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【米袋トリビア③】あなたの知らない米袋の話


皆さんこんにちは、
アサヒパック広報の小林です!

こちらの記事では米袋に関する「トリビア」をご紹介しています。

※前のお話はこちら


⑫その「カラフルな横棒」のなぞ


皆さんはお米の袋のデザインをまじまじと眺めたことってありますか、
ありますよね??

ね??(二回目)

そうすると、「光電管マーク」に続いてこっちも気になっちゃいますよね!

袋の下の方によく見かける、この「カラフルなヤツ」…


これは「カラーコントロールマーク」と呼ばれるものです。
「カラコンマーク」とも略されます。

後述しますが、こういったパッケージの印刷には「はん」が必要で、その位置合わせなどに使っている部分なんです。概ね使用している版の数だけ、このマークも付いています。

近くにこんなのもあったり


その近くに見つかることの多い「+」のしるしは「トンボマーク」、または単に「トンボ」と呼ばれる部分。

熱シールや裁断(カット)をする際の位置合わせに使っています。

米袋の場合は、製造過程でカットされて無くなっていることもありますが、
袋の一番下の端っこなどに、こっそりひっそり付いていたりしますので、
ぜひ気にかけてあげてください!

⑬印刷には「版」が必要


先述のとおり、米袋をはじめパッケージ印刷には専用の「版」が必要です。

印刷方式の数だけ、版の種類もさまざまなのですが、今回は米袋で多く採用されている印刷版を少しだけご紹介します。


まずはこちら!
「グラビア印刷」という方式で使用している版になります。

【グラビア印刷用の版】
鉄やアルミなど、金属で作られたベースシリンダーにメッキ加工を施し、
その表面を削ることで印刷版として仕上げる。


この大きな印刷版を”必要な色の数だけ”準備します。

例えば、
「写真が入ったデザインのポリポリという材質の袋」を製作する場合、
色の三原色である「シアンマゼンタイエロー」と「」、それにフィルムが透明であるため「」と、全部で5色分の印刷版が必要になります。
(各色を掛け合わせる形でカラーを表現する)

加えて、表面の「マット加工」などもこの版を使用して行うため、追加する場合は6色扱いで製作をします。

また、指定色があるキャラクターなどを印刷する場合は、この「掛け合わせ」だと狙った色が出ない可能性があるので、それ専用の版を準備する必要があったり…などなど。なかなかに難しく、ややこしかったりします。

とりあえず、パッケージ印刷ってのは「実は結構大変だ」ってことだけでも伝われば嬉しいです(泣)。

【フレキソ印刷用の版】
これをマグネットなどを使用して金属製の「芯」に張り付けて使用する
出っ張った部分にインクを付着させる「凸版印刷」の一種
【シルクスクリーン印刷用の版】
薄くなっている部分からインクを落としていくイメージ


こちらは「フレキソ印刷」と「シルクスクリーン印刷」という、先述の「グラビア」よりも少々簡易的な方式用の版です。弊社では、「柄が入った袋にお米の銘柄や事業者名を後から印刷」してお届けする”セミオーダー方式”のサービスに使用しています。

なお、最近では「版」を必要としないパッケージ用の印刷機械が登場し始めました(インクジェットプリンターと似た方法)。今後は米袋業界でも少しずつ普及していきそうです。

⑭インクはどこに?


ここまで「印刷」や、それに必要な「版」のお話をしてきましたが、
その印刷って、米袋の一体”どこ”にされているか、ご存じでしょうか?

もう少し言い方を変えます。
インクがどこにあるか、お分かりになりますでしょうか??

そんなの、袋の表面でしょ?
内側じゃあお米に触れてしまうし…。

ありがとうございます!
もちろん、表に印刷されているものもあります!
が、そうじゃないものもあります!!

試しに、購入された米袋表面を、ネイル除去用の除光液とティッシュペーパーで軽く拭ってみてください。

黒のインクが溶け出して、金色のインクは溶け出さない


このようにインクが溶け出して拭き取れるものと、拭き取れないものがあるはずです。何なら、そのお手元の米袋の中でも写真のように「取れるインク」と「取れないインク」があったりすると思います。

一体どういうことでしょうか?

実は印刷が袋の内部に施されている米袋が存在します。

ポリポリ断面図


これは「ラミネート」と呼ばれる加工で、簡単に言えば、素材と素材を貼り合わせる、というもの。これは、機能性の付与や印刷面の保護、強度向上などのためにパッケージ全般で用いられる技術です。

上記の図は「ポリエチレン×ポリエチレン」であるポリポリの断面図。
ご覧のとおり、印刷はそのちょうど内側に施されていて、だから、表面を除光液で拭っても金色の印刷は取れなかったんですね。(黒のインクは表面に後から施された印刷だったために溶け出した)

ちなみに、米袋でも表面が紙っぽい素材のものは「除光液で拭って~」の話は対象外です!恐らく紙素材部分にインクが浸み込んでいますので…。

こんな感じの表面が和紙の米袋は対象外

⑮デザインは伝統的、でも素材は最新


第一話「デザイン」のお話のところで、弊社のカタログをちらっとご覧いただきました。参考までに他のページも少しお見せすると…

銘柄の指定なくマルチに使える米袋たちのページ


こんな感じで、一目見ただけで何故か「お米の袋だ!」と、分かるような、
そんなデザインが多いことがお分かりいただけるかと思います。社内で確認したところ、一番古いもので少なくとも30年以上前から大きく変えていない商品も存在するとか、しないとか…。

そんなある種「伝統的」なデザインが残る米袋の世界ですが、実はそこに使われている素材には最新技術が詰め込まれたものも存在しています。

その一例がこちら。
弊社イチオシの「SFポリ」という素材です。(第一話でも少し触れましたが…)

SFポリ米袋各種


パッと見は何の変哲もない米袋ですが、断面図をご覧いただくと違いが分かるかと思います。


そうです、先ほどご説明した「ラミネート」の貼り合わせを行っていない米袋で、「オモテ刷り」と呼ばれるタイプなんです。

これまで、「ポリポリ」などの貼り合わせ素材でないとなかなか難しかった高精細の印刷を、「オモテ刷り」で実現したのがこの「SFポリ」です。

左:SFポリ / 右:ポリポリ


こちらは新潟県産新之助の米袋。SFポリとポリポリを並べてみましたが、ほとんど違いが分からないかと思います。

先ほどご説明した「ポリポリ」のような米袋は、素材同志を貼り合わせる
ラミネート工程と、それを乾燥させるエージング工程、というものを行う必要があります。

この「SFポリ」はその2つの工程を省けるため、その分の環境負荷低減とコスト削減を実現しました。さらに、異素材を貼り合わせていない「モノマテリアル」と呼ばれる製品のため、比較的容易にリサイクルを行うことができるのも特徴です。


少し宣伝っぽくなってしまいましたが、実はこうした新しい技術が用いられていたりもするんですね。

⑯「米袋」 ← これなんて読む?


さて、長く続いたトリビアもこれで最後になります。

ここまでずっと「米袋」と、フリガナ無しで記載し続けてきましたが
皆さんはこれ、なんと読んでいましたか???

ほとんどの方は「こめぶくろ」だと思います。
ですが、、、実は、私たちの業界ではこれを「べいたい」と読みます!!

ちなみに、フィルムを袋の形に加工することは「製袋(せいたい)」と呼びます。

これは、昔釣り上げた「たい🐟」(小ボケ①)
これはお土産で頂いた「タイ🇹🇭」のTシャツ(小ボケ②)


「袋」この字を「たい」って読む方に出会うと、『あ、業界の方だな?』
ってなんとなく分かるっていうお話でした!(笑)

最後に


3話にわたってお届けしてきましたが、いかがだったでしょうか?

米袋べいたいのことを、ほんの少しでも身近に感じていただけた様なら大変うれしいです!

また、今回この記事を製作するきっかけを与えてくださったニッポンフードシフトさんにも、この場を借りて感謝申し上げます!

最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。

それではまた次回。