『センスは脳で磨かれる』 作者:加藤俊徳
著者は、脳内科医、医学博士にして株式会社「脳の学校」代表。脳番地トレーニングの提唱者である。本書でも脳に関する知識や、ビジネスへの転用についてなど書かれているが、大事なのは「センス」で、脳の感度をいかにして上げ、その「センス」を磨くことが出来るかということに注力して記述していることに興味を引かれる。
これまでは、学校教育でも社会に出てからも、言語を使った情報アウトプット機能の中枢として「左脳」の能力が重視されてきたが、これからは感覚や感性という情報インプット機能の中枢である「右脳」の能力が、より重要になると言う。「スキル」よりも、たくさんの選択肢の中から、自分で考え、選び取り、動く力、すなわち「センス」の重要度が増すと言うのだ。
「センス」の正体とは何か?
本書では、脳は役割によっていくつかの番地に分かれていると、まず脳の仕組みについて解説する。
そして、センスについても定義する。アウトプットこそが、いわゆるセンスの形であり、脳へのインプットを変えることで、アウトプットの質を高めていこうと説く。4つの「脳番地」を複合的に鍛えることでセンスを磨くことが可能だと言い、そして、具体的な脳番地の鍛え方へと話は向けられていく。
面白いのは、「センス」は日々意図的にブラッシュアップしていかないと鈍ってしまうということだ。これは老化ということだけではない。
新しいことを始めた時にはフル回転する脳も、覚えてしまえば最小限の労力で済まそうとする。脳は省エネのために「習慣化」が出来る様になっており、非常に合理的ではあるが、反面マンネリ化をもたらし、老化と退化を進ませる。
ラクになったのを良いことに、それに甘んじて新しい挑戦をしようとせず、仕事をルーティン化する「オジサン脳」の状態を招くとは、実に恐ろしいことだ。
「センス」というものは、「環境」と「自分の意識」によって学び、身につけていくものであり、ほぼ100%後天的に作り上げられるものだと言う。
自分次第で「センス」は育つ。「オジサン脳」にはなりたくないものだ。
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