文フリと私と note
小柄な彼女は背後からひょっこりと現れた。
待ち合わせ場所で、くまさんとおしゃべりに興じていた時、
「おはよう。来たよーー」
聞き慣れた声に振り返った。
おだんごさんとくまさんと私の、一日の始まり。
…………………………
1店に対して2名までが、10時半から入場出来る。
おだんごさんと私が入り、くまさんには一般入場(12時から入場開始)で入ってきてもらう段取り。
ブース設営しながら欲しいものがあれば、外にいるくまさんに買ってきてもらおうと話していた。
くまさんは12時入場なら、もっと遅くていいでしょう?と思った方、そうでしょう、そうだよね、そうだとも!(強引)
我々もそう思っていたのだけど、結果、くまさんにも早く来ていただきよかったのだと思う。
なぜなら、10時半の出店者入場の時点で、
すでに一般入場者の待機列が出来ていた。
ヒィィィ!!!
恐るべし、文フリ。
こんなにも熱く、好きな作品と出あうことを願っている方々がいるのだ。
実際、くまさんは1時間以上並んで、12時と共に入ってきてくれた。
文フリの12時から13時台にいらした方は、入場チケットを手にしながらも、入るまでにかなり並んでくださったと思う。
13時前に来た私の家族(夫&次男)も「30分くらいは並んだ」と言っていたから。
長く並んでのご来場、本当にありがとうございました。
(文フリの中の人もそう思っているはず!!)
…………………
【設営】
本100冊(後にもっと多かったことが判明)と微熱さん作ポストカードを持ってきたおだんごさん、背中のリュックもずっしり、キャリーケースをコロコロ引きながら会場入り。
白く広い会場に、長机が並ぶ。
怖いくらいの台数。
長机の半分が「1ブース(=1店舗)」
おだんごやと、もうひとりの出店者さんで長机1台を共有する。
60㎝×45㎝の台が販売スペース。
「椅子(パイプ椅子)2脚」で申し込んでいたので、
私達が着いたら、机の上に椅子が乗ったこの状態。
椅子を下ろし、おだんごさんに、
「持ってきたものをどんどん出してください」
と伝える。
本もカードも飾りつけの小物も全部。
まずは、出す。
最初にした事は、自宅から持っていった"かけ布"を長机へかけること。
"お店"のはじめの一歩。
マスキングテープを輪っか状にして机の四隅へ、その上から布をかける。
テープで留めておけば、販売中も布がずれない。
かけ布の長さは足元が隠れるようにして、正面からの目隠しにする。
裏に荷物やストックが置けるように。
アンティーク着物店で働いていた昔、骨董市や催事のブース設営やったよなぁと懐かしい。
おだんごさんは「こんなふうにブースを作りたい」と、ご自宅で、文フリのブースに見立てて本やカードを並べた写真を撮り、共有してくれていた。
それを見ながらどんどん並べていく。
この写真があると無いとでの差は大きい。
設営、準備は時間との戦いなので、イメージがあるのはとても大事。
こんな風に並べたいというイメージを、事前に作っていくか否かで準備の速度が違う。
自宅から持っていった飾りも、置いたり貼り付けたりした。
寛容なおだんごさんは、「あやしもさんの作ってきたもの、出してね」と言ってくれる。うう、感謝。
ふたりで黙々と作業し、途中、くまさんにメールをする。
「買ってきてもらうものは無さそうです、こんな感じです」と写真を送る。
私物が写っているので写真をお見せ出来ないのだが、裏側(机の下)には床にピクニックシートを敷いて、物を下に置けるようにした。
机の下にはおだんごさんのキャリーケースを横にして置き、中には本のストック。(本の半分くらいはケースより外に出しておく)
台の上には3種類の本を1冊ずつ、売れたら出す。
ポストカードも同じく。
お釣り銭の確認をして、筆記用具やノートの準備もして、トイレを交代で済ました。
この時点で11時半くらい。
おだんごさんに、新潟煎餅(我が家の近所のスーパーマルエツで買ったもの)を「食べてください」と渡し、自分はセブンイレブンのおにぎり(南高梅)に齧りつく。
周りのブースも準備完了の様子で、挨拶をし合ったり、お菓子をいただいたり、新潟煎餅を渡したり。
運営さんから、出店者へのご挨拶的なものがアナウンスされて、会場から拍手が湧いた。
は、始まるぅ〜ーー!
【くまさんの合流といちばんのお客様】
開場と同時にくまさんが来てくれる。
くまさんが来たことで安心感が漂う。
くまさんがいれば大丈夫と、私達はいつだって思うのだ。
3人で揃いのTシャツと三角巾とエプロンを身につけて、ニコニコし合う。
今日いちばんのお客さんが来てくれた。
長男さんだ。
おだんごさんの長男さんが、開店早々に駆けつけてくれた。
1時間以上並んでくれたに違いない。
ありがとうございました。
嬉しい!!
素敵だ。なんて素敵……と感動しながらも、私は心の中で、
おだんご三兄弟コンプリートッ!!!
と叫んでいた。
そう、私は次男さんと三男さんにお会いしたことがあるのだよ、クククク……。
さらにこの日、おだんごさんを送ってきてくれた夫さん(おだんなさん)にも会っている。(車の窓越しにご挨拶)
体内おだんご率高し。
もはや良い予感しかしない。
いくぜ、文フリ!!!←もう来てます
【たくさんのお客様】
おだんごやは、おだんごさんの本を売るお店。
お客さんが、おだんごさんとの時間を少しでも長く楽しめるようにと思っていた。
これは、くまさんとも事前に話していたこと。
私はブースの中にいて、会計や裏のことをした。
お金を受取り、間違えずにお釣りをお渡しする。
ノートに書き留める。
商品をストックから補充する。
本をセロファン袋に入れる、等々。
くまさんは、くまくじを担当してくれた。
おだんごやでは、本を購入するとくじ(くまくじ)が引けて、当たれば籐のコースターをプレゼント、くじの参加者には全員お菓子のプレゼントがあった。
くまさんは、その事を全てお一人でこなしてくれ(くじのことやお菓子の補充や)毎度のことながら、すごいよ、くまさん!状態だった。
バラエティーに富んだお菓子は、かすみさんが用意してくれたもの。
どのお菓子も見た目からして可愛く、特にくまモンのクッキーが人気のようだった。
くまモンクッキー人気は、熊本城の主でもある好感度王子の念が届いたものと推察する。
おだんごさんの本は、れおさんなしではこの世に誕生しなかったと思う。
おだんごやのブレーンとして、スケジューリングや見積もり、販売予測や、データ入稿のことや、オンラインミーティングの設定や、本の校正や……
仕事が出来すぎるハンサムだ。
おだんごさんのすごいところの一つは、力を貸して欲しい!と人に直球で頼めるところだと思う。
なかなか言えることではない。
「経験がお礼だから」
その通りだと思う。
こんな経験は出来ない。
おだんごさんとじゃなきゃ、出来ない。
ありがたいことに、12時20分くらいから16時頃まで、お客さんは絶え間なく来てくださった。
おだんご本の表紙を描いた、着ぐるみさんがいらっしゃった。オニオン坊やと一緒に。
着ぐるみさんの表紙を見て来店、お買い上げいただいたお客さんがいた。
ジャケ買いだ。
その事が私達も嬉しくて嬉しくて、着ぐるみさんに伝えた。
着ぐるみさんも喜んでくれた。
絵の力は素晴らしい。
着ぐるみさんの絵は、おだんごさんの文章と調和しながらも、絵が持つ世界観を存分に発揮していると思っている。
本と一緒に販売した、微熱さん作のポストカードも然り。
おだんごさんのも、3人のも、私はとても好きだ。
微熱さんの色づかいが好きなのだ。
途切れることなく来てくださるお客さん達。
周囲にご迷惑をかけてしまったようだ。
それに全く気づけなかった。
申し訳なかったです。
おだんごさんは笑顔で迎えて、ハグして、寄せ書きに参加してくださった方にはメッセージカード付きの本をお渡し。
初めましての方もたくさんきてくださった。
「来てくれてありがとうございます」笑顔に笑顔。
noteのアイコンが浮かび、目の前の人と重なり、文章が浮かんでその人と混じりあう。
会話が弾む。
おだんごさんから、お客さんから渡されるお金を間違えずに受取り、お釣りがあればお客さんにお渡し。
お会計に全集中の私だった。
本はどんどん少なくなって、キャリーケースの中のストックも全部出した。
おだんごさんに声をかけた。
「もうこれで全部です」
「私、見本誌、取ってくる!」
見本誌コーナー向かったおだんごさん。
文フリ会場には見本誌コーナーがあり、そこにブースの本を置くことが出来た。
完売。
最後は、見本誌も売った。
ねぇ、コッシーさん、まさか完売とは思わなかったよね?私もよ。
途中、私は聞いたのだ。
「おだんごさん、これからオンラインで本を買いたい人もいるでしょう?もしこれが全部売れたら、足りるかな?今、予約してる方以外にも、後からオンラインで欲しいという方もいるかもしれないよね?」
「そうなったら重版かな。重版出来!」
ねぇ、コッシーさん、おだんごさんはそう言って笑っていたのよ。
すごくない?
私は本が売れるかな、売れるだろうかとずっと思っていた。
不安もあった。
どうやったら売れるだろう、どうやったらおだんごさんの本を皆さんに買ってもらえるだろうと思っていた。
おだんごさんは「届けたい」と言っていた。
本を渡したい人に届けたいんだって。
ずっとそう言っていたよね。
だから文フリに来て、本が欲しいという方には必ず行き渡るように持ってきたのね。
133冊も持ってきたのね。(100冊超えてるじゃん!)
「渡したい人に渡してきたの。
バクゼンさんには東京にいく前に渡してきたから」って、前の日に言っていた。
ねぇ、コッシーさん。
私の「売りたい」と、おだんごさんの「届けたい」は、実は、見ているものが違ったのかもしれない。
私に、この大切なことを伝えてくれた noteの友達がいてね。本当にありがたかった。
すごく楽しかった。
無我夢中で楽しかった。
違ってもいいんだよね。
違うからいいのかもね。
まあ、どっちでもいいよね←
考えが混じり合ったり、離れたり、重なったり。
相手の言葉(文章)をちゃんと聞いて(読んで)、信頼して、相手への敬意があること。
それがあるから楽しめるのだと思う。
noteも同じだと思う。
コッシーさんがおだんごやの宣伝をたくさんしてくださったり、最後の机や椅子の片付けもしてくれたり、みんなを笑わせてくださったこと、ありがとうございました。
……………………
文学フリマ、17時の閉場のアナウンスが流れると、また会場から拍手が起こった。
ありがとう、運営さん達。
ありがとう、文学フリマ。
おだんごやにご来店いただいた皆さま、私に声をかけてくださった皆さま、ありがとうございました。
遠くから応援してくださった皆さま、ありがとうございました。がんばれが届いていました。
おだんごさん、お疲れさまでした。
楽しかったです!!!
ただいま、note!また書くよ。
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