アスペルガー症候群への指摘の仕方
私はアスペルガー症候群として、
アスペルガー症候群は飴と鞭がないと脳が機能しないのではないかと思っています。
私は否定だけをされると、この人は私が嫌いなのだ、この人は私の何もかもが許せないのだろう、と敵認定し
私をとにかく褒める人は、ありがとう、ありがとうとは伝えるものの、私贔屓なバイアスがかかっていそうなのであまり意見は参考にしない傾向にあります。
こういった様子を観察していると、飴だけでも鞭だけでも効果がなく、飴と鞭を与える必要があるのだと解釈できます。
今日の記事では、三種類の指摘の仕方について書こうと思います。
アスペルガーへの指摘の仕方として、私がおすすめしない順に書きます。
何故かというと
どうしてもアスペルガーに
「最もおすすめしない方法」での指摘を、して欲しくないからです。
□ 否定形での指摘の仕方
例)「ここに置かないで」
「これとこれを一緒に置かないで」
「優しい人はそんなことしない」
パニックを起こすか、あなたのことを敵視し始める指摘の仕方の典型です。
理由としてはアスペルガー側では
・行為の指摘が人格否定として受け取られる
・何が間違ったのかわからない
・正解がわからない
・それをしてはいけない理由がわからない
・この人は私のことが憎くて言っているのだろうか
こういった考えが一気に脳内に渦巻いて、否定的にしか捉えられず
指摘した人間を敵認定し、聞く耳を持たず塞ぎ込む結果になることが挙げられます。
□ 肯定形の指摘の仕方
例)「ここにおいてね」
「ここの計算は切り捨てにしてね」
「コートを着て行きなさい」
応用を効かせる必要が一切ない間は、これで問題ありません。
アスペルガーがこだわりを持っていない範疇の事態については全てこの指摘でも問題はないのですが
例えば「ここに置いて」とだけ伝えると
アスペルガー側は「ここにおけば良いのだ」と認識し、なんでもかんでもそこにおくかもしれないし
後で置き場が変わったとしても、そこに律儀に置き続けるかもしれない。
「ちょっと、もうそこじゃなくなったんだからそこには置かないで」とか
「それはそこには置かないでよ!」
なんて言おうものなら意味がわからなくなります。
そこに置いてと言われたから置いたのに!
下手するとパニックです。
肯定形で指摘をすることは指摘する側からしても難しいと思います。
というのも、例外や応用を教えるか、例外や応用する事態が起こった時はそれを飲み込むか、妥協しなければいけないからです。
あなたが「ドアは閉めてね(今は冷房をいれているから)」と言ったとすると、アスペルガー側は ドアは閉めなくてはいけない という認識をします。
そしてあなたがドアを閉めていないのを見ると
「ドアは閉めないといけないんだよ!!」
と大騒ぎするに至るかもしれません。(私はまさにそうです)
「今は冷房つけていないから…」とその時に説明したとしても
最初の指摘の際に冷房をつけているからドアを閉める という説明をしていないのでその時点で脳内はパニック。
アスペルガー側からどうしてと疑問を持つか、その情報を事前に提供しておくと話がある程度はスムーズに行くと私は想定します。
私の実体験を書きますと
昔経理の作業を行なっていた際に
「小数点以下は全て切り捨てでね」
と教えられていたので、楽しく毎日計算をしまくっていたのですが
ある時呼び出され
「なんでこんなやり方をしたのか説明しろ」と言われ
「上司に言われたので?」と言うと
「いやそうじゃなくて…」
と意味のわからない状況に立たされたことなどもあり
トラウマから学び、今は
「必ず肯定的指摘や提案があっても、応用、例外があったときのために合理的な説明を求める」やり方にシフトしました。
無論自分で例外時のことを考えない方は例外時の対処法を事前に聞き出しておくと良いと思います。
この提案の仕方、受け方を以下に説明します。
□ 合理的な説明を加えて、相手のことを肯定しながら、否定的な事例・状態を明確にしつつも、両者の利益になる改善案や正解論を提案する方法
例)「このテーブルは食事をするためにあるテーブルで、ここに物を置いたり絵を描くと食べる場所がなくなってしまう。
置くものによっては衛生的ではなく後で食事をする時に汚いので、画材を置く場所を部屋に作ろう、そして今持っている画材ならばこの紙に描くといいよ。テーブルのような素材に描きたいのならばまた画材を買い出しに行こう。」
「今日はもうすぐ大雨になるみたいだからスニーカーではなく、この雨靴を履いていきなよ。
雨靴を履いていれば中の服まで全部濡れてあとで寒い思いしなくていいからね。レインコートもカバンの中にいれておくね。今の服と似合うからいいね。」
この方法は色々なことを一気に考えないといけないので、私でも発言をする時は全てが満たされているかをじっくり考えてから言う必要があります。
具体的には以下のことを発言に盛り込みます。
・相手の立場を肯定する
・否定的な状態を明確にする
・正解の状態・改善案を教える
・行為の否定、正解論が合理的である
・提案は利己的ではなく両者の利益になるよう提案する
・相手の立場を肯定する
まずはじめに、相手(アスペルガー症候群)のその特定の「行為」を否定しているのであって、人間性、人格全否定ではないのだということを明確にするために、相手のしていることを認めてあげることが必要だと思っています。
「食事を作ってくれたことはありがたい」
「絵を描いていることは素晴らしいことだ」
「食器を洗ってくれたことにはとても感謝している」
ただ否定だけをしてしまうと、
1の否定は100の人格否定としてこちらに届くので
「私は何をしても何もできない人間なんだ」
「行きているだけで迷惑しかかけていない」
と一晩中泣くことになり、
指摘をした側からしても
「また一人で塞ぎ込んでしまって聞く耳を持たなくなってしまった…」
とうまくいかない結果となると想像します。
・否定的な状態を明確にする
何が正解なのかわからない以上に
何が間違ってしまったのかがわからない私たちですから
「テーブルに絵を描いてはいけない」
「お皿を洗った後は水で流さないといけない」
この事実を明確に知る必要はあります。
しかしこの否定的な状態・状況を明確にする時は
必ず正解案、改善案や提案を添えて。
非合理的であったり、利己的な伝え方にならないよう気をつけてください。
・正解の状態・改善案を教える
アスペルガー症候群、少なくとも私が最も苦しむのは「正解がわからない」ということです。
「ここに置かないで」
何故?何が正解なの?
例えばそこで
「ここにこれを置いておくとこのテーブルが少し揺れただけで落ちてしまうでしょ?割れやすい素材だから、これはテーブルの端ではないところや安全なところに置いてね」と言ったとしましょう。
ここからは学習能力次第になると思います。
ここまで聞いて
「そうか、それならばテーブルの真ん中に置こう」と思うのか
テーブルの真ん中に置こうとしたら、テーブルの真ん中には色々な物が置いてあり置けない、それならばどうするか
そこまでしなくてもいいとは個人的には思いますが、おく場所を提案してあげることもアスペルガー側の安心材料にはなると思います。
(下手をすると「ここにおくなと言ったのにテーブルにはおく場所がないじゃないか!どうしたらいいんだ!」とパニックになりかねないので、代案を提案しておくことはどれだけ簡単な状況でも良いことかとは思います)
正解を教えてあげることで
「相手の観点・感覚ではこれが正解なのだ」と思い
あなたに対している時は少なくともその正解がわかった状態でいることから少しばかりの自信になるし
一度脳内に刻めば、馬鹿の一つ覚えのようになってしまうときもありますが同じようにずっとそれをルーティーン作業とすることは苦ではないのです。
・行為の否定、正解論が合理的である
前述した通り、指摘をする際には
「否定的状態の明確化」と「相手の肯定」をする必要があるのですが
この時の説明は合理的である必要があります。
例えば
「今日はTシャツでいくのはやめなよ」
とあなたがアスペルガーの人間に言ったとします。
その日は朝は暑くて、夕方以降雨になって寒い天気予報、あなたはもっと厚着をして行きなさいと思って言ったかもしれない。
しかしその指摘だけを受けた時点では私たちは
・何故Tシャツで出かけてはいけないのか
・私の気に入っているTシャツに何故文句をつけるのか
・ならばどうしたらいいのだ
・何故この人はそんなことを言うのだ
と、理由がわからず焦り始めます。
あなたが
「今はその格好でちょうどよさそうだけど(肯定)、もうすぐ大雨になってすごく寒くなりそうだよ、最低気温が10度も違う。(合理性のある説明)
今日はこれを羽織っていくとちょうどいいんじゃない?(肯定的提案)」
と言ってくれたら
あなたの指摘の目的は私の快適さの追求にあり、それは私の利益のために言ってくれていることだし、10度も寒くなる気候でこのTシャツは寒すぎるかもしれないと、合点がいき、私たちも飲み込むことができると思います。
「私が恥ずかしいからそんな格好しないでよ!」と言った場合
私は恋愛に疎いのでよくわかりませんが
もし溺愛する彼女がそう言っているのならば、
もしかしたら
「この子のために…」と彼女が指定する服を着るかもしれませんが
(ここで指定もされずにそれを着ないでとだけ言われたらパニックを起こしかねません)
そうでもない限り、
そんな利己的なことを言われたら意味がわからなくなります。
むしろ、無言で何も言わず勝手に服を仕立てて、
「はい、今日はこれがTPOにあっている服だから仕立てておきました。このセットを着てね」と言った方が見た目にあまりこだわらないアスペルガーとしては聞き入れやすいかもしれないです。
指摘をする時は、常に感情論を省き、合理的な話だけをする必要があります。合理性がなくなると議論に揺らぎがでるし、「どういうことだ!」となることが精神不安定剤になるからです。
例えば私の実話ですが、職場で
「この作業をこの通りにしてね。
理由はよくわからないけど、みんなそうしてきたから」と言われたことがありました。
その作業はその表の中であまりに異質で、項目と内容が異なっているもので、何故そうなったのか、何故その通りに続けるのかが理解できないものでした。
私の実話の中では解決策がなく、私が大先輩を怒鳴るという結果になり
彼女は私の送別会で「扱いにくい子だと思ってたよ」と笑っていましたが
「理由はないけど」「理由はわからないけど」
これはアスペルガーにはタブーです。
合理的な説明を受ければむしろ合理的に物事の順序を紐解いて、一番自分のやりやすいやり方で爆速で作業ができるポテンシャルすら持っていますから。
・提案は利己的ではなく両者の利益になるよう提案する
少し前述しましたが、指摘をする際に
「あとで私が片付けないといけないんだから!」
「私の綺麗なテーブル汚さないでよ!」
「私のやる仕事を増やさないでよ!」
と完全に利己的な言い方をすると
その指摘には合理性がなく感情的だとすら感じ、
自分のことしか考えていないように見えて
こちらからは敵認定の対象になり得ます。
利益を追求するならば両者の利益を追求する発言が求められます。
「私が困るからやめてよ」
「私が恥ずかしいからやめて」
「私に迷惑かけないで」
という言葉は一つとして合理性がない感情論であること
もう一つとして利己的で私の要望、希望を完全に無視している発言であることから、聞き入れられない敵認定発言の典型と考えられます。
自分のことしか考えない人だと認識すればあなたは敵認定され
アスペルガー側は聞く耳を閉ざします。
一番良い提案方法としては
「こうすればあなたの効率があがる(し、周りも助かる)」
「こうすれば身軽になるから動きやすい(あなたが快適)でしょ?(私はその間に休憩させてもらおう…)」
「ここに置いておけば取りやすいでしょ?(ここにあっても困るし)」
取ってつけた言葉のようですが、両者の利益を求める発言をすると効果があります(心からする必要があります、嘘っぱちは何故か読み取られてバレます)。
こんなことを考えていると育児のようだと感じるのですが
これは私に効果があった方法であり、私が自分に効果があったのだから、他人にもそうすると決めて施行しているものです。
ここまでしなくても…ということもあると思うので
必要に応じて参考にしていただければと思います。
私個人的な話をすると、知らない人でも身内でも誰からでも自動的に合理的な説明と肯定的な指摘をもらえるとは期待できないですから、
私は自分から「なんで?」と自分が一人で考えて結論が出せる程度になるまで情報を引き出し続けます。
これは相手がちゃんと合理的に考えている場合は私の糧になり、相手が困らないように私が動くことも可能にしますが、相手が本当は利己的なことしか考えていなかったり
「常識的に考えて…」とか「普通そうでしょ」というような言葉しか出てこない場合、残念ながら敵認定が行われ、話を聞かれなくなることもあると思います。
さて、アスペルガー症候群への指摘の仕方、頭は使いますがどう思われますでしょうか。否定的な感情や考えに敏感な私たちからすると指摘のされ方というのは非常に大切。
この人は私を傷つける人ではないと認識すれば、話を聞いて指摘を飲んでくれることもあるでしょう。
みなさまのご意見お聞かせ願いたく思います。
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