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ここ2年弱で読んだ本の振り返り

2022年には振り返りをしていたのに2023年はやってなかったみたいなので、2023年1月から2024年10月までに読んだ本の振り返りをしたいと思います。
どうしてこのタイミングかっていうと、最近そろそろまたいろいろと人生の転機が来そうで、何かと区切りがいいので。別に12月にならなければ振り返ってはいけないということもなかろう。

まず、2023年1月から2024年10月で読んだ本の総数は76冊でした。ちなみに2022年の1年間で読んだ数が29冊、まあ微増。ここ3カ月くらいは加速度的に読書していた気がするからそのせいかな。
ミステリが好きな私ですが、ここ最近はミステリの割合が減って、新書とかノンフィクションエッセイとかの割合が増えました。

ではその中から、おすすめを3冊。なお、あくまで私がこの2年弱で読んだというだけで、この間に発売された本とは限らないことを申し添えておきます。


汐見夏衛『真夜中の底で君を待つ』

家族や学校のクラスメイトといるより、アルバイト先が好きな17歳の女の子が主人公のお話。雑談が苦手な人、人間関係が難しいなと思っている人はけっこう共感できるお話なんじゃないかしら……。そして、そうではない人、コミュ力おばけみたいな人が読むと、「ああこういうふうに生きづらさを感じている人もいるんだなぁ」と勉強になってそれもそれでいいと思う。

女の子が出会う、物語のキーパーソンが、言葉をとても大事にしている人で、その人の台詞やだんだん明かされていく過去がすごくいいです。
私たちがなぜ言葉をもつのか、どうして人は本を読むのか、あるいは書くのかが、すとんと腑に落ちる素敵な小説。


市川沙央『ハンチバック』

第169回(2023年)芥川賞受賞作。私が説明するまでもなくいろんなすごい方が絶賛しております。

主人公は重度身体障害者。背骨が湾曲しているため、ベッドは左側からしか降りられない、右を見ようとしても首が回らない、左足はつま先しか床につかない、気道の痰は吸引カテーテルをつかわないと体外に出せない。
そういう人が、どうやって生きていて、何を考えているかって、たぶん知らない人、知らないまま一生を終える人が日本には少なくないと思う。私も今の仕事に就いて障害福祉に携わっていなかったら、知らなかっただろうなぁと思います。

著者も身体障害をお持ちの方なので、「日頃の恨みつらみで書いた」と思われてしまっているようなのですが(実際、授賞式では「怒りだけで書きました」とスピーチされたそうですが)、その後各所で為されたインタビュー等を読むと、本書が描かれるまでに様々な深い洞察があったことがわかります。

津久井やまゆり園事件や北新地ビル放火事件などの痛ましいニュースじゃなくて、こういう小説やエッセイなどもっと日常的な発信によって、障害を持って生きるということが世間に認知されていけばいいと切に思っています。


金間大介『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』

時代の移り変わりは早いので、ここで紹介されている特徴のある若者の世代幅もまた狭いのかもしれませんが、「今の若い子はいったい何を考えているのじゃ」と思っている人にはぜひ読んでほしい本。
なお、分厚くて無理……という方には新書で稲田豊史『映画を早送りで観る人たち』もおすすめ。

つくづく、「自分が子どものころはこうだった(こうしていた)から」という理由で年下の人に何か助言や指導をしても的外れなのかもしれない、と思わされる本でした。すごく勉強になった。


気になった本があればぜひお手にとってみてください!

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