説明下手が「教え上手」に進化した4ステップ
入社1年目の話をしようと思います。
IT系の会社に入社したんですが、初年度は事務色の強い担当に配属されまして。天性のがさつさも手伝って当時の私は大変「出来ない社員」だったんですね。あんまりにも向いてないので1年で配置換えと相なった訳なんですが、最後の最後までダメっぷりをかましてしまいました。
そんな、ズタボロな1年のお話を書いてみます。誰かのお役に立てば幸いです。
今回お伝えしたいのは以下3点です。
・口頭だけで済まされる教育には気をつけた方が良い。大抵、教える人も意識できていない「ついで作業」が大量に潜んでいる。
・満点を取ろうとすると心が疲れてしまうので及第点を目指そう。他人の思う満点はその人自身にも取れないものなので、存在しないものだと思えば良い。
・どうせなら教えられる人を目指そう。教えるためのモノを生み出そう。生み出す力は成長に繋がる。
失敗①|「わかった?」「はい!(理解しただけ)」
入社してすぐの頃、どの程度の業務量を教えられるか全く理解できておらず、しかも、その量とレベルをかなり過小評価していました。「まぁ、ちょっとメモ取っておけば良い程度だろう」だと思っていたのです。
しかし、これは大間違いを越える超間違いでした。いやもう、当時の私に往復ビンタをお見舞いしてやりたいのですが、完全に仕事というものを舐めていました。学生気分そのまんまだった私は「そんなに大事なことなら体系立った資料があるだろう、資料がない口頭説明は大したことではないはずだ」と高をくくっていたのです。
入社してしばらく経ってから知ったのですが、業務に必要な情報が全てマニュアル化され、常に最新化されてる職場って超少ないんですね。そんな食い違いに気づかぬまま「私が大事だと思っていない割にすごく大事な説明」を受け続け、大量のミスを生み出しておりました。
そうこうしているウチに数ヶ月が経ち「酒蒸はミスが多くて役に立たない」的な空気感が流れ始めました。マズい空気です。
その頃になってやっと「教わったことの重要度の見積もりが甘かったのでは?」と思い至りました。やっとかよ、って感じですが、やっとです。
やっとでもさっとでも何かしら対策は打たなければいけないので、ひとまずメモの質を上げてみることにしました。
とは言っても、紙にペンを走らせる速度には限界があるので、ブラインドタッチがある程度できるように訓練をした程度です。1ー2割ミスタイプがあっても、大体の意味は取れるので、説明された資料を見ながら、説明された内容をダカダカ打つ→最低限の清書で乗り切りました。
ひとまず、自分自身の理解度を上げるだけで「どうしようもないヤツ」からは脱出することができたわけです。セーフ。
失敗②|「引き継ぎしてね」「はい!(ぜんぜん説明できない)」
一切使い物にならなかった所からはなんとか脱出した私ですが、やはり事務仕事は性に合わないのが傍目からもわかったようで、1年弱で異動と相なりました。
そこで異動前1ヶ月を使って、多少ある私の仕事を他の人に引き継ぎましょう。ということになったんですね。毎日やっている業務を、人に伝えるくらいできるでしょ、という訳です。
しかし、私の見積もりの甘さと、喋って説明するのが超苦手という特性の相乗効果により、事態は混迷を極めました。自分が受けた先輩のペースで引き継ぎを進めようとしても、説明に倍くらい時間がかかる、理解度を確認しようにも、どのように理解できたかを見れば良いかわからず、更に時間がかかる。
他のチームメンバもできる業務をやっていたので先輩方も「教える経験をしてもらうか」と、ゆるっと見守ってくれていたとはいえ、結局引き継ごうとしていた業務のうち、3割程度しか伝えることができず大変申し訳ない&悔しい思いをしました。
しかも、引継ぎ先の子(入社年次が同じ)には、教えるどころか教えられてばかりでして。メモやマニュアル作成に便利なツールや、進捗管理に役立つExcelの設定を教わるなど、私が伝えた以上のことを伝授してもらいました。情けなさここに極まれり、です。
対処|「わかった?」「ちょっと待ってください!これじゃ教えられないです!」
そんな数えきれない無念を抱え、新天地へ異動をしまして、できるだけ根っこから「教わり方」を変えてみました。担当内のマニュアルが少々古くなっている事を確認したため、0からマニュアルを作るつもりで。相変わらずたくさん誤タイプするブラインドタッチと、教わったツールを駆使し、資料をガンガン作っていきました。
まぁ、私の動作としてはメモを大量に書いた、という程度なのですが。
その時に気をつけていたのが「明日、後任への引継ぎを言い渡された時に慌てずに済むか?」でした。毎日が万全の態勢とはいきませんが、特に着任直後の余裕を持って教えてもらえるうちは、今でも意識するようにしています。
で、結局上手に説明できるようになったの?というお話なんですが、これが全くできないままなんですよね。もう笑っちゃうくらいに。
ただ、そんな私のお粗末が過ぎる説明でも、目の前に資料があれば、ほぼ資料の力だけで作業の引き継ぎができることに気が付きまして。今度は教わり方だけでなく教え方も変えてみることにしました。
1. マニュアルを作りながら教わる。自分自身が業務を覚えないくらいのつもりで細かく書き込む。
2. 自分が教える番になったら、作業とマニュアルを渡し、一連の作業を横で見守る。(忙しければ声をかけるポイントを決めて離席も可)
3. 適宜質問を受け付け、マニュアルに記載漏れがあれば説明をし、「自分がわかる言葉で追記をする」よう依頼する
4. 追記されたマニュアルの内容と、作業結果を確認し、問題なければ引き継ぎ完了とする。
これ、説明受ける側のメモの量も少なく済むし、何より一発で覚えてくれるので教える側が大変楽なんですよね。人が入れ替わるタイミングってどうしてもチームとしてパワーダウンしがちなので、教育にかかる作業量が減るのは結構良いな、と感じました。
そのうち、「忙しそうだったので先にマニュアル読んでやってみました」と声をかけてくれる有能な方も出てきまして。私自身に口頭で教える能力自体が求められなくなったのもありがたい効果でした。
とまあ、そんなこんなで説明下手でも誤魔化しながら生きていけるよ、という情けない結論ではあるんですが、今回のところはこれで締めたいと思います。
また書きます。
酒蒸
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