ぬか漬けの夏 7月25日(火)
好物のぬか漬を何年かぶりに作った。
これまでたびたびだめにしてしまったこともあって、「今年こそやってみよう」と思いつつ、なかなか一歩が踏み出せなかったこの数年間。
ぬか漬けごときで、と思うかもしれないけれど、ぬか漬け失敗のダメージは大きい。うっかり1日混ぜるの忘れただけなのに、これまでのすべてが水の泡になる。あのかなしきセメダイン臭(←失敗したときの匂い)は絶望の香り。
しかし今年はきゅうりの苗を植えた。しかも10本!これはもう、ぬか漬けやるしかないでしょう。ぬか漬けが私を呼んでいる。きゅうり豊作の前に、とにかくぬか床をつくらねば!とおおいに気分が盛り上がった。
念のため、ネットで「ぬか漬け 作り方」と検索。わが家で信頼度の高い「白ごはん.com」を参考にまじめに予習。、
ふむふむ、なるほど。必要なのは米ぬかと塩、そして水。つまりはこれらを混ぜればいいだけなんだけど、見落としがちな点などが懇切丁寧に書いてあって心強い。
お次は材料入手。
近所にコイン精米所があるので、精米がてらぬかを入手。
ぬか床は、ゼロから作りはじめると2週間ほどかかるけれど、「完成ぬか床」をすこし混ぜるともっと早くできるので、ぬか漬けエキスパートの友人にぬか床をすこし分けてもらう。
塩はぬかに対して13%、最初は捨て漬け、一日2回よくまぜる、容器のふちはよく拭くこと。朝晩念入りにお世話した甲斐があって、1週間で食べられる感じになってきた。やったー!
ちょうどきゅうりも採れはじめたので、1日2回、朝晩せっせとぬか漬けを作っている。
作り方はシンプルなぬか漬けだが、長期保存が難しいので、実は「買えない漬物」のような気がしている。日曜市とかで「昨日漬け込みました」みたいなのを売っているのは見たことがあるけど、スーパーにはあるのかな?
これまでなんで失敗したのか?とあらためて考えてみたら、ただ余裕がなかったんだ、と思い至った。
高知への移住当初は、末っ子は0歳、古民家の改修、自営への道のり…時間も、体力も、経済も、気持ちも、どの余裕もぜんぜんなかった。
そのときわたしの手のひらにあったのは、これからの暮らしに向けた「なんとかなる」という楽観的な希望だけ。もちろんそれだけではぬか漬けはうまくいかない。
この数年で、子供たちも成長したり、巣立ったりして、以前と比べて格段に余裕ができたなあ、と思う(その割にはバタバタしていて、ほんとの余裕はまだまだないけどそれはともかく)。
暮らしは変化する。
忙しいときも、そうでないときも、それぞれに必然があるし、そのときにしかできないことだってある。余裕のない中でも楽しいこともたくさんあったし、全部があれでよかったと思う(というかそれ以外ありえない…)。しかし振り返ってみて、やっぱりたいへんだったなあ、と思う。
今のところ順調なぬか床をかきまぜながら、そんなことを考えた夏の朝。
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