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『おじいちゃん戦争のことを教えて』 作者: 中條高徳

著者は、アサヒビール元名誉顧問であり、以前『小が大に勝つ兵法の実践』の書評で、スーパードライを造った男と紹介した中條高徳氏である。

本書は、ニューヨークの高校に通っている孫娘から、或る依頼ごとの手紙が届くところから始まる。
その依頼とは、第二次世界大戦のことについて教えて欲しい、というものであった。アメリカ史の授業で戦争の体験をした人の話を聞き、発表するのだという。著者は、将校を目指した陸軍士官学校就学中に終戦を迎えているのだ。
自分たち以外の立場からの見方、考え方も知るべきだ、というアメリカの学校の方針に感銘を受けると同時に、戦後の歴史教育について思うところも多い著者は、孫娘の願いに応じることとした。
それから、二人の間での手紙のやり取りが重ねられていく。

日本が戦争をせざるを得ない状況に追い込まれた背景。
「太平洋戦争」などというものは存在しない。
戦後行われた東京裁判は、アメリカ一国で無理矢理押し進めたものであって、成立自体に根拠を持たない茶番である。
A級戦犯というものは、「事後法で人を裁く事は出来ない」という国際法を無視した不適法なものなのだ。
など、様々な調査を元にした著者の考えが述べられていく。

第二弾『おじいちゃん日本のことを教えて』や、著書の中で紹介されている『大東亜戦争の実相(瀬島 龍三 著)』なども読み、まったくの事実であるかどうかは別にしても、意外な詳述の連続に、歴史の授業で第二次世界大戦に割く割合が非常に少なかった理由を推し量らされた。
著者自身が言う様に、違う見方の人もいるかもしれないが、読み応えは十分、読むべき意義も十二分にあると思う。
単行本の初版は1998年12月。以後、ロングセラーとなっていることがその証左であろう。


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