コンパウンドスタートアップが抱える24/365の葛藤と得られた新芽
みなさんこんにちは、Asobicaです。本記事は、株式会社Asobicaの代表 今田(写真/左)と取締役 小父内(写真/右)による、2024年の振り返りと2025年への展望についての記事となります。
Asobicaは、コンパウンドスタートアップとして、新しいプロダクトをローンチ、組織体制づくりを行い新たな芽が育った一方で、目標へのスピード感を保ちながら商材を「育て」「売る」ことの難しさに全社で直面した1年でした。
経営陣は1年をどう捉えていたのか、来年の向かう先はどこなのか、ぜひご覧ください。
新規事業立ち上げのアンチパターン打破
ー2024年の印象的な出来事を教えてください
今田さん「新規プロダクトである『coorum research(コーラムリサーチ) *1』のクライアントからの反応が良かったことや、エンドユーザー(生活者)のみなさまも多く利用してくださったことです。また、同時進行で新しくプロダクトを立ち上げているフェーズであること、かつ、それらを回せる体制・組織づくりができました」
*1 coorum research:Asobicaがこれまで多くのブランド企業を支援する中で蓄積された知見を活かした、顧客の本音が自然に集まるリサーチプロダクト
ー新規事業開発室の立ち上げで大変だったこと・苦労したことはありますか
今田さん「組織や事業が大きくなると、イノベーションのジレンマにハマることがあります。例えば、既存事業のエースに新規プロダクトの立ち上げを兼務で任せることがあると思いますが、そのような任せ方をしてしまうと新規プロダクトがいつまで経ってもグロースしないということが起こりがちです。新規で立ち上げたプロダクトは初期フェーズでは金額のインパクトが小さいこともあり、短期における事業計画の達成を進める上ではどうしても既存プロダクトのセールスや開発が優先されがちになります。
Asobicaでも過去に新規事業立ち上げを兼務で推進したせいでうまくいかなかったことがあり、それらの反省を生かして、ここ数年は明確な責任者を立て、エース級のメンバーを思いきり抜擢し、経営直下でひたすらスピード感をもって意思決定し続ける体制をつくりました。おかげで複数のプロダクトを同時進行で立ち上げることもできましたし、想定以上の成果が生まれています」
小父内さん「あとは新規事業立ち上げを経験してきた優秀なメンバーを新しく採用できたことも大きかった。既存の社内メンバーにも良い刺激になったと思う。経営も率先しながら、意思をもって立ち上げると決めて、そこに向けて採用してきたからこその結果かと」
ー今後ローンチされる事業について今言える範囲で教えてください
今田さん「詳細については最適なタイミングでリリースしたいので現時点では非公開でお願いできればと思ってますが(笑)、クライアントの反応を見る限りは、とても良い手応えがあります。
また、チームの役割分担も進んでいて、プロダクトを再現性を持って立ち上げられる体制づくりも構築できてきました。ニーズに対する検証からデリバリーの検証、そしてグロースの検証までをそれぞれに適性があるメンバーが役割分担する形になっており、顧客に求められる機能やプロダクトがどんどん生まれていくような基盤ができてきたと思います」
ー新しいプロダクトが増えたことで、「Asobica=コミュニティの会社」という先行イメージから脱却できたと思いますか
今田さん「求めているところから考えると、まだまだ全然です。“Asobicaは複数のプロダクトを通じて経営を変革する会社である”という社内の認識が、少しづつ揃ってきたところです。社内外に発信するだけでなく、各メンバーの業務が変化してこそ実感できると思うのですが、最近では『coorum community(コーラム コミュニティ) *2』ではなく、別のプロダクトをメインに提案する場面も増えてきました。掲げていたビジョンに実態が伴ってきたことによって、本当の意味で“Asobicaはコミュニティだけではない”という認識の醸成や土台づくりができたと感じています。やっとです」
“コンパウンドスタートアップとしてのチャレンジと難しさ”については昨年の今田のnoteでもお話しています。
*2 Asobicaでは2024年10月にロイヤル顧客プラットフォーム「coorum(コーラム)」と総称して呼んでいた3つのプロダクトを、「coorum community(コーラムコミュニティ)」 「coorum insight(コーラムインサイト)」「coorum research(コーラムリサーチ)」と呼称を変更しました
AI×本音データで生活者にとって唯一無二の体験をつくる
ー次に、私たちが置かれている市場の変化はどう捉えていますか
今田さん「かつてはSaaSというだけで評価されていた時代がありましたが、今はそんなことなくて、企業やエンドユーザー(生活者)にとっての価値や社会へのインパクトが重要になっています。企業や生活者が感じる本質的な課題に向き合う企業だけが生き残れるのではないでしょうか」
小父内さん「会社としては創業からもうすぐで7年になりますが、自分たちの動きやスタンスは変わってなくて、クライアントとその先にいる生活者の方たちに向き合って長く続けていきたいよね」
今田さん「あとはAIが圧倒的なスピードで進化し浸透し始めているので、AIの精度向上のために、より生活者の方たちのデータ収集の価値が増してきています。クライアントにとって必要な生活者の声や本音のデータを取得し、それらを活用して事業にインパクトを出していくことを僕らはずっとやってきたので、企業のAI活用が更にスピードアップしている今、風向きが良くなってきていると感じますね」
ーとはいえ、AIやデータの市場はすでに様々な企業が参入していると思います。「coorum」にはどのようなユニークさがありますか
今田さん「ゼロパーティーデータと呼ばれる生活者の声や体験データを継続的に分析し、IDにすべて紐付け、クライアントが事業に活用するところまでを一気通貫で支援する点がユニークです。より深い“お客様の本音”のデータの取得が世の中の企業にとって不可欠であるタイミングだからこそ、それらのデータにアクセスできる僕らがアドバンテージになります」
小父内さん「関連性のない単体のプロダクトだとノウハウやアセットが自分たちに溜まっていかないので、あるA社さんで得られたアセットを、違うB社さんに展開していくというやり方をとっていけるといいよね」
ー「顧客中心の経営をスタンダードにする」というAsobicaが2026年に達成を目指すビジョンについて、2024年はどのような形で実現できたと感じていますか
小父内さん「顧客のカスタマージャーニーに沿ってプロダクトや新規事業を開発することで、コミュニティ単体では提供できなかった価値を提供できるようになりました。マーケットの上流からクライアントを支援することで、提案の質が向上し、エンドユーザー(生活者)に喜ばれる施策が展開できるようになったかな」
今田さん「2023年はクライアントの顧客中心の”施策を増やす”取り組みを行ってきて、実際に施策数の目標は達成できました。2024年は”施策が実際に売上成果に繋がったか”を全社で追い、多くの事例が生まれました。とはいえ、Asobicaが掲げている目標はそれらを業界のスタンダードにする事なので、来年は成果証明・アウトカムに繋がる事例をより一層増やしていきたい、そこにもっと拘っていきたいと思っています」
ークライアントの先にいるエンドユーザーにとっては「coorum」でどんな良い体験をもたらせると思いますか
今田さん「エンドユーザーや生活者の方に向けて、すべての企業がその人に合った最適な顧客体験を提供してくれる世界にしていきたいです。例えば、自分がよく行く居酒屋では数あるメニューの中から自分がよく注文しているメニューだけを集めた“今田セット”を注文を聞かずとも出してくれるお店があるんですが(笑)、そこは個人経営のお店で、店主が常にお店に立ち続けているから実現できることでもある。
とはいえお客様の数が増えたり、デジタルの世界になってくると、一気にお客様の顔が見えなくなり、一人一人のニーズをリアルタイムに吸い上げられなくなり、一方通行なLINE配信や接客しかできなくなる、というのが今のデジタルマーケティングやCXにおける現在地なのかなと思ってます。そこに対してAsobicaは、お客様の本音データをリアルタイムに集め続け、それらを元に個々人に合わせた最適な顧客体験が提供できるような、いわゆる本当の意味で顧客中心の世界を僕らのプロダクトで実現できるようにしていきたいです」
小父内さん「データを分析し最適化させていくことで、顧客体験をより良くすることにつながるよね。体験を通して人々が企業やブランドを好きになるきっかけを増やしていきたい」
2025年は突き抜ける年に
ー最後に2025年のAsobicaが掲げるテーマを教えてください
今田さん「2024年は業界のポジションを築くというテーマから、業界自体を底上げしていくというテーマに移行しました。その上で2025年は“突き抜ける”年にしたいです。 具体的には、『Asobicaといえばコミュニティ』から早期に脱却してコンパウンドプロダクトを加速させ、売れる組織体制をつくりたい。 1年1プロダクトのペースではなく、スピードを上げて非連続的にプロダクトを生み出していきたいですね」
小父内さん「社内起業家を増やしていくのもいいよね。そこからプロジェクトが立ち上がり、 みんなが感化されて切磋琢磨していくようなカルチャーを作り、クライアントやエンドユーザー(生活者)に向き合い続け顧客を中心としたサービスのハブになりたい」
今田さん「そうですね。『Asobicaの次の動きが気になる』と世間に言ってもらえるような、そんな業界自体をつくる企業・定義する企業になっていきたいです」
「来年も、全員でアウトカムに拘る1年に」
本記事はAsobicaアドベントカレンダーの最終日を飾る記事となります。
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