祝30周年!「十六茶」の味の秘密に迫る!(前編)
皆さん、こんにちは!
暑い日が多くなってきて、筆者は最近「十六茶」が手放せません…!
そこで今回はこれからの季節にお飲みいただきたい「十六茶」をピックアップいたします!
実は、「十六茶」は本年3月で発売から30周年を迎えました。ロングセラーブランドながら2000年頃から毎年香味をリニューアルしていることはご存じだったでしょうか。時代にあわせておいしさを追求してきた「十六茶」。今回は、開発に携わる商品開発研究所の担当者による対談インタビューをお届けいたします。
【プロフィール】
「16」の意味
―――「十六茶」は商品名にも由来する「六臓(ろくぞう)・六腑(ろっぷ)・四味覚(よんみかく)」の考え方が味づくりにおいてもベースになっていますが、どのようなものか教えてください。
林 「十六茶」の「16」は東洋健康思想の考えに基づいています。人体は六臓六腑(※)から構成され、体の主となる肝・心・脾・肺・腎・心包(別名:火包、心臓を大事に包む袋)を「六臓」、また臓を助ける胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦(血液)を「六腑」と言い、健康とは六臓六腑の全てのバランスが保たれている状態を表します。また、「四味覚」は甘い・苦い・すっぱい・しょっぱいという四つの味覚をさし、この調和が揃うと人はおいしいと感じると考えられています。「十六茶」は六臓六腑四味覚の「6」・「6」・「4」を足し合わせた「16」という数字を大事にしており、実際に体の内外にバランスよく刺激を与えられるよう六臓六腑四味覚に対応する16の健康素材を配合しています。
※東洋健康思想では、臓と腑は一対となって互いに助け合いながら生命を維持すると考えられているため、六臓六腑という考え方をしています。
平田 初めてこの考え方を聞いたときは、日本では五臓六腑という考え方になじみがある方が多いと思うので、心包を加えて六臓六腑と捉えるということが新鮮でした。また、それぞれの素材が六蔵六腑四味覚のさまざまな要素に対応しているという点も素材の魅力に注目した「十六茶」ならではの考え方で興味深いと感じました。
林 私も入社前は「16」とはどんな意味なのだろうと思っていたので、背景を知ったときはとても印象に残っています。また、東洋健康思想ならではの健康と病気の間には「未病」という状態があるという考え方も面白いと感じました。日々の状態を整えることで未病へアプローチしていくという考え方は、日常飲用できるお茶との親和性もあり、「十六茶」に通じているなと感じました。
※「十六茶」について詳しくはこちらをチェック!
ピンチも原点回帰でV字回復!
―――平田さんが担当されていた2000年頃から香味の改訂が毎年行われるようになりましたが、どのような背景から着手されたのでしょうか。
平田 競合ブランドや緑茶との競争が激しくなったことがきっかけでした。「十六茶」はブレンド茶(※1)のパイオニア的存在ですが、当時は若い女性層中心に美容イメージが重視されるようになっていたこと、また、各社が新商品を次々とヒットさせ、無糖茶市場全体が活性化したことで相対的にブランドの存在が希薄化していたタイミングでした。また、1996年から小型ペットボトルの発売が自由化し(※2)、主にスーパーマーケットなどで販売するパーソナルサイズの容器容量も缶350mlからPET500mlへと大容量化し、お客様の嗜好がよりすっきりした味わいを求めるようになったことも背景としてあります。
※1 ブレンド茶とは、複数の素材を組み合わせたお茶のこと。
※2 飲料業界では小型サイズのペットボトルの使用が自粛されていましたが、消費者ニーズにこたえて1996年より500mlサイズのペットボトルを導入が開始されました。
―――具体的にどのような違いを出していったのですか。
平田 よりすっきりと後味のよい方向に、且つ穀物茶として求められる香ばしさはお客様に好ましく感じられるように改良していきました。原料についても六臓六腑四味覚は維持しながら、すっきりとした後味と穀物茶らしい飲みごたえ、美容、健康、そしておいしさのイメージの高い素材への入れ替えを行いました。1990年代後半からは缶からペットボトルへのメイン商材の容器変更に伴い、製造上の殺菌方法などの変更なども必要でしたので、品質を保ちながら処方を検討していくことに苦労した時期でもありましたね。
林 その当時のことを調べたことがありますが、想像しただけでもとても大変そうでした。しかし、当時の先輩方の努力があったので今があるのだなとしみじみと感じます。
―――2001年-2002年は緑茶飲料の拡大などもあり、販売数量が伸び悩みましたが、10周年となる2003年にはV字回復!どのような取り組みをされましたか。
平田 緑茶飲料の台頭などを受け、「十六茶」はもともと愛飲していただいていたお客様からも手に取っていただく機会が減っていきました。そこで、10周年という節目に原点回帰し、本来のブランド価値を見直しました。そこに、磨いてきたすっきりとした後味に香ばしさといった新たな価値を付加し、「新撰 十六茶」として生まれ変わりました。発売当初から反響をいただき、店頭で見かけることが増えましたし、売り場での存在感を見て改良の方向性は間違っていなかったんだと安堵しました。
多くの方に安心して楽しんでいただけるように
―――その後、新しい価値提案を続け、特に「ノンカフェイン」化をしたことは大きなニュースになったのではないでしょうか。
平田 「十六茶」はもともと緑茶飲料やウーロン茶飲料と比較してカフェインの含有量は少なかったのですが、お客様からのお問合わせ項目を調べたところ、カフェインに関するお問い合わせが圧倒的に多いということに気づきました。また、大規模な調査の結果から30~40代は飲料の購入量が多く、且つ子持ち世帯が日本の全世帯の40%を占めることにも着目し、家族で安心して飲めるお茶を目指してノンカフェイン設計に取り組みました。風味においても、カフェインは苦みがありますので、より後味がさっぱりしたものを実現することができました。
林 私の周りでも妊娠をきっかけに手に取ることが増えたという声をよく聞きます!近年ではアレルギー特定原材料28品目不使用などにも取り組んでいますが、より多くの方に安心して飲んでいただけるきっかけになっているように感じますね。
―――トクホ・機能性表示食品の商品へのチャレンジも他のブランドに先駆けて行ってきましたが、経緯や大変だったことはどのようなことでしたか。
平田 「十六茶」は16素材のブレンドでお客様に「おいしさ」と「健康」をお届けしたいという想いで開発されましたが、直接的に健康機能を謳うことはできません。そこで、健康イメージを高めるためにどのようなことができるか検討していました。当時は生活習慣病罹患者が増加傾向にあったこと、またトクホ市場が活性化していたことから、お客様のお悩みにアプローチができ、かつ健康機能を明示できるという商品の開発は健康価値を高めることにもつながると思い、チャレンジしました。一方、香味に影響を与える可能性がある機能性素材を加えることは味づくりとしては難易度が高いものでした。実際に機能を訴求するための素材量を担保しようとしたところ、「十六茶」らしい味わいからかけ離れてしまい、世の中に出せなかったものもたくさんあります(笑)。
林 トクホ・機能性表示食品は健康機能がわかりやすいですよね。お茶飲料はもともと体に良さそうなイメージを持たれている方も多いと思うのですが、エビデンスとあわせて訴求ができるということで、お客様にわかりやすく健康価値を伝えられることは意義があると思います。
―――前編はこちらまで!
「十六茶」の歩みが少しでもお伝えできていればうれしいです!近年の「十六茶」については明日公開予定の後編をお楽しみに!