【絵本レビュー】 『きょうはなんのひ』
作者:瀬田貞二
絵:林明子
出版社:福音館書店
発行日:1979年8月
『きょうはなんのひ』のあらすじ:
朝、学校に行くまみこはおかあさんに、「きょうはなんのひだか、しってるの?……しらなきゃかいだん三だんめ」と謎のことばを残して玄関をでていきました。おかあさんが階段を見ると、そこには赤いひもで結ばれた手紙がありました。手紙には「ケーキのはこをごらんなさい」と書いてありました。箱の中にはまた手紙……。次々と手紙を見つけていったお母さんが最後に見つけたものは?親と子の間に流れる温かい心づかいを描いています。
『きょうはなんのひ』を読んだ感想:
これは私が子供の時買ってもらった絵本。何度も読んだ絵本の一つです。何度読んでも理解できなかったのは、「結婚記念日」。うちの両親は一度も祝わなかったし、正直な話いつかも知りません。皆さんちゃんとお祝いするものなのでしょうか。
印象に残っていたのは、マトリョーシカみたいに次から次へと出てくる折り紙の箱と、最後に箱から出てくる赤と青の玉。しばらくの間外を歩くたびに南天の実を集めたり、いくつも折り紙の箱を作ったりしていた覚えがあります。
この絵本を読んでいると理想の家族を見ているような気がしたことは、よく覚えています。うちは母親が外で働き、父親が家で仕事/主夫だったので、母と過ごす時間はとても短く、私が学校なのに母が休みだととてもガッカリしたものです。まみこのお母さんはいつも家にいるようだし、まみこのゲームにも付き合ってくれる。そしてお父さんは犬を連れて帰って来る。なんとまあ、絵に描いたような(そりゃそうですね)家族だろうと思いました。
今自分が家庭を持ち、私はやっぱり結婚記念日を祝わないし、まみこのお母さんみたいにずっと家にもいない。はてさて息子の理想の家族はどんな家族なんでしょう。
『きょうはなんのひ』の作者紹介:
瀬田貞二
1916年、東京・本郷に生まれる。東京帝国大学で国文学を専攻。戦後、「児童百科辞典」(平凡社)の企画編集者をふりだしに、児童文学の評論、創作、翻訳などにいくつもの大きな仕事をのこした。絵本の代表作に『きょうはなんのひ?』(福音館書店)があげられる。ライフワークのひとつに「落穂ひろい 日本の子どもの文化をめぐる人びと」(福音館書店)がある。1979年逝去。