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『ストーリーでつかむ! プロジェクトマネジメントの原則』 作者: 谷岡悟一

「最新のプロジェクトマネジメント手法を知りたい」
「担当しているプロジェクトマネジメントを成功させたい」
本書は、そんなプロジェクトマネジメントの初心者、中級者を対象として書いたと述べている著者は、これまでに100のプロジェクトを成功に導いてきた現役ITコンサルタントだ。
その著者が採用したのは小説という形式。そのストーリーは、或る過疎化が進んでいる島に住む、或る高校二年生の少年が、廃校の危機を、ひいては島の存続をも救おうと願い、何かを以て日本一を達成することで、島の外部からの注目を集め、その成果として人々の転入をも成そうと考えたところから始まる。
その目的の為に選んだのは主人公が通う高校の演劇部。全国大会で最優秀賞を獲るのが目標だ。
後先も考えず校長室に訪れて想いを直訴、活動の公認を得た主人公ではあったが、思えば昔から無謀とも思える様なことを言い出しては、成し遂げてはこれなかった。そんな主人公であったが、ITコンサルタントの職を辞し、たまたま島に出戻ってきた歳の離れた姉の忠告により、プロジェクトマネジメントの考え方を得て、これを実践していくことにした。
成功するプロジェクトにする為の準備や管理の方法はどの様なものがあるのか。
チームメンバーやステークホルダーなどの、プロジェクトに関わる人々に対してどう折衝を進めていくか。
等々、母校と島を救う一大プロジェクトを成功させる為に、高校生がプロジェクトマネジメントを学び、それに則って行動していくという内容になっており、プロジェクトマネジメントの世界標準であるPMBOKガイドとやらにも準拠している。
プロジェクトマネジメントに於ける原理原則の十二項目とは?
それとは別に、WOOP、プロジェクト憲章、要求一覧、要件定義書、成果物一覧などのツールが次々と語られ、また、主人公はそれらを自らのプロジェクトに当てはめていく。

段階的にプロジェクトを進めていく中で、落ち込み、悩む主人公ではあるが、その度に少しずつ学びを重ねて成長をしていく。
そして、最初は懐疑的であり否定的でもあったチームメンバーたちも、徐々にプロジェクトに前向きになっていくのであった。
主人公は、演劇部のメンバーと共に、見事に日本一の座を獲得出来るのか。

尚、後半は解説編となっており、全体の4分の1程の紙面を以て、小説の中では語られていなかったプロジェクトマネジメントの考え方について補うという、二段構えの構成となっている。
今回の小説で取り上げたプロジェクトは演劇であったが、建設業、製造業、ソフトウェア開発などを含む幅広い分野への適用についても理解がし易くなっているのである深まる様に配慮している。
読者も我が身に置き換えることが出来るだろう。


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