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片づけを子どものうちに教わりたかった…。
この家はちっとも片付かない。
構成メンバー全員が片付け下手なのだから、当然と言えば当然だ。
夫は片付けないといけないという気持ちすら持ち合わせていない。
自ら片付けを始めたことは、ただの一度もない。
指示された片付けも、最大限先伸ばしにする。
先伸ばし続けて、なんとなくうやむやになるのを待つのがいつものやり口だ。
そして「モノを捨てる」という行為を極端に嫌う。
宅配便が届く。
中身を出す。
プチプチやビニールを段ボールに戻し、そのまま部屋の隅に置く。
自分でゴミの仕分けをして処分するのが、面倒くさいだけかもしれないと思われるかもしれない。
それもあるかもしれないが、それだけではない。
妻が捨てたものをゴミ箱から拾い出して「これ捨てるの?」といちいち聞くのだ。
妻とて苦渋の決断をしたのである。
まだ使えるものを処分するのは、エネルギーをとてつもなく使う。
わざわざ拾い出して再度決断を迫るなんて悪魔のようだ。
妻は片付けが苦手だ。
実際のところ、片付けの取りかかり方が分からない。
片付けや収納の本は山ほど読んできた。
いろいろなメソッドがあったが、一番気に入ったし実行できたのは「こんまり」だ。
こんまりさんの「ときめき残し」ルールは納得がいったし、やってみると難しいことは何もなかった。
こんまりさんの本を読んだ直後、妻は大きなごみ袋に20以上のときめかないモノを処分したのだ。
人生でこんなに頑張ったことがあるだろうか。
おかげで家の中に「10年以上放置されたままの段ボール」のようなものは一切ない。
しかし「ここ数年」のあいだに溜まったものが山を作り、なだれをおこす。
山を構成するのは本。
なだれをおこすのは服。
冷静にまわりを確かめてみると、家の中で落ち着き先が決まらずに片付けられないものはたいてい本か服だ。
それと乾物系の食品。
生鮮食品なら台所にしまうが、乾物やお茶・コーヒーなどは狭い台所にはしまいきれない。
その結果、廊下や部屋のちょっとしたスペースに仮置きされる。
料理の際には、家中歩き回って食材を集めるのだ。
あちこちで食材を拾ってきて、調理台まで移動して、料理をする。
なんだ、これは。
まるであつ森(ゲーム)じゃないか。
あつ森生活、実践してたのか!
それならば妻も(出来れば夫も)あつ森のリゾートで修行させていただくべきなのではなかろうか。
あつ森のリゾートでは、どうぶつたちの別荘を作る仕事を請け負う。
建物の外観、庭、そして建物の内部に至るまで、さまざまな家具を配置してステキな別荘を仕上げねばならない。
…これがまた、時間が溶けるほど楽しい…。
ともかく別荘作りで、部屋のサイズに見合ったインテリアを仕上げることが要求される。
そう。
箱(家のサイズ)は簡単には変えられない。
あつ森の別荘では箱のサイズを変更できてしまうが、それだって限界はある。
無尽蔵には広がらないのだ。
家が大きくなっても、収納がたくさんあっても、べつに片付かない。
妻は経験上そのことをよく知っている。
なんなら妻は収納の使い方も下手だ。
部屋にモノがあふれかえっているのに、押し入れの中は半分も入ってない…なんてことがざらにある。
スカスカの押し入れを背に、あふれかえるモノたちを眺め渡し、どこからどう手をつければいいか分からない…と嘆く。
千里の道も一歩から。
片付けも同じく、目の前の一山から。
理屈は分かるのだ。
身体が動かない。アタマが真っ白になる。
心はどこかあさってのほうに飛んでいく。
それが妻の最近である。
このような両親に育てられてきた息子。
当然、片付かない。
当たり前だ。
誰も片付け方を教えていない。
いや。
教えてあげたいのに、(知らないから)教えられないのだ。
勉強だったら(迷惑がられるけど)教えてあげられるのに。
知らないことは教えられない。
ものすごく単純な話ではある。
妻はしばしば息子に言う。
床にモノを置くな。
飲食物を部屋に持ち込むな。
飲食物は害虫対策であり、またカビ対策でもある。
床置きは、一度置き始めるとキリがなくなって、床がすべてモノで占領される。
息子は細かい仕分けの向かないタイプなので、妻が大きな洗濯かごを3つ与えた。
洗濯かごなのは別に深い意味はない。
ちょうどいい色カタチのかごを見つけたが「洗濯かごとして販売していた」というだけのことだ。
ひとつは学校のモノを入れるかご。
教科書もノートもリュックも部活の道具も、すべてこのかごだ。
かき回せば絶対入ってるはず…という安心感はナニモノにも替えがたい。
さらに塾のかご。
テキストやノート、プリントと塾専用と決めたリュック。
最後にその他のかご。
趣味でいろいろ書くためのノート。
今読んでる本。
最近ハマってるもの。
いずれのかごも乱雑に突っ込まれてはいるが、床に散らかるよりはよほど始末がいい。
掃除もかごだけ持ち上げれば済むから楽だ。
たぶんすごく重いけど。
息子に掃除機をかけさせて、見張っているだけの妻はべつに重くない。
この大きな洗濯かごを導入する前は、床がほとんど見えない部屋だった。
部屋全体が巨大なかごになっていて、まさにカオスだった。
毎朝、あれがない!これがない!とあちこちひっくり返しては遅刻ギリギリで走って出かけていった。
この手の人間は、いくら言っても前日までに用意を終わらせないので、ほとんど毎朝のように大捜索をしていた。
大きな洗濯かご。
これにざっくり分けるだけで、いろいろな意味でずいぶん楽になった。
諦めずに工夫することが大事である。
…と、ここで締めっぽいことを書いてうっかり終わりにしそうになったが、問題は息子の部屋ではなかった。
その他の部屋をどうするかである。
あふれかえるモノの構成要素が、本・服・乾物食品の三種類でほとんどを占めていると分かっただけでも一歩前進はしたと思う。
乾物食品は非常食を兼ねているので、そう簡単には量を減らせない。
しかし本・服は絶対に減らせる。
まずはそこから始めてみよう。
とりあえず、不要品を処分し始めるとチェックにやってくる夫を一週間くらいどこかに出張させたい。
無理だよな。
夫が外出してる時間を処分の時間にあてたらどうか。
これなら、夢中で作業し過ぎてくたびれ果てて夕食が作れなくなりコンビニ弁当になってしまうおそれもなくなる。
うん。
やってみよう!
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