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第19章 親としての覚悟が問われる時代〜中学受験を支える本当のサポート

「わが子に中学受験は向いていないのでは…」 「模試の結果を見るたびに不安で胸が締め付けられる」


こんな悩みを抱える親御さんが、近年急増しています。


中学受験は、もはや一握りの優秀な子どものためのものではありません。公立中学校の学習環境への不安や、将来を見据えた進路選択として、いわゆる学力「中間層」の家庭でも当たり前の選択肢となっているのです。


しかし、その道のりには様々な課題が立ちはだかります。

  • 親自身が中学受験未経験で、どうサポートしてよいかわからない

  • コロナ禍の影響で基礎学力の定着が不安

  • 発達途上の子どもの学習意欲を持続させることの難しさ


こうした状況の中、お子様の本来の可能性を最大限に引き出すために、親として何ができるのでしょうか?

本章では、中学受験に不安を感じる親御さんに向けて、効果的なサポート方法と必要な心構えを、具体的な事例とともにお伝えしていきます。あなたとお子様の受験を成功に導く本当の「親力」とは。



1.「ちょっと勉強すれば成績が上がる」落とし穴

「あと少し頑張れば…」。中学受験を控えた親子の多くが、この言葉の罠に陥ります。特に、ご自身が勉強と真剣に向き合った経験の少ない親御さんほど、わが子の成績向上を「一時の頑張り」で解決できると考えがちです。

しかし、この「ちょっと勉強すれば」という考えこそが、最大の落とし穴なのです。なぜなら、本物の学力は、基礎の理解から応用力の獲得、そして実践力の向上まで、段階的な積み重ねによってのみ身につくからです。

例えば、計算は得意でも文章題で躓く子がいます。その原因の多くは、計算の暗記に頼りすぎて、問題の本質的な理解が追いついていないことにあります。


こうした「見かけの得意」は、より難しい問題に直面したとき、もろくも崩れ去ってしまいます。


成績が思うように伸びないとき、むしろ必要なのは立ち止まる勇気です。「今、何ができるようになったのか」「どこでつまずいているのか」。焦りを抑え、冷静に現状を見極めることが、確かな成長への第一歩となるのです。


勉強は、step by step です。
コスパ、タイパばかりに目が行かないようにしましょう。


2.数値に振り回されない「定点観測」と「定量分析」

「前回の模試より5点下がった…」「隣の子の方が偏差値が高い…」。中学受験の道のりで、こうした数値の比較に一喜一憂する親御さんは少なくありません。しかし、本当に大切なのは、わが子の成長を正しく見守る「眼」を持つことです。

そのカギとなるのが、「定点観測」と「定量分析」という2つのアプローチです。

①定点観測

わが子の成長の軌跡を長期的に見守る視点です。

例えば…「9月には読めなかった長文が12月には時間内に解けるようになった」「計算ミスが月に10回から3回に減った」といった具体的な変化を記録していきます。これは、日々の努力を可視化し、子どもの自信にもつながります。


②定量分析

テストの結果を冷静に紐解きます。単なる点数の増減ではなく、「文章題の得点率が50%から70%に上昇」「図形問題で時間不足が改善」など、具体的な強みと弱みを把握。これにより、効果的な学習戦略を立てることができます。

重要なのは、これら2つの視点を併用すること。数値だけを追いかけるのではなく、わが子の成長のストーリーを描きながら、具体的な改善につなげていく。それこそが、中学受験を成功に導く親の「まなざし」なのです。


3.志望校選びの新しい考え方

「偏差値の高い学校に入れば安心」。多くの親御さんが、この思い込みから抜け出せないでいます。しかし、本当の学校選びで大切なのは、偏差値という単一の物差しではありません。


むしろ注目すべきは、「わが子らしさ」と「学校の特色」との相性です。例えば、質問が大好きな活発な子には、対話型の授業を重視する学校が向いているかもしれません。


反対に、じっくり考えることが得意な子には、レベル別や個別学習の時間が充実した環境が適しているでしょう。


また、家庭の価値観との調和も重要な要素です。


「グローバル教育」や「STEAM教育」、「探究学習」といった魅力的な言葉に惹かれがちですが、実際には、その学校が提供する具体的な教育内容(例:英語での授業時間、プログラミング教室、課題解決型の学習プログラム、異文化交流の機会、留学プログラムなど)が、お子様の学習スタイルや家族の教育方針に合っているかどうかを慎重に見極める必要があります。


表面的な教育用語にとらわれすぎず、実際の授業や活動の様子を見学したり、在校生の声を聞いたりすることで、本当の学校の特徴を理解することができます。



理想的な志望校選び

  • わが子の得意分野と学習スタイル

  • 学校独自の教育方針と環境

  • 家族で共有する将来のビジョン

偏差値という数字の向こうに、わが子の6年間の学びの舞台があります。その選択が、かけがえのない成長の時間をより豊かなものにするのです。


より詳しい志望校選びに関してはこちらへ


4.親としてできる具体的なサポート 

「親として、もっと勉強を教えてあげなければ…」。多くの親御さんが抱くこの思いは、実は中学受験の本質を見誤っているかもしれません。

では、本当に必要な親のサポートとは何でしょうか


まず重要なのは、「プロに任せるべきことは任せる」という割り切りです。教科指導は塾や家庭教師のプロフェッショナルに任せ、親は「わが子の伴走者」としての役割に徹することです。


例えば、「今日の算数、難しかったけど最後まで考えられたね」 「間違えた問題をノートに整理するなんて、すごく大切なことだよ」こんな声かけから始めてみてはいかがでしょうか。


このように、結果ではなく努力のプロセスに目を向けた言葉は、子どもの学習意欲を支える強力な味方となります。 

また、生活環境の整備も重要な親の仕事です。

静かな学習スペース、規則正しい生活リズム、栄養バランスの取れた食事。これらは、子どもが集中して学習に向き合うための必須条件。

親の仕事

これこそが、一番大切で必須なものだと私が20年間言い続けているものです。


5.まとめ 中学受験で得られるもの

実は、中学受験には隠れた贈り物があります。それは、お子様が身につける「計画力」「努力を継続する力」「困難に立ち向かう勇気」。そして、親子で共に成長できる貴重な機会でもあるのです。

「わが子はまだまだ伸びる」


この言葉を胸に、子どもの可能性を信じ続ける。それこそが、中学受験を通じて親が示すべき最大の「覚悟」なのかもしれません




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