コンサルティングノウハウを生かして「0→1」フェーズに特化した新規事業創出・オープンイノベーションSaaSを立ち上げ__「日本企業の技術力を事業化させたい」事業責任者の想い
アスタミューゼは新規事業創出のコンサルティングをこれまで100社以上ご支援してきましたが、一方でコンサルティングサービスでは「自分たちで事業を創るノウハウが蓄積できない」「イノベーションの文化醸成ができない」という現場の課題感を感じ、お客様ご自身で事業創出をしたり、イノベーションが起こりやすい文化醸成をご支援できるような手軽なサービスができればいいという想いから新しいSaaSがスタートしました。
この新サービスICP(InnovationCapital Pathfinder)は、膨大なデータベースからアイデアの「発見」と既存事業の「深掘り」が実現できるSaaSで、自社技術や特許などをベースに新たな事業領域での用途展開案を導き出し、用途展開案については組織内で共有・コメントし合うこともできるサービスです。
今回お話をお伺いするのは、このICPで事業責任者を担当している池田直人さん。池田さんは東京大学大学院修了後、大手グローバルコンサルティングファーム等を経て2019年にアスタミューゼへ入社されました。大手コンサルティングファームからアスタミューゼにジョインした理由や、新規事業を運営していく中での苦労などお伺いしました。
日本企業のグローバルでのプレゼンスを高めたい
---まず、池田さんのこれまでのキャリアを教えてください。
キャリアとしては、コンサルティングファームでの経験が長いですね。何社か経験していますが、大手製造業を中心に技術を活用した新規事業創出や技術ロードマップ策定、グローバル調達、サプライチェーンにおける業務改革・IT/デジタル化など様々なご支援をしてきました。 その他にも事業会社の経営企画室で、経営情報の取り纏め・分析、市場調査、及び二つの新サービス同時立ち上げといった経験をしています。 コンサルティングファームでの経験も様々な案件に携わることができやりがいはあったのですが、”戦略・構想を描いて終わり”ではなく実際に新規事業を立ち上げたいという想いが強くなり、アスタミューゼでコンサルのノウハウを蓄積した新しいサービスが立ち上がるという話を聞いて転職を決意しました。
また、学生時代から『日本企業のグローバルのプレゼンスを高めたい』という想いが根底にあり、現在、事業をリードしているICPのサービスを広げる事で、日本企業のイノベーションを支援できるのではと考えています。
「9.11」がきっかけで知った日本企業の現実
---学生時代に『日本企業のグローバルのプレゼンスを高めたい』という考えに至るまでに、何かきっかけがあったのでしょうか?
私は学生時代、機械工学を学んでいたので漠然と将来はメーカーへの就職を考えていました。今とは違って、金髪やアフロでクラブでDJをやっていた時期なんかもあるのですが(笑)ジャズが好きなのでNYに語学留学もかねて滞在していた時期があるんです。そして帰国直後にアメリカ同時多発テロ事件が起こりました。いわゆる、9.11です。1週間前に自分がいたあの場所で「なぜ史上最悪のテロ事件が起きてしまったのか?」「なぜ宗教が対立を起こしてしまうのか?」「世界平和のために自分ができることは何かないのか?」・・・と自然に考えるようになっていました。
世界情勢のことを知るために図書館に通い、たまたま手にした雑誌で”IMD世界競争力ランキング”の記事を目にし、日本のランクが20位台と国際的に低いことを知りショックを受けました。自分が幼い時には1位、もしくは10位以内に入るほどで、元々日本の技術力は世界の中でもトップクラスだったはずなのに、なぜその技術力をビジネスに活かせていないのか。日本のランクが急激に落ちている現実を知り、その時は単純な思考で、将来の子供たちのためにも日本企業の在り方を変えていかなければという強い想いへと変わっていきました。
開発メンバーやカスタマーサクセスなどと共にアジャイルでスピード感のある開発を促進、今後は『脱炭素』へのヒントとなる機能も実装したい
---入社後、実際に事業を推進していくうえで苦労されたエピソードを教えてください。
苦労した点は大きく2つあります。
1つ目は”顧客リード獲得の難しさ”です。こういったルートで新規取引先を獲得していこうというプランは描けるのですが、実際にはなかなかお客様にリーチできないという状況が4か月近く続いていました。当然、売上も全く上がらず苦しい日々でしたね。
そこをまず乗り越えられたのが、コロナ禍だからこそできたウェビナーです。リンカーズ様と共同開催したウェビナーをきっかけに、少しずつではありますが認知も広がり受注にも繋がりました。お客様からも「自分たちでは考えられなかった事業案を多く検討することができた」「これまで調べるのに苦労していた最先端の研究課題を知ることができた」など嬉しい声もいただくようになり、この事業に対する自信も醸成されました。
また、機能やUIに対してもお客様から厳しい意見をいただくこともあるのですが、その度に開発・デザインメンバーと議論して改善を重ね(開発やデザインメンバーも取引先とのMTGに参加してもらうこともあります)、その改善のスピード感に驚かれて契約に至ったこともありましたね。
2つ目に苦労した点は、チャーン(解約)してしまうということです。
リード獲得施策により受注数は安定してきたものの、当時は機能も限定的であったため、利用を開始して事業案が無事にできると満足して利用を終了される”ハッピーチャーン”が続いていました。ただ、それでは一度きりの事業創出で「イノベーションが起こりやすい文化醸成」にまでは至りません。
そこで、それまでいなかったカスタマーサクセスメンバーを増員し、契約いただいたお客様が運用しやすいような説明会を実施させていただいたり、定期的な打合せを実施するなどして顧客フォローの強化に尽力しました。アジャイルで機能開発も進めていたので、一度退会したお客様が戻ってきてくださることもありますし、チャーンレート(解約率)は少しずつ改善されてきている状況です。
---今後はどういった領域でICPの活用が広がっていきそうですか?
現在、アスタミューゼがデータを活用しながら独自で定義をしている有望成長領域136(今後成長するであろう市場を毎年設定)、つまり市場性を軸にサービスを展開しています。さらに、新聞でもよく目にする『脱炭素』を中心に弊社にコンサルティングを依頼される企業様も増えておりますので、ここでのコンサルティングノウハウを活用しつつ、SDGsやアスタミューゼが独自に定義している社会課題105を中心とした社会課題を解決するような機能を実装することも計画しています。
また、取引先企業様の社内でより多くの部門でご活用いただけるよう、サービス内でコミュニケーションが取れるような機能や、より日常使いができるように最先端技術について簡単に検索できるような機能についても実装予定です!
主体性を尊重してやりたいことを応援しあうチーム、うまくいかない状況も楽しめるような人がフィット
---ICPのメンバー構成について教えてください。
現在のチーム構成としては、営業やカスタマーサクセスなどのビジネスサイドが私を含めて5名、開発・デザインメンバーが10名となります。
---様々な部門の方がアサインされているんですね。コミュニケーションはどのように取られているのでしょうか。
コロナ禍でもありますので、働き方としては出社しても良いし、リモートでも良いという自由な方針です。私自身は静岡・東部から週に2~3回出社しています。それぞれの働き方に合わせてGoogleMeetやslackを使ってコミュニケーションを取っており、目的に応じた複数回の定例mtgや日次のmtgも設定するなど、密にコミュニケーションを取るように意識しています。
---現在、様々なポジションでメンバーを募集されていますが、どんな人がこのチームにフィットすると思いますか?
現在はプロダクトマネジメントができる方やデザイナー、エンジニア、カスタマーサクセス、マーケターなど様々なポジションでとにかく人が足らない状況です。
人物像としては、主体性や自分自身の意見があり、明るい方がフィットしやすいのではと考えています。
私の考えとして、人間はやりたい事をやっている時が一番モチベーション高く、楽しく仕事を取り組めると考えており、基本的にはメンバーのやりたい事をやっていただくという方針でマネジメントしています。当然こちらからお願いする事もありますが、多くはメンバーの主体性に任せています。ただ、なぜそのような提案なのか、意見なのかという理由は論理的に説明できる事は前提です。自分自身は優秀な人間ではないので、他の方から提案・意見がないと事業はうまく回らないと考えています。
また、ICPはまだ立ち上げ→グロースのフェーズにあり、苦労する事もたくさんあります。それでもそういった状況を楽しめ、馬鹿な事を言い合える様な明るい方であれば、さらによいチームになるのではと考えています。
世の中にない新しいプロダクトを作りたい、このようなフェーズでジョインしてみたいという方がいましたら、ぜひ一緒にチャレンジしていきたいですね。