あそびいぬ

ライター・作家。素直なひねくれもの。

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友だちづくりと情報発信とわたし

──と、ベストセラーになった何かのビジネス書に書いてあった気がする。 タイトルや著者の名前はとーんと思い出せないが、書いてあった「気がしている」ことは動かぬ事実だ。どれだけ疑わしくても、本人がげんに「そういう気になっている」のだから間違いはない。というか仮にそんなビジネス書が存在しなかったとして、それが何だというのか? あなたに、何か実害でもあるのか? ⋯⋯いきなり逆上してしまい申しわけない。 ふだんのわたしは、引っ越した先のドアチェーンが長すぎて外からかんたんに開けら

    • 日記考をふくむ日記(あるいは日記をふくむ日記考)

      駅内のカフェで、50代くらいの男女が自席から駅構内を「観察」していた。 「あんな格好で寒くないのかね」 「へっへっへ、焦ってるよ」 「こんなに人がいる場所に、どうして住もうとするのかねえ」 などと行き交う人々をつぎつぎに批評している。 「何やってんだ、クソババア」 という声が聞こえてきたときは、思わずウッとなった。 嫌な感じ。対面から2人を、やっぱり「観察」している自分もふくめて、ひどく陰湿である。インターネット的である。 透明な非当事者の立場から、あれこれ言

      • 雨の日のドリップコーヒー

        朝、妻が会社に行くタイミングでいっしょに家を出て、近所のコンビニでコーヒーだけ買って、また帰宅するというのが毎日の習慣になっている。 「犬を散歩に連れて行ってるみたい」と妻は言う。しかし自分ひとりで家に帰っていくのだから、犬のなかではわりかし優秀なほうだと自負している。 でも今朝は雨だったから、散歩は中止(繊細な犬である)。やむなくドリップコーヒーを淹れることにした。 それにしてもドリップコーヒーというやつは、なんて便利なのだろう。家から一歩も出ずにコーヒーを淹れられる

        • ふりかけの色に関するわたしの立場が決定づけられてしまった

          「ワンワンワン!!!!!!」 「ワンワンワンワン!!!!!!!!」 「ワンワンワンワンワン!!!!!!!!」 という複数の犬の声に振り返る。吠えられていたのは、赤、緑、青のコートやらマフラーやら、各々に派手な装いをした三人組のおばあさんたちだった。三匹の犬の飼い主が、 「ごめんなさいねー!」 と謝りながら、困り笑いを三人組のおばあさんたちに向けている。犬たちはまだワンワンしながら、前足を上げておばあさんたちに飛びかからんばかりだ。こういうとき、相場は犬対犬である。おばあ

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        友だちづくりと情報発信とわたし

          せっかくnoteをはじめたから、イラストにも挑戦したい

          つい先日、このnoteという街に越してきた。いや、もといた街には相変わらず住んでいるのだから「住居がふたつになった」のか。別荘みたいなことか(どちらにせよ、お得な気分である)。 わたしはフリーランスだから、家が職場だ。取引先とのやり取りはあるけれど、上司も同僚も部下もいない。会う人もずいぶん限られてくる。これは楽ちんではあるが、やっぱりちょっとさみしい。 ここ数日、たびたび自覚なくおならをして、妻に言われてはじめて自分がいまおならをしたのだと気がつくことがある。これも人に

          せっかくnoteをはじめたから、イラストにも挑戦したい

          【エッセイ】勇気を出してお待ちください。

          朝の8時ごろ、家の書斎で仕事をしていたら、外から灯油販売のアナウンスが聞こえてきた。ああ、今年もこの季節がやってきたなと思う。アナウンスの「発信源」を実際に見たことはないが、たぶん軽トラックか何かで、住宅街をゆっくり走っているのだろう。オルゴールみたいな軽快な音楽といっしょに女の人の声が、 「勇気を出してお待ちください」 と言っている。 ⋯⋯いや、わかっている。本当は「勇気」ではなくて「容器」と言っているんだ。灯油を入れる容器。でも、このアナウンスを聞くたびに、いつも「

          【エッセイ】勇気を出してお待ちください。

          『犬も歩けば棒に当たる』は、本当は「わかりやすいことわざ」なのかもしれない

          「犬も歩けば棒に当たる」というのは、すごいことわざだ。この言葉だけでは、具体的に何が言いたいのかさっぱりわからない。まるでいきなり便器を見せつけられて「これがアートである」と言われるみたいなものだ。 しかし便器のほうは、きちんと説明されれば「ああ、そういう文脈があるのか。なるほどね」と、ひとまずわかったような気分にはなれる。正確ではないのかもしれないけれど、自分なりの「理解」に至るのは難しくない。 ところが「犬も歩けば棒に当たる」ときたら、ことわざの説明を読んでみても、結

          『犬も歩けば棒に当たる』は、本当は「わかりやすいことわざ」なのかもしれない