見出し画像

今日を歩こう。帰り道はあえて ナンバ 歩きをしてみる。

このnoteは、自由な創作活動を生み出すスタジオ、神奈川県横浜市天王町駅の高架下にある「PILE -A collaborative studio-」 で、創作を生み出す「心」を創る企画として毎月コラムを発行いたします。

担当はHIPHOP、コンテンポラリーダンサー・振付家として現役で活動しているasamicro(アサミクロ)

10歳の頃からHIPHOP ダンスを学び、キレのある動きと中毒性ある振付が特徴。コンセプトは「明日の朝を迎えるために」。朝を迎えるまでの心と身体の向き合い方を基盤に社会と自身の距離を見つめながら踊りを創作。PILE にて毎月「月曜日のNew なワタシ」コラムと月曜レッスンを担当。
https://www.asamicrodance.com/


 コラム4回目の発行となる今回は、【歩く】について少し、立ち止まって見つめてみようと思う。皆さんは1日の目標歩数などは決めているだろうか。一般的には1日8,000歩が、健康維持を考慮する上で効果的とされているが、毎日平均的に8,000歩を目指すことは簡単なものではないと感じる。ちなみに私asamicroは1日の歩数について、昨年より意識的に数字をカウントするようになったため、現在は7,000〜13,000歩、平均的にはちょうど8,000歩という数字が現れはじめた。ダイエットも歩数もやはり日々の数字を見つめるだけで多少の変化は確実に見えてくる。

1月20日星天qlayフェス asamicroパフォーマンスより(撮影:PILEスタッフ)

 なぜ今回【歩く】を題材にしたかと言うと、昨年私が主宰をしているダンスカンパニーegglife(エッグライフ)の公演「海におはぎを投げる日」を上演したい際に、"地面に足をつける” “靴への執着”といったキーワードが演者間の中でのみ共有されていた。

egglife「海におはぎを投げる日」記録より(撮影:前谷開)

この作品はasamicroの祖母の人生の実話をもとに創られた作品であったが、戦後まもない時代を過ごした祖母にとって、貧困家庭では “靴を持つ”ことすらも困難な状況だった。靴が買えず下駄で過ごしていた祖母にとって、このダンス作品のテーマである【欲望】の始まりは“あの子のように靴が欲しい”だった。その欲望を表現するために組み込まれた一瞬のシーンのために下駄での歩き方や、姿勢、重心の掛け方などを演者間で見つめ【歩み腰】と言う歩き方を練習した。

 「歩み腰」とは、少し前傾姿勢になり、膝と骨盤、肩の位置を安定させてすり足で1本のライン(男性的な所作としては、2本のライン)の上を進むものとされていた。よりすり足を効果的にするために少し足の親指を浮かし、足裏を平行に前へ押し出す等、なるべく上下の振動が無いように歩く稽古を繰り返していた。

 よく私の振付では「ナンバ」が登場している。ナンバとは右手と右足、左手と左足をそれぞれ同時に出す動きである。振り付けの効果としては日常の動きと比べて違和感を表現できるところにあるが、この動きは江戸時代以前の日本では通常であったとされている。武士にとっては現在の洋式歩行では日本刀が邪魔になったり、着物が緩むといった弊害があった。また、農作業時には斧を下ろす際にナンバの動きで構えた方が怪我をしにくかったこと、混雑した町をなるべくスペースを取らずに素早く移動できたことなどの理由もあり、一般的な歩き方であったとされている。日本の竹馬はいい例である。今日の帰り道、あえてナンバ歩きをしてみるのも、面白いかもしれない。

【歩く】について、もう一つ興味深く、今回のコラムの題材にしたいと思ったキッカケがあった。皆さんは過伸展という症状を知っているだろうか?
過伸展とは簡単にいうと、肘や膝などの関節の屈伸運動の際に通常の稼働範囲を超えて伸ばしすぎている状態のこと。

 ある日、夫から「歩こう」と言われ、目的地を聞くと31キロ先だった。そしてGoogleマップによると徒歩7時間以上かかる場所だった。当然無理だと答えたが、リサーチが仕事でもある現代美術家の夫にとって歩きながらの制作は重要であり、「大丈夫だよ」と言われ、共に家を出た。結果的に13キロの場所で私はギブアップをした。そして夕方になり、寒さも増したので一休みをして引き返した。翌朝のことである。膝がとても痛く、踊るどころではなかった。歩くのも辛い状態だった。調べると”過伸展”の可能性が極めて高かった。私は勝手な適正フォームを意識しすぎて踵からつま先へ、と常に意識するあまり、膝の屈伸運動をあまり使わずに、伸ばした状態で着地し歩き続けていた。

PILE企画イベントP4Cの展覧会準備風景、この時は過伸展真っ最中だった、、、

 昔からよく“asamicroは歩き方が独特だ”友人からも”偉そうに歩くね”といじられることが多かったが、個性だと思い治さずにいたが、痛みを感じて改めて歩き方を見直そうと思っている。。海外に行くと日本人は歩き方ですぐわかるなどとよく聞くが、あなたの歩き方はどんな個性を持っているだろうか?

 痛みを生じるようなら改善した方が良いが、人それぞれの身体の形の歩行は実に魅力があり、私は人柄を表すひとつの動きと捉え、とても面白いと感じている。ぜひ、自分の歩く姿を振り付けする気持で観察してみてはいかがだろうか。

とは言え、外で食べるお弁は本当に美味しいですよね。もう少し頑張ったら春!
もう一度歩いてみようかな。

asamicro


PILE -A collaborative studio-とは


PILEは、「新たな創造のための、自由な協働空間」をコンセプトに生まれた、クリエイター向けのコワーキングスペースです。デザイナー、アーティスト、ホビークリエイターなど、様々な職種や背景を持つ方々が空間を共有しながら、自由に制作仕事や創造的な活動を行うことができます。


asamicro 想像する" 心" を一緒に創るプログラム

asamicro 月曜朝の大人もこどももダンスレッスン!セロトニン分泌を促そう!
詳細は こちら 
2 月5 日、19日(月)(毎月第1、3月曜)
10:30-11:15 ダンスレッスン ※Peatix より事前予約制、当日飛び込み参加も可能
2月5日(月)分のPeatix予約
2月19日(月)分のPeatix予約


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?