見出し画像

『経営者が語る戦略教室』 作者:日本経済新聞社

本書は、自らの体験を基に、経営戦略の要点を語る日経新聞の連載をまとめたもので、22人の著名な経営者の記事が掲載されている。
それぞれ、業態も企業規模も社歴も異なるので内容も様々。参考になるものもあれば、そうでもないのがあるのも、読み手次第とも言える。

「業績回復に挑む」、「ITでニーズを掘る」、「新たな市場を拓く」、「グローバル展開に挑む」、「人材を育てる・生かす」、「「ものづくり」にこだわる」、「地方からのオンリーワン」と、七つの章に分けて、三社程度ずつ書かれており、また、各章の最後には大学教授の解説も付記されているので、興味のある章から読まれるのも良いかもしれない。

私にとって、気になった箇所のうちの幾つかを以下に記そう。

「客へのリサーチを基に新メニューは企画するな」
低カロリーメニューを求める声は多いが、実際に売れる商品は違う。

イノベーションとは常識を否定することから始まる。
「創造的破壊」。破壊が先で、後に創造が来る順番が大事だ。創造的破壊が新たな常識を生み出し、明確な需要として具体化していく。前例を捨てずに加えるだけの決断なら誰でもできる。
従来の枠組みを超えるサービスを打ち出せる会社が生き残る。そこで武器になるのは、専門性が裏打ちする知恵である。

一度知ってしまうと元に戻れない世界「不可逆性のある未来」。この不可逆性があれば、たとえ「いま」と「未来」の格差が大きくても埋めることが可能だ。逆に容易に実現できる未来を目指すと当事者の熱量が十分ではなく、失敗のリスクが高まる。

困難に見える分野への進出はだれもがためらうので、チャレンジャーには好都合だ。ビジネスにおける"土砂降り"はむしろチャンスなのである。

事実を積み上げ、推測される将来を、自分に都合が悪いからといって否定することはしない。熟慮の末に必要と判断したら、実現に多少の困難を伴っても迷わず実行する。
同じ場所にはとどまれない。何もやらないリスクは高い。

皆、実に挑戦的で魅力的に映る言葉たちである。
そして、経営学者であるピーター・ドラッカーは言うのだ。
「経営の根幹は、顧客創造」であると。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集