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「おっさんだって恋はした~ダメな恋だったけど~3」
確実に思い出せなくなっている美香との日々をどうにか残しておきたい。そんな思いがここ数年で思うようになった。都合の良い解釈と思われることは十分承知している。それでもそれでも美香は私が一番「愛した人」不倫っていう環境でないならそうなってなかったのかもしれない。
でも一番「愛した人」というのは変わらない。
美香と初めて関係を持った夜。自宅に帰った私は自分の言動に違和感がないか、かなり気を使ったのを覚えている。言葉選びはいつもと同じように出来ているか、いつもと同じ行動パターンでできているか、どこかでバレてしまわないか緊張していた。その緊張すら伝わってはいけないと思っていた。
そして美香と連絡はしなかった。あえてしなかったが本当はしたくてしたくて仕方なかった。
翌日、美香は早番で16時まで、私は遅番で12時からの仕事だ。業務時間がかぶっているのは4時間しかないが、休憩時間などうぃ省くと2時間だけ勤務時間がかぶることになる。でもこの2時間は私にとって嬉しい時間だった。
直接話すことはあまり無かった。しかしアイコンタクトでお互いにコミュニケーションをとっていた。正直アイコンタクトにいちいち喜んでいたのは中学生か高校生の時以来のように思う。
でも、美香と目が合う度に気持ちが舞い上がった。美香はいつも笑顔で目を合わせてくれた。目に感情を込めるのがとてもうまい。これは私の思い違いかもしれないが、美香のその時の気持ちを私は確実に感じることができた。
そうしているうちに美香の勤務時間が終わった。職場だからあまり目立った行動はできない。私はアイコンタクトでも自分の気持ちが満たされ、高揚しているのがわかった。
上機嫌で倉庫に荷物を取りに行った。倉庫には誰もいなかったので、小躍りしていた。それほど美香との時間が楽しいと感じていた。誰も見ていないからといってあまり調子の良い事はしていられない。自分の気持ちを正すために頬を2回ほど平手打ちして気持ちを入れ替えた。
「よし、集中!」私は自分のそう言い聞かせた。
すると後ろから「浅広さん」と声がした。
後ろを振り返った瞬間・・・。
美香がキスをしてきた。
私「え?どうしてここに?」
美香「帰ろうと思ったんだけど。ここに入ったのが見えたので。どうしても我慢できなくて来ちゃいました。」
私「そっか我慢できなかったんだ・・・ってキスはびっくりしたよ!」
美香「誰もいなかったし、キスしたくて。ダメだった?」
私「ダメじゃないけど」
この時、ハマっていく、抜け出せなくなる・・・。そう思った。
美香の手の上で転がされていると思ったけど、それでも良いと思っていた。
実は初めて美香と会ったときの印象は良いものではなかった。私たちの職場は早番と遅番の交代制。私は遅番を主にしている中堅の従業員。そして美香は約半年前に入社してきて、早番を主にする従業員だ。接点はほぼない、業務上会話することがあっても引継ぎのための会話くらいしか話さない。
そんな接点がない早番従業員と遅番従業員。初めましての挨拶だけはする。その挨拶の時に私は美香にガッツリ冷たくあしらわれた。挨拶が終わり、他の同僚たちが見ている中で少しでも盛り上がって話題になればと思って話しかけた。
私「これからよろしくお願いします。これから何かあったときに連絡が取れるように番号交換しませんか?」
同僚「女の子に番号聞いたらダメだよ!」というツッコミを狙っていた
が!同僚のツッコミが入る前に間髪入れずに
美香「結構です!!」
その場に居た全員が凍り付くほど冷静に冷たく断られた。その時から私は美香とは同僚としてでも仲良くなれないと思い早番と遅番で違うことに安心した。
そんな最悪な初対面をしている2人だが、今は誰よりも深い関係になろうとしている。このことは同僚の誰も知らない。私と美香以外に知る人がいない。2人だけの秘密を持つことの快感を堪能し始めている。
倉庫で美香とあったのはほんの1~2分程
美香「それじゃ私は帰りますね。この後の仕事頑張って。」
そう言って帰ろうとする美香の腕を引き寄せて、キスをした。
私「ごめんね。どうしてももう一度したくて。」
思わずお互いに微笑んでしまった。
私「気を付けて帰るんだよ。」
美香が倉庫を出て少し時間をおいてから私も倉庫を出た。
昨日初めて関係を持った2人、お互いの寂しさを埋め合わせるだけの関係にすると、そう思ったはずなのに昨日の今日ですでに寂しさを埋め合わせるだけでは足りなくなってしまっている。
美香のことをもっと知りたい、もっと感じたい。そんな感情がすでに芽生えている。でもそれは我慢することにした。恐らくその気持ちは美香にとっては不必要な私の身勝手な感情のような気がしたから。
ただ、自分でも想像以上に美香の存在が私の中で大きくなっているのは気付いていた。どうなってしまうか怖かったが楽しみと思う気持ちの方がこの時はまだ大きかった。
今回はここまで続きは次回
次回は「ひとりでは抱えることが難しくなってきたおっさんの状況」です。
駄文長文おつきあいありがとうございますm(_ _)m
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