とぐろを巻いたう○こは何者だ
タイトルから汚い話で申し訳ない、ブラウザバックする前に少しだけ待って欲しい。
街ゆく人にこれは何のシルエットでしょう?と問いかければ恐らく過半数の人がう○こと答えるだろう。それほどまでに日本人にとってう○こ=とぐろを巻いた物という共通認識が広がっている。
しかし実際のところ普通に暮らしていればう○こはとぐろを巻かない。
う○こがとぐろを巻くものだと信じてやまない人の幻想を壊してしまった申し訳なさで夜しか眠れないが、現実を直視する事こそ大人への1歩だと思うのでどうか冷静に事実を受け入れて欲しい。
う○こは、とぐろを巻かないのだ。
街ゆく男女100人に
「あなたはとぐろを巻いたう○こを見た事がありますか?」
と問いかければ、ハイと答える人は極小数だろう。
しかしう○こで検索すればとぐろを巻いた物がたくさんヒットする程う○こ=とぐろを巻いた物と認識されている。最早一般常識レベルだ。
そこで、とぐろを巻いたう○こという概念はいつからあるのか、何故一般常識レベルに広まったのかを考えてみることにした。
※本記事には以降とぐろを巻いたう○こという単語が頻出します。お許しください。
とぐろを巻いたう○こは戦後生まれ?
先程も述べた通りう○こはとぐろを巻かない、とすればとぐろを巻いたう○こは漫画的なデフォルメ表現の1種だと考えていいだろう。
私がとぐろを巻いたう○こという物に初めて触れたのは小学生の頃にコロコロコミックスで連載されていたでんじゃらすじーさんだったと記憶している。あの漫画にはよくとぐろを巻いたう○こが出てきてお腹がよじれるくらい笑っていた、小学生男子はう○こち〇この類が何よりも大好きなのだ。
とぐろを巻いたう○こと言えばもう1つ忘れては行けない作品がある。それが鳥山明先生のDr.スランプだ。
未読の為詳しい事は分からないが作中には度々とぐろを巻いたう○こが出てきており、アラレちゃんもとぐろを巻いたう○この付いた棒を持っているシーンも劇中に多々あるという。
売上も3000万部を超えており、一大旋風を巻き起こした作品だ。アニメも最大視聴率38.1%を叩き出し、当時の人気の凄まじさが伺い知れる。
そしてこれ程のコンテンツだ、世間一般にとぐろを巻いたう○このイメージを植え付ける事も十分可能だろう。
なんだ意外と早く終わりそうだなと思いながらも少し調べた所、どうもアラレちゃん以前にもとぐろを巻いたう○こという概念は存在することが分かった。
アラレちゃん以前のとぐろを巻いたう○こ達
Dr.スランプ以前にまきぐそを描写した作品についてだが、2つほど見つける事が出来た。まず1つ目が楳図かずお氏の漫画『まことちゃん』(1976~1981)だ。
作中ではとぐろ虫と呼ばれる事もあり、明確にとぐろを巻いていることが確認できる。
更に単行本1巻の扉絵ではまことちゃんがとても立派なとぐろを巻いたう○こをひり出している絵が描かれている。
もう1つは1970年に連載開始したとりいかずよし氏の『トイレット博士』こちらの作品は7年間、計30巻の単行本と言うかなりの長期連載作品であり、累計発行部数も1000万部と少年ジャンプ創世記を支えた作品だ。
こちらの作品では1話からう○こをテーマに物語が進み、3話にしてとぐろを巻いたう○こが出てくるのだ。
見事にとぐろを巻いている。さらに作中においても特に説明もなく描かれている事から70年代時点でもう既にとぐろを巻いたう○こという概念が成立し、一般に広まっている証拠では無いだろうか?
もしそうだとすると、本作以前にも何らかのメディアでとぐろを巻いたう○こが出て来るのではないか?そう思いトイレット博士のWikipediaを見ていたところあとがきに面白い事が書かれていた。
これが本当ならばとぐろを巻いたう○こを初めて漫画に描いたのはとりい氏であると言う証拠では無いだろうか。
僕も調べてみたのだがトイレット博士以前の作品でとぐろを巻いたう○こが出てくる作品は見つける事が出来なかった。とりい氏の発言をある程度信ぴょう性のあるものとして考えても良いのかもしれない。
しかしとぐろを巻いたう○こが漫画に描かれてから50年も経過していたとは、この記事を描き始めた時にはこんな事になっていたなんて思いもしなかった。かなりの歴史だ、もはや文化と言っても差し支えないだろう。
う○こは本当にとぐろを巻かないのか?
漫画に初めてとぐろを巻いたう○こを描いたのがとりい氏だとしても疑問は残る。それは先程も書いた通りトイレット博士連載時点で既になんの説明も無くとぐろを巻いたう○こが描かれている点だ。
こればかりはどうしても分からなかったので元ボーイスカウトの父に聴いたところ、面白い事が分かった。今までとぐろを巻かないと思っていたが野糞や和式便器を使って上手いことやれば1段くらいならとぐろを巻いたう○こを出せたと言うのだ。
和式便器など数える程しか使った事が無かったので知らなかったがどうもそういう物だったらしい。
しかしこれでう○こがとぐろを巻いているのにも納得した。この記事に名前を挙げた楳図氏、とりい氏、鳥山氏ともに昭和の時代に少年時代を過ごしている。
当時は和式便器が圧倒的な主流派で、洋式便器が和式便器のシェアを上回るのは80年代まで待つ必要がある。
つまりそんな時代を生きた彼らにとってはう○ことはとぐろを巻くものだったのだ。それ故にとりい氏が漫画で急にとぐろを巻いたう○こを描いてもなんのことは無い、当たり前の表現だったのだ。
世界最古のとぐろを巻いたう○こ達
さて、そうなると話は変わってくる。とぐろを巻いたう○こが戦前、なんなら昭和以前から存在する可能性が出てきたのだ。
地方民の為国会図書館に行って調べるなんて事も難しい為、ここはインターネットの集合知の力に頼って現状分かる範囲で最古の物を探してみたいと思う。
調べた限りでは国内と海外で1つずつ最古ではないかと思える物を発見した。
まずは日本より旧河本家本 紙本著色『餓鬼草紙』だ。こちらの作品は12世紀のものと思われ、国宝指定もされているお宝だ。
こちらの餓鬼草紙の食糞餓鬼図を見ると、確かにとぐろを巻いたう○こが描かれている。
さらに海外に目を向ければ1515年に出版された『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』という物語にもとぐろを巻いたう○この姿が確認できる。この作品には複数回に渡ってとぐろを巻いたう○こが出てくる挿絵がある。
正直これには驚かされた。と言うのもとぐろを巻いたう○こは日本固有の漫画表現だと思っていたからだ。
しかし現にこうしてヨーロッパの作品にもとぐろを巻いたう○こが描かれている辺り昔の人はとぐろを巻いたう○こをする事が出来た可能性もあると言えるんじゃないだろうか。
また、見つけられなかっただけでさらに古い作品にとぐろを巻いたう○こが描かれている可能性も、なんなら洞窟壁画に描かれている可能性もある訳だ。う○こに浪漫を感じるのもあれだがすごい浪漫のある話じゃないか。
最後に
ふとした思い付きからとぐろを巻いたう○こについて調べてみたが予想以上にとぐろを巻いたう○この歴史が古い事に驚かされた。
確かに漫画にとぐろを巻いたう○こを描いた第一人者はとりい氏かも知れない。しかしそれ以前、数百年も前の時代からう○こはとぐろを巻いていたのだ。とぐろを巻いたう○こは連綿と受け継がれてきた偉大な文化と言っても過言では無いだろう。
だが野糞をする人も減り、和式便器の出荷数も全体の0.7%と非常に低く、今後和式便器は消えゆくのだろう。そしてそれに伴って実際にとぐろを巻いたう○こをひり出す人も居なくなるのだろう。それは仕方ない、時代の流れという物だ。
しかし、我々は漫画表現という形でとぐろを巻いたう○こを絶やすことなく未来に遺す事が出来るのだ。数百年前から受け継いだとぐろを巻いたう○こ、是非後世に残して未来の小学生男子にもとぐろを巻いたう○こで笑って欲しい。