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私的遣欧日記⑤

最終日。ゆっくりめの起床。昼、茶節団のもう一つのイベント会場であるギャラリーへ。メンバーが揃い、いらっしゃるお客さまをそれぞれにもてなす。最後は櫨蝋燭の灯りのもと、先生が歌を詠み締め括った。

「パリのひに われらのひも ともさんと ひとのえにしも あいのまにまに」

お茶がつないだ出会い。広がり深まるご縁。10年。4年。時を経て、今ここに仲間といられることに感謝。最後の晩餐はオニオングラタンスープ。それぞれの想いを分かち合い、打ち上げ終了。ここからは帰国するメンバーと旅を続けるメンバーに別れる。

5日目の朝。バス停で空港へのバスを待つ間、アンパンマンが「この曲を聴きながら凱旋門の方に歩くと最高だ」とイヤホンを手渡してきた。朝日に輝く凱旋門とパリの街。耳に流れるシャンソン。たしかに最高だった。その後、アンパンマンに言われるがまま、夫も淺井さんもイヤホンを耳にバス停と凱旋門を往復した。ロマンチストなアンパンマンは計2回もそれをやった。さぁ、パリとお別れ。空港に向かう途中の車窓から彩雲が見えた。パリの旅を祝福し、次の旅の幸福を暗示する吉兆だと思った。この時までは。

2019年10月27日

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正垣文
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