮沢賢治に深く傾倒した人とも知られる。畑山による賢治関係の代表的な本を挙げると次のようなものがある。 『わが心の宮沢賢治』(佼成出版社、1984年) 『教師宮沢

          宮沢賢治の宇宙(93) 銀河ステーションは神奈川県葉山町にあった

          宮沢賢治の宇宙(92) 銀河ステーションは種山ケ原にある?

          銀河鉄道はどこを走る?前回の note で、「銀河ステーションはペルセウス座にある」という仮説を立ててみた。ジョバンニが車窓から見たたくさんの「りんどう」の花々を星団に見立て、それは「ペルセウス座」の二重星団であると考えたのである。 もちろん、これは仮説のひとつに過ぎない。なぜなら、銀河鉄道がどこを走ったのかについては、いくつかの説がありうるからだ。 [1] 花巻市内を走った [2] イーハトーブ(岩手県)の中を走った [3] 天の川の中を走った 現実的なのは[1]と[

          宮沢賢治の宇宙(92) 銀河ステーションは種山ケ原にある?