#8 体外受精から死産 残酷な結末
黒い封筒と白の文字
Aさんは、入院を続けながらお腹の赤ちゃんのことを第一に考えて過ごしていました。
手紙のやりとりの頻度も少なくなったものの
いつも、かわいい封筒と便せんで手紙を書いてくれていたAさん。
ポストに手紙が届くとウキウキして読んでいました。
それから数か月。Aさんからの手紙が全く途絶えてしまいました。
Aさんはもう妊婦 考えてみると不妊治療を卒業した訳です。
私とは話が合わなくなって来たのかな・・・
なんて思いました。
そんなある日。突然、真っ黒な封筒に白い文字の手紙が届きました。Aさんからです
もうこれだけで、封を切る前に、何か大変なことが起きたということが、分かりました。まだ手紙を読んでもいないのに私の目には、すでに涙がこぼれていました。
お腹の中で育たなかったAさんの赤ちゃん
結論からいうと、Aさんの赤ちゃんは死産でした。
せっかく授かった命。
大変な思いで体外受精に挑戦し、やっと授かった命。
Aさんの手紙にはこう書かれていました。
「2人目の子どもが欲しくてこれまで、精一杯治療に専念してきました。でも、私には、大切な娘と主人がいる。目の前にいる家族の為にこれからはいきていきたい。私の不妊治療はこれで終わりです。」Aさんの胸中を想像し
たら、どこにもぶつけられない感情と悲しみを背負っているはず
それなのに、白い文字で綴られた文章には、なぜか落ち着きを感じました。
そして
「あなたは、決してあきらめないでください」そう書いていました。
子どもを産むという覚悟
私は、子どもが欲しいという思いがあって、不妊治療を頑張っていました。
しかし、Aさんの死産で
子どもを産むという事は、そこにリスクも伴ってしまうという
現事を知りました。
妊娠すればそれでいいのではありません。
全ての子どもが元気に産声を上げて、この世に誕生できるとは限らない
妊娠すれば、不妊治療とは違った心配が付きまとい、子育てにもまた心配がつきまとう・・・
一人の人間の命を育むという事は 覚悟が必要なのだと・・・
自分達にその覚悟はあるか?Aさんの手紙を何度も読み返して
問いかけました。
3回目の体外受精へ
主人とは、何度も何度も話をしました。例え、妊娠したとしても自分を余計に傷つける出来事が起こるかもしれない
それでも、治療を続けていいのか・・・と
そして、私達が出した結論は、3回目の挑戦でした。
まだ夢への道半ば 諦めるという選択肢はこの時もなかったです。
主人は「俺、仕事頑張って一生懸命稼ぐから」なんて言っていました。
今思い返すと可愛いですね。
不妊の原因が私にあっただけに、主人は私の気持ちを一番に優先してくれていたこと 今でも本当に感謝しています。
今日のお話はここまでです。
引き続き#9でお逢いしましょう
そして、最後にまるこのラジオでは、死産について最近のデーターをお話します。