「内面と外面について」横光利一
「笑はれた子」は最初發表したとき、「面」と云ふ題にした。確か書いたのは二十か二十一の頃だつたやうに記憶してゐる。 私の父の弟(私の叔父)のことを書いたものであるが、かう云ふ話に興味を持つたその頃の自分を振り返つてみると、ちょつとませてゐて不快である。しかし、私は此の作を恐らく五回ほど書き直してやつと仕上げた。 最後の所にひつかかつて、一年ほどほつておいた。 一年ほど過ぎてまたとり出して最後の所を讀むと、またそこが不快になつて書き直した。だから、年月で計算すると、此の十枚足ら