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南仏プロヴァンスの1週間
約30年前に出版された「南仏プロヴァンスの12か月」。
イギリス人作家ピーター・メイルが南フランスに移住して書いたエッセイです。
日本でも1993年に刊行され、プロヴァンスブームが巻き起こりました。
当時読んだ私も、いつかこんなところに行ってみたいとほのかな夢を抱いたものです。
それから○○年後、その夢が叶いました。
その地に住んでいる友人を訪ねて行ったのです。
訪れたのはエクス・アン・プロヴァンスという街。治安の比較的良い、学術と芸術の都です。
そこを拠点に、夢のような1週間を過ごしました。
まずはアヴィニョンに行きました。
世界遺産のアヴィニョン教皇庁がある街です。
カトリックのトップである教皇がおられるのはバチカン市国ですが、14世紀、アヴィニョンに7代にわたり教皇がおられたことがあります。
つまり私、バチカンには行ったことがないけど教皇庁には行ったことがあるのでした!
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サン・ピエトロ大聖堂には及ばないでしょうが、身が引き締まるような荘厳な宮殿でした。
ピーター・メイルさんはイギリスの雨の多い気候がよほどお嫌いだったようで、この本にもこのように書かれています。
「厳しく惨めな冬を過ごしている気の毒な人々のことを思ってそこはかとない優越感を味わった」
「イギリスの新年はいつもたいてい、どんよりと低く垂れ込めた陰鬱な雲の下だった」
「南仏プロヴァンスの12か月」より
…なかなか辛辣ですね。イギリスから抗議がこなかったのでしょうか。
そんな彼がプロヴァンスで家を見つけ、移住しました。
中世の村メネルブとボニューを結ぶ街道を見下ろす丘陵の、桜の園と葡萄畑を抜けて未舗装道路が尽きるところにその家は建っていた。地元で産する石で築いた、土地の言葉でマースという農家で、二百年の雨風に晒され、日に灼かれて、今ではくすんだ蜂蜜色ともつかず、灰色ともつかぬ一種特有の色合いを呈している。
「南仏プロヴァンスの12か月」より
それがこの家です。
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描写通りの家ですね。
ただし、この家は本のヒットとともに観光客が押し寄せたそうで、私が行った時にはメイルさんは転居されたあとでした。
メイルさんは2018年に南フランスで亡くなったそうです。大好きな土地で幸せな人生を送られたのでしょうか。ご冥福をお祈りします。
では、この滞在中に行ったところの写真を何枚か。
エクス・アン・プロヴァンスにあるセザンヌのアトリエ。
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天空の村ゴルド。
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レ・ボー・ド・プロヴァンスで見かけたワンコ。左上に幸運の象徴セミがいます。
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マルセイユ。
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私のヨーロッパ紀行はネタ切れのためこれで終わりです。
次からはいつものオタ記事に戻ります。
※ちなみにこの記事が100本目でした。オタ記事でなくてよかった…。