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この絶望を直視できるか? 『シビル・ウォー』のリアルが凄まじい
アマゾンプライムでは、早くも『シビル・ウォー アメリカ最後の日』の独占配信が始まりました。もうご覧になりましたか?
近未来のアメリカが内戦へと突入した暗い世界を、息苦しいほど生々しく描き出した問題作だと思います。
19もの州が連邦政府から離脱し、カリフォルニアやテキサスを中心とする「西部勢力」と政府軍が激しく衝突する中、ベテラン報道カメラマンのリー(キルスティン・ダンスト)と駆け出しのジェシー(ケイリー・スピーニー)は、混沌とする大地を縦断して独裁的な3期目大統領への取材を目指します。
その道中、ヘイトや白人至上主義者の暴力、民主主義の崩壊、そしてFBI解体などの憲法違反行為といった、あまりにも現実味のある恐怖が次々と眼前に迫ります。
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監督は『28日後…』や『エクス・マキナ』で知られるアレックス・ガーランド監督で、制作はA24が担当しています。
A24史上最大規模の製作費が投入されたとのことで、作品全体には尋常でない緊張感が漂い、銃撃戦や拷問、憎悪剥き出しの場面がまるで観る者の皮膚を突き刺すかのようです。報道カメラマンたちのフィルムカメラ越しに映し出される数々の惨劇は、美的感覚を超えた“記録”としての重みを帯び、後味の悪さが観終わったあともしばらく心に居座るのではないでしょうか。
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ただ、日本人の視点から観ると、この直接的で暴力的な映像や、人種対立、政治的二極化からくる緊張感が肌感覚として飲み込みにくい部分もあるように感じました。
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けれどここまでこういう作品が熱狂的に受け入れられることに衝撃や恐怖を感じ、報道の価値やジャーナリズムの必然性、社会の分断に潜む危険性を改めて考えさせられたりしました。
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正直、娯楽作品としてはかなり重たく救いが少ない印象ですが、映画ファンとしては、このような問題提起型のディストピア作品は観ておくべき一本だと感じました。考えさせられる部分がとても大きい作品です。興味がある方はぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
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