身体の動きを学んでみる;1〜関節の動く範囲(3)
身体が硬くなる理由は何でしょう?
結論を先に言ってしまえば、身体を動かさないand/or身体を動かす範囲が限られている、です。
身体を動かさないことは、多くの人にとって現実的にはあまり無いことだと思います。寝ている時でさえ身体は動いていますから。
でも、何かの病気などで安静を強いられる場合などはどうしても動く範囲が限られてきます。
身体を動かす範囲が限られるのはそれ以外にも、普段の動きや仕事の作業などが、決まり切ったものになってしまっている場合です。
動きが定型化してしまうんですね。
これらの場合、関節の動きがある一定範囲に限られてしまうので、それ以上動く余地が段々と減っていきます。
これが関節可動域の制限として現れてくるという仕組みです。仕組みというほど練って考えたものでは無いのですが、必然的にそうなるということです。
じゃぁ動けばいいんだね、となりそうですがそう簡単にはいきません。なぜなら、多くの作業が定型化を前提としているからです。
どういうことでしょうか?
ヒトは進化の過程で、直立二足歩行を獲得し、両手を様々な作業に使えるようになりました。
手の作業はそのほとんどが身体の前で行われます。どうしても身体の前側に物などを置いたりします。
例えば、多くの作業は物を積み上げたり、身体の前で手を使ったり(工場での作業や机の前でのパソコン作業など)の連続です。
身体の後ろで行う作業は、後ろで紐を縛ったりすることに限られます。ですからどうしても身体を前に倒す、あるいは座ったままの作業姿勢が多くなります。
後ろに反り返ることなど普段の私たちはあまり行いませんよね。そうすると、必然的に身体の前側の組織が縮まりやすくなるでしょう。
でもハムストリングスは身体の後ろ側ですよ、ここが硬い人って多いですよ?という疑問が浮かびます。
でもハムストリングスは骨盤に付いており、身体を前に丸めると骨盤は後ろに傾きます。骨盤が後ろに傾くとハムストリングスにとっては縮む方向になります。だからハムストリングスは縮みやすくなるわけです。
では、どうしたら良いのでしょうか?
定型化した姿勢や動きとは逆の方向への動きを、どこかで意識的に取り入れる必要があります。
よく、長く座った後に伸びをする動作を無意識にする場合がありますよね。あれです。無意識に行なっているのは正しい反応なのですが、それはよっぽどのことによる身体のサインだと思ってください。それだけではきっと足りないんだと思います。
身体が少しは反り返ってくれよ〜と言っていると思いましょう。無意識に行なっているだけでは足りない部分を、さらに意識的に行うようにすることで、定型化した姿勢や動きの修正を図りましょう。
まずは、普段自分が行なっている姿勢や動きを振り返ってみることが大事です。決まり切った姿勢になっていないかな?いつもこの動きばかりしているのでは?と身体に聞いてみることをお勧めします。
そして、その反対側の姿勢を保ったり、普段と反対の動きをしてみること。これ自体が姿勢修正練習、ストレッチに繋がります。
ここまで他動的な関節可動域に関するお話をしてきました。もう少しこれを補足的に考えていきたいと思います。
それは、他動という力の源泉(大元)は何か?です。その上で、自動可動域/運動について考えていきます。
これには、筋肉の収縮が絡んできます。(つづく)