「きれいな字」は書けなくても、「きれいに見える字」は書ける。
こんにちは。アスク出版です。
今日は、今月末発売の『シャーロック・ホームズで学ぶ英文法』の校了日でした。月末発売ですので、お楽しみに!
今回は、語学と少し離れた話を書きたいと思います。
突然ですが、みなさんは手書きで文字を書くことがどれくらいありますか?
私たち編集者の仕事も、かなりデジタル化が進んでいますが、中には校正刷に修正指示を入れる作業など、まだ手書きで行っているものもあります。(うちの会社は「デジタル後進国」なので、手書きで伝票を書いたり、回覧物にサインをしたりという作業もいまだに残っていますが…)
私は、自分だけが見るメモは雑な字で書きますが、他の人も見る書類やゲラなどに書き込むときは「きれいに見える字」を書くように心がけています。
というのも、今まで書道や硬筆を習ったことはないので、「美しい字」を書ける自信はありませんが、きれいに見えた方が読み手も気持ちよいと思いますし(建前)、手書きの文字は人となりを表すと言いますし(邪念)。
そこで、「きれいに見える」ように気をつけていることをいくつか紹介します。(ここで書くのは、あくまで素人である私の意見なので、書道や硬筆を知っている人から見れば、間違っていることもあるのかもしれません。)
1.漢字は大きく、ひらがなは小さく、数字は少し傾けて。
ふたつの文を比べてみましょう。
上は漢字もひらがなも同じ大きさで、数字もまっすぐ書いています。下は、漢字の大きさはそのままで、ひらがなをひとまわり小さくし、数字も少し傾けています。
上の文はちょっと圧迫感がありますね。下の文のひらがなは漢字よりかなり小さく書いていますが、違和感なく読めますし、ぱっと見た時に読みやすいですね。
数字については、大人っぽい雰囲気の文字になるという理由で斜めに書いていたのですが、まっすぐ書いた上の文字列でも読みにくいという印象はありません。そこで調べてみると、
・斜めの方がバランスがよく見える
・斜めの方がすばやく書くことができる
などのメリットがあるようです。斜めの数字は銀行員が多用するので「銀行文字」とも呼ばれているそう。伝票などを手書きする際には、参考にしてみてください。
2.正しい筆順で。
正しい筆順というのは、文字のバランスに大きく影響します。「上から下へ」「左から右へ」という原則がありますが、筆順を守ることで自然なつながりが生まれて、あまり意識せずとも見栄えがよくなります。
上は正しい筆順で「週」と書き、下はしんにょうを書いてから「周」を書きました。間違った筆順で書くと、「周」がしんにょうの上にうまく乗っていない感じがしますね。積載物を先に書くことによって、それに合うしんにょうを書くことができ、バランスがよくなります。
他にも「えんにょう」を部首とする「延」や「建」なども同じような例ですね。
もうひとつ。こちらは横線を最後に書く筆順が一般的です(上)。一方、横線を最初に書いてしまうと、下の段のように不格好になってしまいます。こちらも先ほどのしんにょうの例と似ていて、最後の横線で全体のバランスを取っているのだと思います。
とは言っても、筆順に「絶対」もありませんし、染みついた癖でもありますので直すのもなかなか大変です。正しく書くに越したことはありませんが、バランスよく見えればなんでもよいことにしてしまいましょうか⁉
3.あらゆる隙間は均等に。
3つめは、隙間を均等にする意識を持つ、ということです。もちろん、神の手ではありませんから、完璧に均等にすることはできません。しかし、少し気をつけるだけでだいぶ整って見えます。
左側の月曜日は隙間がわりと均等なのでバランスよく見えます。一方、右は隙間が不ぞろいなので、かなり不格好です。「日」や「隹」は多くの文字に含まれていますから、特に意識しておきたいですね。
もうひとつ例を見てみましょう。左が圧倒的にきれいに見えますね。横線や縦線が複数並んだり、いくつかの点を打つ文字はたくさんあります。「心」のように、一見隙間が関係なさそうな文字でも、実はそろえると美しくなる文字もあります。
ひらがなでは、「ほ」や「ま」など、横線と縦線が交わる字の間隔が均等だときれいにです。
際立ってきれいな字が書けなくても、隙間を意識するだけで大崩れすることはなくなります。
4.1本の線を「長く」する。
文字の中の横線を1本だけ極端に長くしてみてください。バランスが悪くなりそう…と思われるかもしれませんが、以下の例をご覧ください。
私は「尊」の1本の横線を長く書きます。短いと右のように縦長になって文字の座りが悪くなってしまいます。全部の横線を長くすると、ぺちゃんこにつぶれて見えてしまいますので「1本だけ」がみそです。
「美」。名前にこの文字が入っている人も多いかと思います。
「大」の部分の横線を長くするのがポイントです。上3本のうちのどれかを長くすると頭でっかちになってしまいます。気になる人は試し書きしてみてください。
他には「量」の中の「一」や、「重」の2画目、「意」の「立」の下の横線など、ひらがなでは「す」「せ」など、長くするとバランスがよくなる横線はたくさんあります。
5.曲線の「張り」を意識する。
うまく説明できないので、まずはこちらをご覧ください。
左が「張りのある風」です。2画目をちょっと大げさに、弦を張るイメージで書くと、威勢のいい文字が書けます。ちょっと右肩上がりで書くと、張りと合わせてバランスがよくなります。張りのある曲線のあとのハネも勢いよくいきましょう! ほかにも「気」や「飛」などがあります。
いかがでしたでしょうか。
比較のために、私の自分用のメモがどれだけ雑かをお見せします。恥ずかしいですが。
このように、普段はどんなに汚い文字を書いていても、他の人が読めない文字を書いていても、「書こうと思えばそれなりの字は書ける」というのはなかなか便利なものです。
みなさんも、よそゆきの字を書くときにちょっとだけ意識してみませんか?
(文責:英語編集部 KK)
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