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郷愁の「舞妓さんのまかないさん」

続²「私のホームランド、京都」

ネットフリックスの「舞妓さんのまかないさん」を見た。何といえばいいのだろうか、何かこうほっこりするドラマだった。

この舞台となっている祇園花街に歩いて行けるところに生まれ育った私は、このドラマの世界観が郷愁を誘うものであり、ふとタイムスリップをしたような感も出てきたものだ。もちろん、ドラマは現代が舞台なのだが。

それにしても、辰巳神社は京都を舞台とするかぎり必須の場所である。まして、舞妓さんを描いたドラマだ。ここを映し出さないわけはない。

今回の帰省で写真を撮ったが、さすがに冬だといま少し映え方が良くない。

冬の辰巳神社そばの白川

「朔(さく)」のある宮川町(たぶん)あたり、辰巳神社、三条大橋、白川に掛かる一本橋は私が育った粟田口からそう遠くない。帰省した折には、間違いなくその場所を訪れる。わざわざ訪れるのではない。四条河原町周辺に買い物や食事に出かける時にこのあたりの場所を歩いて通るのだ。

キヨが行く銭湯は「柳湯」。場所は三条大橋からひとつ北に行き、そこから東に行ったところにある。実際は「朔」からは遠い。それに、帰り道にキヨがアイスクリームを食べていた白川の一本橋は、銭湯からの帰り道には位置しない。もっともあくまでロケ地だから、そこは突っ込むんではいけない。

ちなみに一本橋と呼ばれているが、実際は二つの石を並べて作られている。この場所は最近は良くドラマなどで使われているようだが、私が記憶する限りでは、そのはしりは中野良子の石鹸のコマーシャルだったように思う。中野良子と言っても、今は知らない方も多いだろうが、その折は有名な女優さんだった。

白川にかかる一本橋

また白川はこの一本橋があるあたりから上流で三条通を北にあがったところで白川プールという児童プールがあった。そこは小学校の夏休み期間に開かれていた。白川の水を差し止めて作っていたのだ。もちろん無料。

私の小学生の時の夏休みの思い出の一つとなっている。このプールのすぐ横に屋台のたこ焼き屋が出ていた。ひと船6個入りで20円だったか、3個入りで10円だったか、まあ同じことだが、子供のお小遣いで買える値段だった。泳いで遊んだ後に食べるたこ焼きは最高のごちそうだった。

実は、この「柳湯」は先日、約4年ぶりに京都に帰省した折に、たまたまその前を歩いていて見かけていたところだった。「あれ、こんなところに銭湯があったんだ」とちょうど思っていたところだった。
最近銭湯も少なくなってきたので、たいへん珍しく思っていたところ、このドラマで出てきたのが、なぜかうれしかった。

それとキヨがいつも買い物にいく商店街も彼女の置屋からは歩いて行けないところだ。調べたところ出町柳にある出町桝形商店街だった。でも、ドラマでは歩いて行っているという設定だ。

そして、うどんのお出しをつくるためにわざわざ昆布を買いに「岡田屋」に行っていた。こちらも調べたところ、ここは大宮通りにあるところだった。たしか鰹節屋のおやじさんは「烏丸通りを上がったところ」と言っていたようで、設定は「朔」からそう遠くないところにされたと思う。

ところで、お店の少し品のある女主人(たぶん)は本当に岡田屋の方のように感じたのは私だけだろうか。

キヨの台所に移るが、そこに貼ってあった愛宕神社の「火迺要慎」はいつも私の実家の台所のガスコンロの上の壁に貼っていたのと同じだ。京都では、これを壁に貼って「火の用心」をするのがならわしだった。

三条大橋とその周辺も描写されていた。その三条大橋北西側のスターバックスには川床がある。そんなのがあるスターバックスはここだけだろう。
先日ここに行ったが、さすがに1月初旬だったので川床は出ていなかった。鴨川が見れるカウンターテーブルでグリーンティーラテのグランデを楽しんだ。

スターバックスから三条大橋を臨む

この三条通りから見渡す鴨川の河原は今も健在だ。何が健在かと言うと、カップルが5メートル間隔でその河原に川側を前に腰掛ける光景のこと。
しかも私が見かけたのはクリスマスも過ぎた年の瀬も近づくころと年も明けた1月の寒風が吹くころなのだが。

キヨが商店街でコロッケを買って帰る場面があった。そういえば、子供のころ近所の商店街の肉屋さんでコロッケを母から買ってもらっていたことを思い出した。
肉屋のコロッケだが、あまり肉ははいっていなくてほとんどジャガイモばかりだった。でも、揚げたてだから、めちゃくちゃうまい。それをふーふーしながら食べ歩きしたものだ。

このドラマを見終えて、いや見ながらだろうか、久しぶりに訪れた場所と遠い昔の思い出が折り重なって私の脳裏に映し出されたのだった。




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