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太宰治「薄明」について個人的な感想 10月22日(火)通算1653日目 グリーン(DORSCON)614日目
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10月22日(火)通算1653日目 グリーン(DORSCON)614日目
少し前に、太宰治「薄明」について記事を書いた。その時は読み終わったばかりということもあり、上手く感想が出てこず、あらすじと今読むことの意義に軽く触れるに留まった。あれから数日が経過して、感想が少し言葉になってきたので、今回は個人的に感じたことを記したい。
以前の記事でも触れたように、この話は太宰治が甲府に疎開していた時の話だ。ただ、個人的に共感してしまったのは妻の実家で義妹と同居になり、お互い居心地の悪さを感じつつも気を遣い合う生活を送ったという所だろう。私も血縁以外と暮らしたことがあるが、案外気を遣うのだ。加えて普段は気を張っていても、ふとした瞬間に疲労感がやってくるので、かなり厄介に感じた。多分、誰かと暮らしたことのある人は少なからず分かるのではないだろうか。
同居以外の点では、語り手である私が終始使えない奴という扱いを自他共にしている所が印象的だ。小説でも漫画でも物語の主人公は割と何かを成すことが多い中、現実では何もできないということは往々にして存在する。この作品の主人公はその意味で現実的であり、嫌な言い方だが、自分よりも下がいるという安心感を与えてくれる存在だった。
描かれている時代が戦時中ということもあり、薄暗さがないとは言えない。しかし、個人的には共感したり慰められたりする部分もあることから、それを理由に敬遠するのももったいない作品だと思う。興味があれば、ぜひ手にとってみてほしい。
太宰治「薄明」を読みたい方はこちら↓
図書カード:薄明
去年(2023年10月22日)の記事はこちら↓
一昨年(2022年10月22日)の記事はこちら↓
3年前(2021年10月22日)の記事はこちら↓
4年前(2020年10月22日)の記事はこちら↓
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最後までお読みくださり、ありがとうございました。