無知とお金と命と
1.無知
今の10代、20代の若い女性、男性はスマホだけで満足し、テレビを持たないし見ない人が多くなった。
テレビやラジオでニュースを見聞きしなくなり、新聞や本も読まないため、世の中でどのようなことが起こっているか知らないのだ。
周りには、同じようにスマホだけで楽しみつながる人が多いためネットの情報を信じ、それがウソであるかもしれないと疑うことや行動する前に調べることをしない。
こんなに便利で高価なものを肌身離さず持ち歩いているのに、狭い世界で生き社会から遮断されていることも多い。
そういった騙しやすいところは、高校生だけに限らず、大学生、社会人になっても見られる。
大学生になったから、就職して社会人になったから大丈夫ということは当てはまらなくなった。
特に大学生、社会人でひとり暮らしを始めた際に、開放感と同時に寂しさの穴が空き、そこを狙われ落とされることがある。
例えばホストクラブ。
若い女性には初回2~3千円でホストクラブの体験ができ、それはとても魅力的にうつるのだろう。
なにしろ格安でイケメンに会えて、すぐそばで話しができるのだ。
今までオタ活をしてきた人たちにとっても、会うことができるアイドルは夢のような所だろう。
店ではキラキラした部屋で、化粧をしブランドの洋服とアクセサリーで飾る若く美しい男たちから
「かわいいね」「好きだよ」「また会いたい」と繰り返しほめられ誘われる。
甘く優しい言葉であなたを「姫」と呼び、お姫様扱いしてくれる。
どうして初回だけ安いのだろう?
店にとって安くしても儲かる仕組みがあるのではないか?
など、疑問をもつことはないだろう。
しかし、安い料金設定ほど怖いものはない。
2.お金
あなたが店に足を踏み入れた時、あなたが未成年ではないことの証明として、学生証や保険証、運転免許証を見せてほしいと言われる。
こうして、かくも簡単に個人情報が抜かれる。
この娘の顔とスタイル、性格では、キャバクラ、パパ活、風俗、立ちんぼ、海外に出稼ぎに行かせるなど。
どの方法で稼ぐのが合っていて、どのくらい店のために稼いでくることが出来るか値踏みしている。
やがて“おぢ”の相手を我慢しさえするなら、夜職の方が稼げることに気づく。
そんなことを続けていると、夜職をしているところを会社の同僚などに目撃され、職場に居づらくなる。
副業が禁止な会社もまだまだ多い。
昼職を辞め、夜の仕事に専念し始めることに戸惑いはない。
今まで、朝早く起き1日8時間・週5日働いて、手取り月20万円いくかいかないかの昼職の若い子たちが、うまくいくと一日で10万円以上稼ぐようになる。
人間関係やノルマ・理不尽なクレームなど、嫌なことも多い職場で我慢して働いていた今までの職場を離れ、フリーランスのように働く自由を手に入れたと思い込む。
高級ブランドの洋服・アクセサリー・カバン・靴・時計・化粧品などを簡単に購入できるようになり。
それらを身に着け、持ち歩くことができる。
今はKポップアイドルのように、整形することに抵抗がない人も増えたようだ。
この漫画はグロいが、漫画の作者は数年間、闇金で取材したことを描いているため、とてもリアルだ。
一度夜の仕事につくようになると、昼職でセカセカ稼ぐのがバカらしくなり、新興宗教のように抜けたくても抜け出せなくなる。
金銭感覚がマヒしてくるのだ。
だから夜職の人はインターネットカフェやカラオケ、友達の家、誰でもいいから泊めてくれる人の家を転々とし生活していることが多いようだ。
今までのホームレスは橋の下や、トイレが近くにある公園のそばで、テントや段ボールを囲んだ家のようなものを作り住んでいた。
または、昼間に駅や地下鉄、スーパーなどで寝る。
夜に駅や店が閉まると行くところがないため、黙っていると冬などは寒い。
あてもなくウロウロ歩き、朝が来るのを待つ人たちも多い。
朝からお酒を飲みわめいたり、すれ違うと独特な臭いがするためホームレスと分かりやすかった。
そんな分かりやすいホームレスが、警察や福祉に保護されるようになったためか、だいぶ少なくなったかなと思う昨今。
10代、20代の若いホームレス
が増えている?
なぜ?
どこにいる?
働いているのに、なぜ家がない?
と驚いたが、根拠があることだったかもしれない。
2023年10月、静岡県にて。
ホストのアルバイトで、学費・生活費を稼いでいた静岡大学の4年生が、借り上げ部屋で日常的に集団リンチを受け、死亡した事件もショッキングであった。
国立大学の苦学生だったなら、大学の学生寮に入ることができたはずだ。
夜職を始めたばかりに、本当にやりきれない事件だ。
《静岡ホスト集団リンチ》死亡した国立大生は「ライターで皮膚を焼かれた」“酒ヤクザ”が集まる寮で「睡眠中にテキーラ」乱倫悪ノリが横行|NEWSポストセブン (news-postseven.com
ところで、相手はプロのホスト。
どうしたら女の子の心をつかみ、担当に夢中にさせられるか。
毎日、毎晩、勉強している営業のプロなのだ。
優しい言葉と、こまめな営業LINE、電話であなたを依存させマインドコントロールするのはとても簡単なことだろう。
YouTubeの配信もしていた“頂き女子りりちゃん”は、ホストに貢ぐためにパパ活をし、お金を巻き上げるマニュアルをホストと共に作り、他のパパ活をしている人達にも売っている。
結果、パパ活した“おぢ”達から一億六千万円も騙しとり逮捕されている。
そういえば夜職だけであれほど稼ぐ‘’頂き女子りりちゃん‘’も、住所不定でホテルを転々としていた。
そして、詐欺で“おぢ”達から被害届が出され指名手配されていた頃、所持金が千円ほどしかなく住むところも食べるものにも困り。
地下鉄の通路でうずくまっていたところを、2023年8月警察に逮捕されている。
2024年4月には、裁判により懲役9年、罰金800万円を命じられた。
また担当をめぐってトラブルが絶えず、殺人未遂事件も起きている。
国会でも昨年ホストクラブの売掛問題にようやく着信し、規制と法整備に動き出した。
ホストクラブが、犯罪の温床になっていることは否めない。
それは歌舞伎町の店だけに限らず、大阪のミナミでも札幌市のススキノの店でも同じだ。
初回格安だから社会勉強に、とか興味本位で近づくところではない。
日本は治安がいいと言われるが、近づいてはいけない街がある。
大きな口を開けてあなたを飲み込もうと待ち構えている、美しく飾った黒い男たちが沢山待っているのだ。
追記:マインドコントロールとは何か?
マインドコントロールで思い出されるのは、今から30年ほど前に起こったオウム真理教という宗教の信者による一連の殺人事件である。
坂本弁護士一家殺人事件は、当時、何度もテレビのニュースで取り上げられていたので鮮明に覚えている。
数人の男たちが夜中、就寝中の自宅に押し入り。
33歳の弁護士である父親、29歳の母親、1歳の赤ちゃんまで殺してそれぞれ別々のところに埋めるという犯行。
母親が「子どもだけは助けてほしい」と命乞いしたにもかかわらず、何も分からない赤ちゃんまで殺すという残虐さに言葉を失った。
以下は、30年来オウム真理教について取材しているジャーナリストの江川紹子さんのレポートからの抜粋である。
難解な言葉や説明が多いが、自分の心に残った部分をひろってほしい。
3.命
そこには、ホストにはまる女性たちに共通する心理があるように思われる。
オウムは、2つのサリン事件やオウムに批判的だった坂本弁護士一家を殺害したほか、実に多くの事件を引き起こした。
人の命が奪われた事件だけで10件。
ほかに、殺人未遂・銃や違法薬物の密造・サリンを大量製造するためのプラント建設・爆発物製造などのほか・詐欺・強盗など、まさに犯罪のデパートと言えるほどであった。
優秀な若者たちがなぜ教祖の指示で殺人まで犯したのか
重大事件の多くは、教祖が実行犯に直接、指示を出していた。
オウムの一般的な教義の上では殺生は禁じられており、幹部といえども信者の一存で殺人を行うことはできない。
真理を究めたグル、すなわち教祖・麻原彰晃(本名:松本智津夫)の判断によってのみ殺人は肯定され、それは「救済」と位置づけられた。
事件に関わった者たちの法廷での証言は、そのことを裏付けていた。
それぞれの事実解明に加えて、多くの人たちが関心を寄せたのは次の2点だった。
高学歴の優秀な若者を含め、なぜ多くの人たちがオウムに引き寄せられてしまったのか
なぜ、彼らは殺人の指示にまで唯々諾々と応じてしまったのか
ある青年は、自分が将来どんな仕事をするのかずっと決めかねていた。
父親と同じような「普通のサラリーマンにはなりたくない」「平凡な人生はいやだ」とずっと思っていた。
「自分をかけるに値する職業は何か」を模索したが、なかなか見つからない。
オウム信者となった友人に誘われたが、宗教には不信感を持っており初めは友人を引き留めるつもりでいた。
教団施設に行っている間に「ハルマゲドン」と「人類救済」の話を聞き、引きつけられた。
両親が説得したが、「ハルマゲドンを止めなければ」「今まで幸せに育ったので(救済によって)恩返しをしたい」などと言って、教団に飛び込んでしまった。
彼は、坂本弁護士一家殺害事件や松本サリン事件に関わり、死刑判決を受けた。
疑念は「帰依が足りない」故と自ら封じ込め、判断力を放棄
大学院で物理を学び非常に優秀だった別の男性は、オウムに入信後も、「出家」(全財産を教団に寄付し、家族や友人など社会との関係を断絶して、教団のための活動に専念する生活を指す)するつもりはなく、一流企業の研究所に就職が決まっていた。
ところが、教祖から「君のような若者が人類を救わずに、誰が救うのだ」と説得され使命感をかき立てられた。
結局、彼は就職をやめ、仲の良かった家族とも縁を切ってオウムに飛び込んでしまう。
その6年後、彼は地下鉄にサリンをまく実行犯になった。
彼も死刑判決が確定している。
また、親との関係がよくなかったり人づきあいが苦手だったりして、自分自身の居場所がないと感じている人々にとっても、人間関係に煩わされることのないオウムはよい居場所のように映った。
信者たちは、疑問が生じても自分でそれを封じ込めていく。
教祖の指示については、その是非を考えることなく常に肯定的に受け入れていく。
そうやって自分で考えることなく、教祖の手足となって働く理想的な信者が出来上がっていく。
地下鉄サリン事件の実行犯5人のうち、4人は殺人事件に関与するのは初めてだった。
彼らは医師や科学者であり、サリンの毒性も知っていた。
にもかかわらず、役割を引き受けるのを拒んだり躊躇した者はいなかった。
ヨガ、LSD、睡眠不足などあらゆる手法でマインドコントロール
オウムは、ヨガの修行法を取り入れていた。
信者の中には、修行中に光を見たり、体の中をエネルギーが上昇していく感覚などの、非日常的体験をする者もいた。
激しい修行を行うヨガ行者や仏教の僧なども同様の体験しており、心理学的にも説明がつく現象なのだが、オウムはこれを「神秘体験」と呼んで特別視した。
一定の霊的ステージに到達した証であるとみなし、教祖のエネルギーのお陰だと教えたのだ。
この体験が信者に与えた効果は大きかった。
この体験ゆえに、教祖から離れては生きていけない心境になり、いくつもの凶悪犯罪に関わった者もいる。
その効果に味をしめたオウムは、もっと手っ取り早くより多くの信者に「神秘体験」をさせるために、覚せい剤やLSDなどの違法薬物を使うことにした。
これらの薬物は教団内で密造し、儀式と称して信者に飲ませた。
さらに、教団は死後に地獄に落ちることの怖さを信者にたたき込んだ。
教団を離れたり裏切れば、地獄落ちである。
一度教団から離れても、その恐怖が心を離れず再び舞い戻ってしまった者もいる。
善意の若者を加害者、死刑囚へと変貌させたカルト
自分を向上させたい、人を助けたい、世の中をよくしたい……。そんな思いを利用してオウムは若者たちを取り込んだ。
彼らは、当初はとんでもないカルトに巻き込まれた被害者だったが、その後、教団のために他者を傷つける加害者になっていく。
こうしたプロセスは、オウムに特有のものではなく様々なカルトに共通しているように思う。
逮捕後、取り調べを受けたり、裁判で被害者遺族の声を聞いたりする間にマインドコントロールから解放され、本来の自分を取り戻し事件を深く悔いる信者も少なくない。
(2015年6月22日 記)江川紹子
#お金について考える
#歌舞伎町
#ホストクラブ
#ホス狂
#マインドコントロール
#新興宗教
#依存
#就活
#女子大生
#お金
#闇金ウシジマくん
#ローン
#ひととき融資