夏

30年以上前の夏、薄着で裸足姿の私に母は「そんな格好して。靴下履きなさい、靴下」と言い、20年以上前の夏、夜寝る前にヨーグルト食べるんですと言う私に「冷たいもの寝る前に食べると体冷えるよ○○さん」とバイト先の店長に言われた。
聞き流していた私が、“歳を重ねるにつれ体調不良や心の不調など問題は出てくるものだ”と記された群ようこさんのエッセイ『ぬるい生活』を、半身浴しながら愛読していたのは10年前の夏。
今ではすっかり当時の母や店長と同年代になり、真冬と同じスパッツと厚手の靴下を履き、ストールを肩にかけ、時々足首を回しつつ、エアコンの冷気に負ける体に白湯を飲ませながら、まったくみなさんのおっしゃる通りでしたと、心の中で呟くこの頃である。