漫画「SLAM DUNK」がバイブルだったバスケ少年は、如何にして映画『THE FIRST SLAM DUNK』の作画監督になったか 〜またはアしやの異常な愛情〜
その1. 「SLAM DUNK」と少年
映画の制作発表−−まさに青天の霹靂
それは、2021年の夏のことでした。
ある大作映画の予告映像が解禁されます。
このブログタイトルのテーマ作品でもある、映画『THE FIRST SLAM DUNK』の予告編です。
予告編の公開当時は、まだ正式なタイトルも未定で、映画『SLAM DUNK』(タイトル未定)とされていました。
この30秒の決して長くはない予告ムービーには、これまでのアニメ映画にはあまり類例のない仕掛けが示されていました。
まず一つは、映画の監督・脚本が原作者の井上雄彦先生本人であること。
それと同時に、メインスタッフだけでなく、関連のスタッフ名がかなり多くの数一気に表示されたこと。
通常、アニメ作品の制作が発表される際は、メインスタッフと言われる限られた役職の長だけが、10名前後名前を公開されるのみです。
しかしこの予告では、監督の井上雄彦先生を取り囲むように大勢のスタッフの名前が示されていきました。そしてその役職を具に見ていけば、これがアニメーション映画であろうことも分かる仕掛けでした。
しかし同時に、劇中、作中の映像は一切表示されませんでした。
唯一あったビジュアル情報と言うと…
最後に、あの5人、--湘北スタメンのあのメンバーがハドル(円陣)を組んで気合を入れている、天井からの俯瞰の構図で描かれたラフ画が表示されます。確かに、赤いユニフォームを着ているあいつら。ラフ画だしちょうど全員下を向いている構図だし、確定できないがユニフォームの背番号から見ても確信は出来る!そんなシンプルだけどパワフルなビジュアル。
バックに流れているBGMのスリリングな格好良さと共に、鳥肌の立つような感覚を覚えました。
何より、この予告で掲載されたスタッフの名前に、自分の名前も入れて貰えたことが本当に嬉しかった。この時に、井上監督の“一つのチームとしてこの映画を制作していく”と云う決意と、心配りのようなものを十二分に感じさせていただけたのです。バスケットボールもチームプレイ。その監督の思いには、本当に感謝しかないです。
映画『SLAM DUNK』(タイトル未定)の初出し情報が解禁されたのは、原作者井上先生のX(当時はまだTwitter)での投稿でした。上記の予告ムービーの公開から遡ること半年とちょっと前、2021年の1月だったと思います。
この当時はまだ、映画が実写なのかアニメなのか、誰が制作するのか分からなかった状況です。しかし、勿論舞台裏では制作は進められていましたし、恐らくかなりの情報統制をして、慎重に映画制作の発表をしていく運びだったはずです。かく言う私も、実はまだこの当時は発表されることなど全く知らず、ただただ発表に驚き、しかし同時に井上先生ご本人からの発表に、夢じゃないんだ!?と心ときめいたことを覚えています。
何せ、連載当初からずっと原作を読んで大ファンだった読者にとって、およそ30年目の久々の新情報。連載やTVアニメが終了したのは1996年なので、そこから数えれば25年ぶりの映像化情報。
正式な後日譚で言えば、2004年に開催された「1億冊ありがとうファイナル」で廃校の教室の黒板に描かれた「スラムダンク-あれから10日後」の公開から17年ぶり、その後も公式イラスト集や単行本の「新装再編版」もあり、ある時は描き下ろしのイラストで、ある時は新しい単行本の表紙で、彼らのその後や作中には描かれていない一場面を垣間見れることはありました。
ただ、やはり映画という巨大なプロジェクトで新しい映像が観られる!というのは当時誰も予想だにしておらず、原作第1話で花道が晴子さんに出会った時の衝撃のように、雷が脳天を直撃するくらいビッグサプライズな発表でした。
色々時系列が前後したので、やや分かり難かったかも知れませんが、ここまででもうお気づきの方もいらっしゃるかも知れません。
そうです。
この井上先生による制作発表初動情報解禁の時には、私・芦谷耕平はまだスタッフでも何でもなく、ただの往年のガチファンとしてこの発表をTwitter現在で云うところのX、で見て歓喜していただけだったのです!
先ほど少し触れましたが、私が漫画『SLAM DUNK』と出会ったのは、少年ジャンプ誌上で連載開始された1990年10月1日です。当時は北海道の片田舎に住んでいる地方の小学生だったので、発売日は1日遅れの10月2日だったかも知れません。
私は当時10歳、小学5年生の少年でした。
このブログは、そんな私が如何にして『SLAM DUNK』に憧れ、自分にとって神様の一人となる井上雄彦監督の背中を追い、やがて映画『THE FIRST SLAM DUNK』のアニメーター・作画監督になったのか、と云うお話しです。
いつまで続くのか、どんな形で終われるのかまだ良く決めてはいないのですが、先日発表されたBlu-ray・DVDの円盤発売に向け、少しでも盛り上がっていければ良いかなあと思っています。
ここまでご覧いただき有り難うございました。ご興味がありましたら、是非続きをお待ちいただければ幸いです。🏀🤜🤛🟥
#今年のベスト映画 #仕事について話そう #かなえたい夢 #今年のふり返り
アしや(芦谷)耕平