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秘露(読めるかな)での日々③奇妙な共同生活

前回で私達の日本滞在中、義妹が入院することになった丁度一年前の出来事を辿りました。

日本からペルーに戻った私達は、初めての経験で大量に抱えた思い出と処理仕切れない情報が交差し半ば興奮醒めないでいました。しかし急に現実を突きつけられたというか、初めて入院先にロシオ(義妹)のお見舞いに行った時は胸が締め付けられました。日本ではもう馴染みがないナイチンゲール型病棟(広いスペースにベットが横並びの共同病棟。へぇえ。)に横たわって反応もあまりない状態。病室はシステムや技術、衛生面共にずさんなのが一目でわかります。看護師さんの机から一番近いところが緊急を要するデリケートな患者さん用ベットで、そこにロシオと足が切断されたおばあさんがいました。(ホント野戦病院。後、そのおばあさんも次に入ってきた若いお嬢さんも亡くなったと聞きました。)

何回もの受診と検査で、彼女の身体に何があったのかようやくわかってきたのは後の方です。ループスアンチコアグラントと呼ばれる自己免疫疾患の一つでした。血液の脂質異常で血栓ができやすく、田舎にいた時に2階の脳梗塞を起こしていたのです。更に合併症など諸々が重なり、足が壊死しかけていたり、精神も不安定。かなり危険な状態のように見えました。そんな病名や身体の状況など田舎ではどうにもできず、更に誤診もあり状況判断に時間がかかっていたのです。

脳梗塞は日本でも死因や要介護になる原因のポピュラーな病気だそうですが、早期発見が一番だと聞きます。・・が、ペルーの田舎で、緊急病院は?交通は??まして高齢のママが出来ることや分かることは限られていて、現在までに至る全介護・補助が必要な身体になってしまったのです。

それから、ロシオが無事に退院できてからアトリエの2階を使った共同生活が開始しました。退院数ヶ月後、田舎を任せていた統失症の弟も一人で生活を続けることが困難なため、(犬一匹、猫一匹おまけ付きで)やってきました。まず始め、病院通いに手こずり・・・

①アトリエはバリアフリーどころか、身体障害がなくても階段とかきついし謎の立て付け。というかバリアフリー概念なんてペルーにはない。・・ので、2階から私より重かったロシオをどう下ろし、戻るか。

②車いすが入るタクシーを探す。前回の通り、近所が葬儀屋界隈で駐車無法地帯、”歩行者優先・乗車マナー”なんてぺるーにはない。・・ので、アプリも嫌がり捕まらないし、流しのタクは車いすが入れない。故、病院まで倍以上時間がかかる。

③診察予約は長蛇の列にならび、書類もややこしい。ネット無し。医者も含め各部署が繋がっていないため一つづつの行程に時間がかかりすぎる。期間もある。ロシオの場合、合併症等かなり多くの科に通うことになるのでもはや意味不明カオス。予約してあっても時間通りではない。田舎からで診察記録のない、保険も切れている彼女のことをママがやるのは無理がある。

④ママのキャラクターと高齢な事もあって何でもやりたがるが、少しでもある事を任すと、できなかったり後々ややこしくなる。時間計算ができないのと、片付けたり整理したりできないので診察予約やお金、日常のあらゆる事の管理不足が起こる。

まだまだまだまだ・・・・・書き足りないが、これだけでも一回の診察に使う精神体力経済力が半端ないんです。予約時間が早朝の場合、朝6時起きで立ちっぱぶっ通しで5時帰宅とかも珍しくなかった・・・それをコロナ以前は週に数回の時期もあって、アトリエの仕事との両立もぎりぎり。できていませんでした。そして、これはごく一部”病院診察にいたるまでの問題”で、その他、検査、薬、リハビリ、介護、共同生活日常にいたっては問題がありすぎてnoteが進まなさすぎると思うので追々にします。

ひとまず、このような経緯でこの三人

 ●管理ができないママ(高齢なのもあるけどサンドロによると昔かららしい。。汗 少しだけ痴呆があるのではと思う時もあるのだけど・・)

●難病と2回の脳梗塞で概念運動失行、身体の不自由と高次脳機能障害、が残ったロシオ

●統合失調症で長い間の薬物治療と、前述の調子が悪かった二人と過ごしていたので(統失症は今でこそ少しずつ情報が出てきているものの、彼の幼少期のペルーしかも田舎での診断がどのようだったかは想定できる)物事の判断能力が弱く記憶にも少し障害がある義弟のマルティン。

それに日本人の私とサンドロが加わり、時間や記憶、身体や精神についての次元が変わるような<目まいするような<ツギハギでいて本質のような、そんな奇妙な共同生活を現在も続けているわけです。カオスです。

それでも、一つずつ一回一回、ああでもないこうでもないしながら自分たちのできることを変化させたり、お互いを補いながらの共同生活は得るものの可能性が大きいと感じています。


最後まで読んでいただきありがとうございました。







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