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【絵本レビュー】 『さがしもの』
作者/絵:森洋子
出版社:福音館書店
発行日:2015年10月
『さがしもの』のあらすじ:
あっちゃんは、大切にしているぬいぐるみのくまくんの片目を、庭でなくしてしまいました。草むらを捜しますが、小さな目は見つかりません。あっちゃんは、くまくんに「きっと みつけてあげるからね」と約束します。そして、体がくまくんくらい小さかったら、草むらのなかまで捜せるのに、と思います。その晩、ふと目覚めたあっちゃんの体は小さくなっていて、くまくんと一緒に目を捜しに出かけます。
『さがしもの』を読んだ感想:
「さがしものはなんですか 見つけにくいものですか♫」
井上陽水好きの母が時々歌っていましたねえ。
子供の時わりと定期的にみた夢がありました。何回目かになると、もう先がどうなるのかもわかっているのになぜかストーリーを変えることもできず、さらに何が起きるかわかっているのでハラハラ度も増すのですが、手も足も出ない状態にイライラしたりもしました。
それは家の中から始まります。
私は母親と台所で大げんか。あまりに腹が立って、母親を丸太みたいに持ち上げ食器棚に投げつけるという非現実的なことをした後、私は着の身着のままで家を飛び出します。誰かが母親を見つけて警察に通報するだろうから、私は人目を避けて逃げなくてはならないと考えるのですが、それと同時に私は何かを探しているのです。それがなんだったかは記憶にないのですが、母親との喧嘩もそれが原因だったように思います。
母親にしたことへの罪悪感を感じながら街をトボトボ歩きまわって探します。ドラえもんに出てくるような空き地にも行って、土管の中も見ました。ありません。川に架かる橋の下ものぞいて見ました。誰かが住んでいるようですが、ここにもありません。通り過ぎるお店も窓越しに見てみますが、やはりありません。いったいどこにあるんでしょう。
一日中歩き回って夕方になりました。私は探しているものが見つからず、だんだん疲れても来ました。ふと気づくと、スイミングレッスンに行く時間です。私は水着もないのにプールへ行きました。私はなぜかジョギングショーツに履き替えていて、友達とプールサイドに座っています。両足は膝まで水の中に入っていて、チャプチャプ水をかき回しています。プールの半面は天井までガラスになっていて、オレンジ色の柔らかい光が水面を照らし、私は水面に立つ小さな波の先っぽがオレンジ色に染まるのを静かに見つめていました。友達は、現実ではみたこともない子でしたが、私たちは何も話さずただ座っていました。
「今日ね、家でママにひどいことしたんだ。もしかしたら死んじゃったかもしれない。」私はぽつりとその友達に言いました。
するとその子は、
「でもさ、水に入ると全部忘れるよね。」と言ったのです。
そして私たちはまた静かに水面を眺めていました。私が目を覚ますまで。
この夢が何を言おうとしていたのかはわかりません。ただ、水の夢はいいサインということを後から聞いて、少し安心したことは覚えています。そして私が何を探していたのか、そのさがしものがなんだったのかは、未だに不明です。
『さがしもの』の作者紹介:
森洋子
1959年、東京生まれ。東京芸術大学美術学部絵画科卒業、1984年、東京芸術大学大学院美術研究科修了。 2000年「たけしの誰でもピカソ」第2回映像アーティストピカソ大賞受賞。受賞作品[KIOKUEIGA](トランスビューのホームページで、動画をご覧になれます)。 2001年、東急世田谷線で、森洋子「絵写真展示電車」が運行される。 2005年、文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品「路地裏の鬼」。 現在、城西国際大学福祉総合学部助教。『かえりみち』が初めての絵本の出版。今後の活躍が注目される。
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