【詩】ピアニスト 〜フジコ・ヘミングさんを偲んで〜
リボンが好きな人でした
まるで少女のようでした
太い指でたたく鍵盤から
生まれる大人びた旋律
苦労したこと 別れたこと
笑ったこと 愛したこと
立ち昇るあなたの人生
背中を丸めて弾く姿は
明日 死んでもおかしくないほど
いつまでも弾いていたいと
いつまでも聴いていたいと
あなたは願い 私も願った
あなたのピアノを想うとき
私は心を揺さぶられ
泣きたくなるのです
あなたのピアノを想うとき
私は大切なものを守ろうと
心の奥で誓うのです
リボンが好きな人でした
少女のような人でした
どこからか聴こえてきます
あなたのピアノが
ずっと ずっと