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森見登美彦先生

僕の趣味の一つに、読書があります。

読書といっても、常になにか崇高な想いのために勉強しているわけでも、人生において重要な要素の多くを本から得ているわけでもありません、、、。

なんとなく厚みのある書籍を読み切った満足感だったり、活字に触れているという満足感だったり、要するにただの自己満足でしかない読書が好きなのです。

極端に言えば、「読んだ」よりも、「読んだ感」です。笑

そんな情けない読書を齢30を超えて継続している小生にも、思い出に残っていたり、人生に役立っている(と思っている)本が多少なりともあるわけでして、そんな数冊を少しづつ読者の皆様に共有できたらなと思っています。



僕と本との出会いはかなり遅く、大学2年生の秋頃だったと記憶しています。
それ以前の僕は大の活字嫌いで、人生において読破した本など片手で数えるほどもなかったように思います。
宿題の読書感想文ですら、序盤だけを読んだうえで適当なことを書いていました。笑

大学生活が落ち着いてきた頃に、ふと、「父はよく小説を読んでいたなぁ」と思い立って、LINEでおすすめの本を聞いたことがきっかけで、"本を読む"沼にハマっていったのです。

この時父に教えてもらったのは、宮本輝先生が執筆した、「優駿」という競走馬をテーマとした小説でした。
この作品の感想やおすすめポイントは別の記事にてまたいつか、、、。

これをきっかけに「小説を読む」という行為にドハマりしたのですが、不思議と優駿以外の宮本輝先生の作品はイマイチ刺さらず、徐々に他の作家さんの小説を読む機会が増えていきました。

今思えば、当然のごとく作品の内容はどれも申し分なく楽しめるものだったと思うのですが、執筆された時代と僕自身が生きてきた時代との様々なギャップ(文化や言語など)がマッチしなかったのかもしれないなぁ、と思い返しています。少しだけ大人になった今、読み返せば違った魅力に気づくかもしれません。


そんな「小説読み漁り時代」に出会い、いまだに敬愛している作家様が、タイトルにも登場した"森見登美彦先生"です。

結論から申し上げるに、僕が冒頭で述べた「読んだ感」という演出を読者に感じさせることにおいて、森見登美彦先生の作品の右に出るものはない!!ということです。(これが先生にとって失礼に当たる発言であれば、心より謝罪させていただきます。笑 僕は先生の大ファンです!)

森見先生の作品の中で有名なのは、「四畳半神話大系」、「夜は短し歩けよ乙女」などがあげられるでしょうか。皆様も聞いたことがあると思います。

この先、読んだことがある人に講釈を垂れるほどのものはありませんので、既読である方は冷ややかな目で読んでください。笑

もし、この記事を読んでくれた方の中に、森見先生の作品を読んだことがない方がいたら、どの作品でも遜色なく素晴らしいものですので、タイトルでも、表紙の絵でも、きっかけは何でも良いので読んでみてください。


僕が思う森見先生の作品に共通する魅力は以下の4つです。これを意識して読んでみると、先生の魅力にハマる確率がグンと上がると思います。

①言葉、表現

森見先生の紡ぐ文章には、たとえ作者が明らかでなくとも森見先生のものだとわかるほどに特徴があります。
言葉選びや、状況の表現が独特であり、その言葉遊びがクセになって抜けられなくなりました。
特に、古典的な言葉と現代的な言い回しのコラボレーションが頻出し、聞きなじみのない単語が、聞きなじんだ語感に内包されている感覚が心地よいのかなと考察しています。

②舞台

森見先生の描く物語の舞台の多くは、京都です。間違いなく京都なのですが、でも京都じゃないんです。笑
一見京都に見えるその街は、あくまで森見先生の頭の中の「京都」であり、現実世界に実在する「京都」ではないのです。
この絶妙な現実と作品とのギャップがむず痒く、頭の中から離れません。

③ポジティブシンキング

僕が認識している限り、森見先生の作品において、ネガティブ思考の主人公(または作中における重要人物)はいません。

小説である以上、当然多くの事件や困難が襲い掛かるわけなのですが、どの作品においても当事者がどこかあっけらかんとしていて、明るいのです。
この思考パターンがさくさくと読みやすい一因であり、さらには読者に対して活力や勇気?的ななにかを与えているのではないかなぁと思います。

理解できたのか、、、?

僕が思う、森見先生の作品の神髄はここにあります。

あなたがなにか一冊、森見先生の作品を読んだとします。
読み終えた時、(時空やら空間やら、様々な要素がぐちゃぐちゃになる作品が多いのですが、)その作品をきちんと理解したという心地よさとともに読み終えられるはずです。

では、これを正しく他人に説明できるか?と言われると、どの作品においてもイマイチ自信がないのです。
単純に僕自身の読解力の低さ故、という説も否定はしませんが、きっと多くの森見登美彦ファンはこの感覚に納得してくれるのではないでしょうか

この、「わかったようでわからない」という感覚が、「もう一度読みたい」、「ほかの作品も読みたい」という読書欲に繋がるのではないかなぁと思っています。

これこそが、僕の求める「読んだ感」なのではなかろうかと勝手に結論付けています。笑
異論も広く認めます。



以上、学生時代に僕が初めてハマった小説家、森見登美彦先生を勝手ながら紹介させていただきました。

これをきっかけに森見先生の作品に興味を持ってくれた人がいれば最高ですし、過去に読んだことのある人が、もう一度と思ってもらえても大変うれしいです。

個々の作品についての感想やおすすめポイントについてもいつか紹介できれば幸いです。

ではまた。

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